皆さんこんにちは。陽だまりのnekoの夢のmaruこと井上百合枝です。
今回は、「家族と会えない高齢者の方への悪影響」についてお話ししていきます。
帰省を避けるのが当たり前!?
コロナが私たちの生活を一変させてから1年が過ぎました。学校が休校となったときは世間の多くが驚き、マスクだけでなく、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの買い込みが発生しました。
世の中は、人と人が直接会う時間が極端に減少し、デジタル化・オンライン化が進みました。一緒に食事を取ったり、肩を寄せ合って話したり、お茶をしながら日常のことを語ったり。そんな他愛もない時間が奪われてしまいました。
高齢者の方の新型コロナ感染は重症化リスクが高いことから、隔離された状態が続いています。新型コロナの感染が拡大するまでは、実家や施設に定期的に通っていた家族も、気軽に会えなくなってしまいました。地方に住む親の介護をするために、若い世代が帰省すること自体が「好ましくない」と思われてしまうのが実情です。
自分の気持ちを押し込めるように…
外出するときに必ず着用するマスクは歩行する際の呼吸を苦しくさせ、外出の機会も減らしていきます。このような状態では買いもので外出しても立ち話ができませんし、今まで行えていた活動も休止しなければなりません。同時に、高齢者の気持ちにも以下のような変化をもたらしています。
- 家族(や友達)に会いたいけれども、会いたいとは言えない
- 人に会いたいと思うこと自体、悪いことのように思える
- オンラインで会えると言っても、操作ができないし、わからない
- 楽しいと感じられることがなくなった
- 本当は寂しい、不安
- 孤独を感じる
そして、「皆、苦労をしている時期だから」と、この気持ちをほかの人に聞いてもらうこともさえも憚(はばか)られる状況です。これらの気持ちの変化は、高齢者にどのような影響を及ぼしているでしょうか。
家族が面会ができなくなったことによる悪影響
心身の機能低下が進行
ある高齢者はコロナ禍で「気力がなくなった」「食欲も低下した」「足腰の力も弱った」「外にも出なくなった」と話します。会えなくなった子どもや孫のことに思いを馳せて、悲しくなったりイライラしているようです。1回目の緊急事態宣言発令後から現在に至るまで、クラスター発生予防のために、病院も入所施設も、家族でさえ直接面会することができずにいます。
またある高齢者施設の方は、「これまで定期的に面会してくれていた家族の方が様子を見にこれなくなったことで、心身の機能低下の進みが少し早くなっているかもしれない」と言っていました。また、「どんなに、スタッフが力を尽くしても家族と一目会う時間にはかなわない」ともおっしゃっていました。
認知機能の低下により精神状態が不安定に
ある医療施設で70~90代の男性が多く入院している入院病棟に勤める看護師の方は、以下のようにお話ししていました。
「入院している高齢の方のうち、重度の認知症の方はコロナ禍以前と今を比べても大きな変化なく淡々と過ごせている。しかし、軽度・中程度の認知機能を持つ方はその機能が低下し、精神的に不安定になっている」
そして、患者同士のトラブルもさることながら、職員への不満を呈することが増えており、リハビリへの意欲も低下。拒否反応を示す方もいるそうです。
さらに、面会したくてもできない家族に対してご本人は「着替えや必要なものは届けにくるのに、どうして顔を見せにこないのか」「どうして迎えにこないのか」などと不満や怒りが強くなっているとのこと。病院としてはこれらの不満や不安に対し、入院期間を短くするなどの対応はしているようです。
また、通常時ならば「退院前に家族と本人一時帰宅」「リハビリ担当のセラピストによる家屋評価」といったことも現在は行えません。よって、患者自身が帰宅して生活するイメージができずに帰宅することになり退院後の生活に不安が強くなったりすることもあるそうです。
また、コロナ禍での新たな日常のアイテムとなった「マスク」に対しては、着用し続けることへのストレスや、マスクで顔半分が隠れていることにより顔を識別することの難しさや不安を訴える高齢者もいるとのことです。
電話や手紙などで積極的にコミュニケーションを取ろう
今回お話しさせていただいたことだけでも、コロナ禍での高齢者の生活がどれだけ不安なものであり苦しいものであるかは、考えるに難くありません。1日も早くこのような生活が終わることを切に願うばかりです。
ぜひご家族のあたたかな思いを、このコロナ禍の苦しい期間中にも電話や手紙、写真といった高齢者の方が行える・理解できる手段で高齢者の皆さまに届けていただけたらと思います。