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第24回

終末期の口腔ケア方法 日頃の介護で重要になるポイント

最終更新日時 2021/09/30
#介護予防 #看取り・終活
皆さん、こんにちは。食と生を支えるコンサルタントナース西依見子です。終末期は全身の機能が低下し、免疫力の低下による歯や口腔粘膜、義歯に関するトラブルが起こりやすくなります。また、食べられなくなってきたときは、口腔ケアを見直す良いタイミングです。今回は、日頃の介護で重要となる終末期の口腔ケアのポイントと適切な方法をご紹介いたします。

皆さん、こんにちは。食と生を支えるコンサルタントナース西依見子です。

今回は、日頃の介護で重要となる終末期の口腔ケアのポイントについて考え、終末期の口腔内の特徴、口腔ケアに便利なもの、食べれなくなってきたときのケアについて解説いたします。

終末期の状態

全日本病院協会が発行する『終末期医療に関するガイドライン』によると、「終末期」とは、次の3つの条件を満たす場合を言われています。

  1. 客観的な情報を基に、複数の医師が治療による病気の回復が期待できないと判断すること
  2. 患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師看護師等の関係者が納得すること
  3. 患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し、対応を考えること

これらのことから、終末期の期間を予測することは難しいとも言われています。しかし、終末期は全身の機能が低下している時期であることは確かです。そのため、口腔内の問題を起こしやすく、日頃のケアがとても大切になってきます。

終末期の口腔内の特徴

終末期では、免疫力の低下による歯や口腔粘膜、義歯に関するトラブルが起こりやすくなります。

歯のトラブル

終末期では、口腔機能の低下や、唾液による自浄作用の低下で、歯にプラークが付着しやすくなり、歯周病を呈しやすくなっています。歯周病が進むと、歯の土台の骨が溶けてくることがあります。

このように、歯を支えていた土台が弱くなると、歯の動揺が生じやすくなります。そのため、歯ブラシによるブラッシング時に痛みが生じることもあります。

そうすると、口腔ケアに協力を得られなくなる、口を開いてもらえないといったことが起こる可能性が高まります。

加えて、歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)に汚れが留まりやすくなると、歯肉炎などが生じやすくなり、さらに痛みが増す可能性があります。

粘膜のトラブル

終末期では十分な水分が摂れないことも多く、口腔粘膜が乾燥しやすくなっています。また、病気によっては、疼痛緩和などの薬剤を使用していることもあるため、薬の副作用で、質の良い唾液分泌が少なくなり、さらに乾燥しやすくなります。

口腔粘膜は皮膚がなく、傷がつきやすくなっています。特に乾燥すると、歯ブラシなどの少しの刺激で細かな傷がつくこともあります。また、免疫力の低下で日和見感染症であるカンジダ症が起こることもあります。

義歯のトラブル

義歯はしっかり装着できることで、咀嚼が可能になります。しかし、歯ぐきの痩せで「口を開けると義歯が落ちてくる」「炎症で口のなかが痛くて義歯をつけられない」などの問題が起こることがあります。

これらのことから歯と歯ぐき、口腔粘膜、義歯の装着状態の観察が大切になります。

終末期に起きやすい3つの口腔トラブル

終末期の口腔ケアに便利なもの

これらの口腔内のトラブルがあると、今までと同じような方法では口腔ケアができなくなってきます。そのため、口腔ケアをよりやさしい方法で行う必要があります。

疼痛を予防しながら、口腔内の衛生状態を保つためには、まず、口の中が良く見えるようにペンライトなどを照らしながらどのようなトラブルがあるか見ておくと良いでしょう。そのうえで、日頃に使用する口腔ケアグッズを見直すことも一つの対策として大切です。

歯のケアのために

乾燥などで傷つきやすい口腔内には、硬い毛の歯ブラシは避け、軟らかいナイロン毛の歯ブラシを選ぶ方が良いでしょう。歯ブラシのヘッドは小児用程度の小さいものの方が、介助での口腔ケアがしやすくなります。

注意が必要なのは、動物の毛の歯ブラシです。「軟らかい歯ブラシを用意しましょう」とお伝えすると、馬毛などの動物の毛の歯ブラシを使用される方がいます。しかし、動物の毛の歯ブラシは毛先に細菌が繁殖しやすいため、免疫力が低下した終末期の方には避けた方が良いでしょう。

また、一見きれいに見えていても、歯の間が汚れていることがあります。歯がある場合は歯間ブラシを使用しましょう。歯間ブラシにはI字型とL字型があります。I字型を使用しても差し支えはありませんが、奥歯などはL字型のほうが使用しやすいという特徴があります。

粘膜ケアのために

粘膜ケアにはスポンジブラシが適していますが、粘膜があまりに脆弱になっている場合は、スポンジブラシでも粘膜を傷つけることがあります。スポンジブラシの中でも柔らかめのものや、毛先がよりソフトなモアブラシなどの使用がおすすめです。また、口腔内のふき取りに便利な口腔ケアティッシュ類を使用するのも良いでしょう。

舌苔は取ろうとして、舌の表面を傷つけてしまうことがあります。舌は特に敏感な部位ですので、舌の味蕾が傷つかないように1度に数回程度ブラシを動かし、少しずつ舌苔をとっていきましょう。舌苔が多い場合は、ナイロン毛の舌ブラシを使用すると良いでしょう。舌のトラブルは疼痛の原因となりやすいので舌を傷つけないように気をつけましょう。

口腔内の乾燥予防

口腔内の乾燥は可能な限り予防したいところです。口腔内の汚れをやさしくとるだけで、口腔内が湿潤することもあります。

まず、清潔に保つことを優先しましょう。口腔内の保湿ジェルを口唇の保護に使用してもよ良いでしょう。口腔内保湿ジェルを使用する場合は、カンジダ症に効果がある成分が入っているものなどがおすすめです。

終末期に食べられなくなってきたときのケア

ものを食べられなくなってきたときは、口腔ケア物品や方法を見直す大切なタイミングです。

市販の歯みがき粉を使用していた場合は、特に見直しが必要です。歯みがき粉にはアルコール成分などが入っており、口腔内が乾燥しやすくなります。

また、口の動きが低下してきている方は、歯の間や粘膜に歯みがき粉が残ってしまい、口腔環境を悪くする要因になることもあります。

このような場合、歯みがき粉を使わずに水だけでケアすることも可能ですが、もし歯みがき粉を使用する場合は、口腔内保湿ジェルを歯みがき粉の変わりにするのも一つの方法です。

これまで歯科の往診を受けてきた場合は、継続してください。食べられなくなってきたという理由で、今まで診てもらっていた歯科を断ったりするケースがあります。しかし、食べられなくなったときにこそ、歯科衛生士による専門的な口腔ケアを受けたいものです。今まで歯科の往診を受けていない場合は、可能ならば、往診のある歯科への依頼を検討することも日々の口腔ケアを効果的に行うための対策となります。

便利なグッズや歯科医の受診を大切に

終末期の口腔内は、免疫の低下にともない、歯や粘膜のトラブルが生じやすくなっています。適切な口腔ケアを行うための方法を知って、効果的に使用しましょう。

食べられなくなってきたときは、口腔ケアを見直す良いタイミングです。口の機能にあった口腔ケアを行いましょう。

今回は、一般的な終末期の口腔ケアについてお伝えしました。全身状態によっては、口腔ケアができない状態になることもあるかもしれません。終末期には本人の状態を優先し、口腔ケアで苦痛を与えることのないように工夫をしましょう。

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中川 恵子
医療・介護・健康専門ライター
2022/08/30

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