こんにちは。介護者メンタルケア協会代表の心理カウンセラー 橋中今日子です。
介護は長期化しやすいため、気づかないうちに負担が増します。
加齢や病状の悪化、新しい病気や怪我によって介護そのものの負担が増えるのと並行して、無視できないのが「家事負担」です。
家事の負担は「家族がするもの」と思われがちではないでしょうか。
介護保険サービスでは、買物の一部や調理といった生活支援がありますが、「紙オムツの予備がないことに気がついた」という緊急時に即時対応ができるとは限りません。
家事負担を軽減するコツは、「日々の小さな負担を減らしていくこと」です。
意外と負担が大きい「買い物支援」
介護をされている中で、気がつかないうちに負担になっているのが「買い物」です。
家での生活ではそれほど支障がないけれど、「車の運転ができなくなった」「大きなものや重いものを運べなくなった」という家族のために、日用品買い出しの手伝いをしている人は多いでしょう。
特に紙パンツや尿取りパットなどの消耗品は、なくなってから買いにいくわけにはいかないので、在庫がどれくらいあるかを常に気にしていなければいけません。
買い物は、簡単なことのように思えますが、意外と作業工程が多く、時間もかかります。
- 在庫の確認をする
- 買うものを決める
- 店に行く
- 買い物をする
- 店から家まで移動する
- 屋内に運ぶ
消耗品は、宅配サービスで購入することで、「移動する」「買う」「届ける」負担を減らすことができます。
「買いに行く手間を減らすだけ」と思われるかもしれませんが、店に行く回数を減らすだけでも時間的余裕が生まれます。
定期購入で精神的負担もカット
また、インターネット通販で、「定期購入」のサービスを利用する方法もあります。
定期購入の大きなメリットは「在庫はどれくらいあるのだろうか?」と心配しなくて済むので、精神的負担が減らせることです。
介護者メンタルケア協会にも、「週に何度も往復3時間かかる買い物支援で、心身ともに疲れ果ててしまった」方から相談が寄せられました。
そのような方はもちろん、要介護者が片道10分の近距離に住んでいる場合や同居している場合でも、積極的に宅配サービスを利用してみてください。
宅配サービスを利用するときの2つのコツ
高齢者の方が宅配サービスやインターネット通販を利用するとき、荷物の受け取りの際にさまざまな問題が起こります。
お悩みの方は以下の解決法を参考にしてみてください。
- 耳が遠くて宅配業者が来てもインターホンの音に気づかない…
- 置き型の宅配ボックスを利用する
- 荷物の受け取りはできても、一人では開封できない…
- 介護サービス(訪問サービスなど)を利用している時間帯を指定し、誰かが家にいるときに届けてもらう
事業所に現状の負担を具体的に説明して、助けてもらいましょう
訪問サービスを提供する事業所から「荷物を受け取ってほしい」と伝えるだけでは、「サービス外なので、できません」と断られる可能性があります。
生活を支えるための「介護保険サービス」は、専門的なスキルを必要とするサービスを提供し、その内容は事前に決められているからです。
サポートを断られることを防ぐためは、まず、要介護者は買い物に行けず、介護者の負担になっていることを話しましょう。
そして、「日用品を届けることが負担になっている」「通販で購入したい」と伝えます。
それから「直接送りたいのだけれど、段ボールの開封が難しいかもしれないので、訪問介護時に手伝ってもらうことは可能でしょうか?」などと、具体的にどのような手助けが必要かを伝えましょう。
地元に詳しいケアマネージャーに事前に相談して、情報を得ましょう
宅配サービスを使う際、問題が起こらないように訪問介護サービスの事業所に直接相談・交渉しても良いのですが、事前にケアマネージャーに、買い物などの家事負担が増えていることを相談しておくとベターです。
ケアマネージャーは、オムツの宅配サービスや宅食サービスなど、地元でしか得られない情報を持っているからです。
「通販のほかに、どのようなサービスを利用できるか」など、専門的な視点からのアドバイスをもらえたり、訪問介護事業所に提案してもらえたりします。
また、サービス利用で起こりうるトラブルと予防の情報も得られるので、事前に対策ができるようになります。
介護は長期化しやすいからこそ、介護者自身の「実労をどう減らすか」が課題です。
自分が当たり前にしていることや、「自分がするしかない」と思っていることの中にも、代替できるサービスがあるかもしれません。
自分だけで悩まず、まずはケアマネージャーに相談してみましょう。
介護を続けるには、気に止めていなかった小さな負担を減らすことが大切
介護は、マラソンなどの長距離走や登山と似ているところがあります。
気にもしていなかった小さな負担が、後になって大きなダメージになりえます。
ランナーや登山者が靴や装備を吟味して、少しでも負担を軽くするのと同じように、心身の小さな負担を軽くするのが、介護を乗り切るコツです。
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