コップを取ろうとしたり、コップを持ったり、字を書いたりするときに手のふるえが気になることはありませんか?
ふるえの原因は、本態性振戦と呼ばれる症状のほかにパーキンソン病や薬の副作用などがあります。
今回はふるえの原因を見極めるポイントを紹介いたします。
本態性振戦とパーキンソン病の違い
高齢者がなりやすい本態性振戦(※)という疾患は、体の一部が規則的にふるえる症状が起き、ふるえの中では最も多いとされています。
※「本態性」とは「原因がはっきりとしない」、「振戦」は「ふるえ」を意味する
同じようにふるえの症状が発現する疾患にパーキンソン病がありますが、このふたつの疾患は症状のあらわれ方に違いがみられます。
その違いを簡単にまとめると次のようになります。
特徴 | 本態性振戦 | パーキンソン病 |
---|---|---|
主な症状 | ふるえのみ | ふるえのほか、筋肉がこわばったり動きが鈍くなる |
発症年齢 | 若年層から幅広い世代 | 中年以降 |
ふるえが起こるとき | コップを持つなど一定の姿勢を保とうとするときや、コップを取ろうとしたり、字を書いたりという動作時 | じっとしている安静時 |
ふるえる部位 | 手、頭、声 | 手、足 |
ふるえ方 | 体の左右対称的に症状が現れやすい | 体の左右でふるえに差がある |
薬の副作用で起こる薬剤性パーキンソニズム
一方、薬の副作用でふるえの症状を誘発しやすいのが薬剤性パーキンソニズムです。代表的な原因薬剤は以下の通りです。
- 抗精神病薬
- 制吐剤(吐き止め)
- カルシウム拮抗薬
- 抗てんかん薬
- 抗不安薬 など
原因となる薬の服用をやめると症状が改善していきます。このため、もしふるえの症状が発現したときには、薬の副作用による影響も一つの原因として検討する必要があります。
ただし、処方医は必要性を判断して処方しているので、自己判断で中止しないようにしましょう。
処方医と相談し、必要に応じて薬の減量、中止、変更を検討すると良いでしょう。
本態性振戦は薬物療法が効果的
ふるえは、その原因を見極め、適切な対応をする必要があります。
重篤な疾患の早期発見にもつながるため、気になる症状がある方は、早めに医師に相談しましょう。
日常生活に支障をきたす場合には、治療が必要になるかもしれません。根本治療ではありませんが、本態性振戦には効果的な対症療法として薬物治療があります。
β遮断薬、抗てんかん薬などが第一選択薬として使われています。第一選択薬が使用できない場合や、効果が不十分な場合には抗てんかん薬や抗不安薬が使われます。
これらはパーキンソン病の治療薬とは種類が異なります。ふるえの種類をしっかりと見極めて治療をすることが、症状の改善につながります。
気になる症状があるときには、医師、薬剤師に早めに相談してみましょう。