こんにちは。口腔ケア部門を担当している日本デンタルスタッフ学院・学院長の田中法子です。
先日、「被介護者の方の部屋の中に入ると、何ともいえない口臭のにおいがする」と介護施設の看護師さんから相談を受けました。
口腔ケアをしているのになぜか口臭がする、なんてことないですか?
それはもしかしたら、舌の上の雑菌のせいかも。
口臭の約70%は舌の上の舌苔からくると言われています。
他のケースとしては歯周病にかかっていて、進行していくを歯と歯肉の境目のポケットになっている溝に、菌が繁殖して悪臭を出すということが考えられます。
口の中は最高の菌培養器です。
ですから歯や歯肉の周辺はよく磨けていても、「口臭がする」という相談は介護現場だけではなく、歯科医院に通う患者さんからもよくあることなのです。
そこで今回は、舌の上をケアする方法をお伝えします!
口臭ケアのために準備するもの

- スポンジブラシ
- 保湿ジェル
- 水が入ったコップ
- ティッシュ2枚を4つ折り(ガーゼの方が好ましい)
今回は舌ブラシを使わずに舌苔をとる方法を伝授いたします。
舌苔の取り方
1.同意を得る
「これから舌の上の汚れをとるね」「この白いのはバイ菌だからとるね」など、被介護者に鏡を見せながら説明して承認を得ます。
これから使う道具を見せ、説明しながら準備を進めていきましょう。
これが口腔ケアを成功させるための秘訣中の秘訣です。
被介護者がわかるわからないを問わず、見せたり説明したりことは安全に口腔ケアを進めていくうえで何よりも大切になります。
2.スポンジブラシに水分を含ませる
水が入ったコップにスポンジブラシを浸してギュッと絞ります。
スポンジブラシを濡らしておくだけで保湿ジェルが馴染みやすくなり、口の中に入れた感触がまったく違うものになります。
乾いたまま口に入れると、スポンジブラシがざらざらしているため「痛い!」と言われてしまうことも。
一度痛みを感じてしまったら口腔ケアを続けることが難しくなります。
「拒否」は被介護者がつくるのではなく、介護者がつくり出すものであることを意識しましょう。
3.スポンジブラシに保湿ジェルを染み込ませる
スポンジブラシを持っている反対側の手の甲に、100円玉ほどの大きさで保湿ジェルを出し、スポンジブラシに保湿ジェルを叩くように馴染ませます。
化粧水を手の平で肌にパタパタと叩き込むようなイメージですね。
4.舌苔をとる
保湿ジェルがスポンジブラシに染み込んだら、舌の上にスポンジブラシを乗せて、クルクルと回しながら舌苔をとっていきます。
口腔乾燥がある場合は、何回かこの作業を繰り返す必要があります。
5.コップで汚れを落とす
ブラシが汚れてきたら、コップに用意した水で洗って2〜3の作業を再度繰り返してください。
汚れが付いたまま、次の保湿ジェルを付けないように注意してくださいね。
回数を重ねるごとにスポンジが水分を吸うようになるので、ティッシュまたはガーゼでしっかりと水分を拭きとるようにしましょう。
口腔ケアで気を付けるポイント

ポイントは事前準備をしっかりと済ませておくことです。
口腔ケアをしながら道具をとりに行って待たせてしまったり、袋の開封に時間がかかってしまったりすると、その間に唾液が出てしまいむせてしまう可能性があるからです。
また、口腔ケアを行なうときは、できるだけ被介護者の上半身を30度〜40度に起こして行なってください。
頭部から首にかけてまっすぐの姿勢になると、誤嚥の可能性が高くなってしまいます。
スポンジから水が垂れてしまうことも誤嚥を引き起こす原因になるので、水分を拭きとることも忘れないでくださいね。
次回は、口臭ケアの予防方法についてお伝えしていきます!
今回のテーマまとめ
- 口腔ケアを行うときはしっかり事前準備をしましょう
- 被介護者の同意を得てから始めるようにしましょう
- 誤嚥しないよう、被介護者の上半身を30度〜40度に起こしましょう