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第108回

【SPF、PAとは?】日焼け止めは紫外線対策に必須! 状況に合わせて使い分けよう

最終更新日時 2023/07/26
#高齢者の健康 #薬
目 次

日本では、太陽光に含まれる紫外線の量が5~8月にかけてピークとなります。そのため、夏場の外出には紫外線対策が必須だと言えるでしょう。

特にご高齢の方は皮膚が弱く、日焼けの影響を受けやすくなります。また、紫外線の有害性に注目が集まり、日焼け止めなどによる対策が行われるようになったのは近年です。そのため、ご高齢の方では長年にわたり紫外線を浴びつつけて来られた方も多いはず。一般的に、加齢による老化と思われがちな皮膚のシミやしわは、長年にわたる紫外線の影響も関係していると考えらえています

実際、日本人高齢者14人を対象とした研究では、日焼け止め化粧品を使用することによって、紫外線による皮膚の老化(肌のシミなど)を防ぐ可能性が報告されています。海外の研究でも、ほぼ同様の結果が報告されており、日焼け止め化粧品は、単に日焼けを予防するだけでなく、紫外線による肌のダメージを防ぐうえでも効果的だといえます。

そこで、本記事では日焼けを予防する日焼け止め化粧品について解説し、日焼け対策における注意点をまとめます。

そもそも、日焼けとは?

太陽光や蛍光灯の光に限らず、どのような光もエネルギーを持っており、光が物に当たるとエネルギーの一部が熱に変換されます。太陽光を浴びると暖かく感じる理由は、太陽光に含まれているエネルギーが熱に変わっているからです。

太陽光は、その光の性質(波長)の違いから赤外線可視光線、そして紫外線に分けることができます。太陽光の暖かさは、主に赤外線から生じていますが、光に含まれるエネルギーの量は赤外線や可視光線と比べて、紫外線で高くなります。

そのため、紫外線を長時間にわたって浴び続けると、皮膚が炎症を起こしたり、皮膚の色が黒く変化することもあります。一般的には、この状態を日焼けと呼びます。

紫外線の種類と皮膚への影響

紫外線(Ultra Violet:UV)は、光の波長が長いUVAと、波長が短いUVBの2種類があり、太陽光に含まれている紫外線の多くはUVAです。なお、UVCと呼ばれる紫外線もありますが、UVCは大気中のオゾンという物質や酸素に吸収されてしまうため、地表には届きません。

一般的に、光は波長が短いほどエネルギーが強く、皮膚が赤くなるような日焼けは、主にUVBの作用によって引き起こされます。UVBは、肌の表面にある細胞や、細胞内の遺伝子にダメージを与え、皮膚の健康状態に大きな影響を及ぼします。人種によって肌の色が異なるため、紫外線の影響度も異なりますが、度重なる日焼けは皮膚がんの危険性を高めるとした研究も報告されています。

画像提供:IllustAC

日焼けは、皮膚が赤くなるサンバーンと、その後に皮膚が黒く変色するサンタンに分けることができます。サンバーンは紫外線による皮膚の火傷、サンタンはサンバーンによって引き起こされるメラニン色素の増加と考えればわかりやすいと思います。

なお、メラニン色素とは、肌の色を濃く変色させる色素です。黒い色は光を吸収することで、紫外線の透過を防ぐ性質があります。つまり、メラニン色素は紫外線を吸収することで皮膚に対する直接的なダメージを軽減し、紫外線から肌を守るという役割を担っているのです。

一般的に、サンバーンがUVBの作用によって引き起こされるのに対して、サンタンは主にUVAの作用によって引き起こされると考えられています。

日焼け止めの種類と効果

日焼け止め化粧品(紫外線防止用化粧品)は、大きく紫外線を吸収する成分(紫外線吸収剤)を配合した製品と、紫外線を散乱させて皮膚に届かないようにさせる成分(紫外線散乱剤)を配合した製品に分けることができます。

紫外線を吸収する成分には、メトキシケイヒ酸オクチルやオキシベンゾンなどがあります。これらの成分は、強力に紫外線を遮断し、強い日焼け予防効果を期待できます。ただし、紫外線を吸収する成分は、皮膚表面で光による化学反応を起こすこともあり、肌トラブルの原因になることもあります。

紫外線を散乱させる成分には、酸化亜鉛や酸化チタンなどがあります。これらの成分は安全性が高く、肌に優しいと考えられていますが、塗った場所が白っぽくなってしまうことが欠点です。

また、こまめな塗り直しが必要となることもあります。なお、紫外線を散乱させる成分だけを配合した日焼け止めは、ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)と呼ばれることもあります。

市販されている日焼け止め化粧品の効果は、SPF(Sun Protection Factor)とPA(Protection Grade of UVA)と呼ばれる2種類の指標によって評価されます。SPFは、肌が赤くなるサンバーンを防ぐ指標、つまり紫外線の中でもUVBを防ぐ度合を意味しています。具体的には、日焼け止め化粧品を塗らない場合と比べて、塗った場合に皮膚が赤くなるまでに何倍の時間がかかるのかを意味する数値です。

例えば、日焼け止めを塗らずにUVBを浴びたとき、10分で皮膚が赤くなってしまう状況であれば、SPFが「10」の日焼け止めを塗ることで、皮膚が赤くなるまでに10倍の時間が必要となり、10×10=100分かかることになります。SPFは数値が高いほど、サンバーンを遅らせる効果、つまり日焼け止めの効果が強くなり、市販されている日焼け止め化粧品のSPF最大値は50+(51以上を意味します)です。

一方、PAは紫外線の中でもUVAを防ぐ度合を意味しています。SPFと異なり、数値の指標ではなく、その強さはPA+、PA++、PA+++、PA++++の4段階で表されます。+の数が多いほど、UVAを防ぐ効果が高まります。
画像提供:Illust AC
 

日焼け止めを塗る際の注意点

日焼け止め化粧品を塗り続けることで、まれに皮膚炎(アレルギー反応による接触性皮膚炎など)を起こしてしまうこともあります。

日焼け止め化粧品による皮膚炎は、特に紫外線を吸収する成分で起こりやすいと考えられます。また、紫外線を吸収する成分を配合した日焼け止めは、大量に塗布すると皮膚から吸収されて、体内に蓄積する可能性が指摘されています。ただし、一般的な使用量で使った場合には、安全性に大きな問題はないと考えられています。

日焼け止め化粧品の副作用が不安な方は、紫外線を散乱させる成分を配合したノンケミカルの日焼け止め化粧品を用いると良いように思います。ノンケミカルの日焼け止め化粧品は、肌に対する刺激も弱く、ほとんど体に吸収されないため、一般的には安全性が高いと考えられているからです。

とはいえ、日焼け止め化粧品を安全で効果的に使用するためには、生活スタイルに合わせて適切な製品を選ぶことが最も重要です。炎天下の屋外で浴びる紫外線量と、通勤や買い物など、日常生活で浴びる紫外線量は大きく異なります。

例えば、屋外で草刈りをするなど、長い時間にわたって強い日差しを浴びるような状況では、SPFやPAが高い日焼け止め化粧品を用いることが勧められます。一方、日常生活や短時間の外出では、肌に対する安全性の高い、ノンケミカルの日焼け止め化粧品を選ぶと良いでしょう。なお、水に濡れる環境などでは、耐水性に配慮した日焼け止め化粧品を選ぶと良いでしょう。

  SPF PA
日常生活や短時間の屋外活動 10〜30 +〜+++
ハイキングや登山、スポーツ観戦など 30~50+ +++〜++++

日焼け止め化粧品を効果的に使うためには、十分な量をムラなく塗ることが大切です。また、汗をかくと日焼け止め化粧品が流れ落ちてしまうこともあり、2~3時間間隔で塗り直すことが望ましいとされています。

日焼け止め化粧品は紫外線対策の一つにすぎません。夏場の陽ざしが強い日には、日中の外出を控える、つばの広い帽子をかぶる、日傘をさす、肌を露出しない服装をするなど、できる限り紫外線を浴びない工夫をすることも大切です。

【参考文献】
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Arch Dermatol. 1982 Jul;118(7):483-6.
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Curr Probl Dermatol. 2021;55:223-235.
JAMA. 2019 Jun 4;321(21):2082-2091.
CMAJ. 2020 Dec 14;192(50):E1802-E1808.
日本化粧品工業会 紫外線防止の基本

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よつばケアプラン 管理者
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