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第74回

「共食」が高齢者の介護予防に効果あり!家族でできる4つの工夫と孤食のリスクを解説

最終更新日時 2023/03/30
#介護予防 #高齢者の健康
目 次

私たちにとって食事は最大の楽しみのひとつ。まして活動の機会が減少する高齢者にとっては「食べること」と同様に「食べる機会」が心身の健康にも重要な役割を果たしていると考えられています。

ここ数年にわたるコロナ禍で黙食が定着し、食事によるコミュニケーションの機会が減り、いくばくかの孤独感を感じながら食事時間を過ごされたこともあったかと思います。

今回は、食事が介護予防につながる良い機会ととらえ、誰かと一緒に食べる「共食」の重要性についてお伝えいたします。

共食による4つのメリットと介護予防的観点

主に誰かと一緒に食事をすることを共食と言います。

65歳以上人口に占める高齢単身世帯の割合は、2015年時点で男性13.3%、女性で21.1%に上ります。さらに2030年には男性18.9%、女性23.9%と男女ともに増加傾向すると推計されています。

一人暮らしの場合は、食事も一人になりがちです。しかし、一人暮らしであっても日中はデイサービスに通う、あるいは友人と一緒に食事をとることで共食の機会をつくることができます。

画像提供:adobe stock

一方で、家族と同居していても家族と一緒にすべての食事を摂るという方は少ないかもしれません。

個人によって食事環境はさまざまですが、なぜ共食が良いと考えられているのか、そのメリットやデメリットを考えてみましょう。

共食に関する4つのメリット

農林水産省の資料によると、成人や高齢者を対象とした研究で共食をする人は、孤食の人に比べ、次のようなメリットがあると報告されています。

①多様な食品を食べている

高齢者にかかわらず一人で食事をする場合(準備も含む)、「手軽さ」を優先し麺類や丼もの、あるいはスーパー等で購入した総菜などが食卓に上がることも多いのではないでしょうか。

購入した総菜も「食べ切る」ことを考えると、品数を増やし過ぎないようにしているようです。また、自ら調理をする場合、以前は家族のために工夫しながらつくっていた食事も「自分だけだから簡単で」という具合に、つくる気力がなくなるという話をよく聞きます。

逆に言えば、共食することで、相手を思って食事内容を工夫するので、多様な食品をバランスよく摂ることにつながります。

②朝食を欠くことが少ない

一人暮らしや孤食の場合、朝昼の食事が兼用になったり、おなかが空いていないので朝食を食べないなど食生活が乱れやすくなります。

しかし、共食であれば「一緒に朝ごはんを食べましょう」という習慣でからだの目覚めもよくなるはずです。

③規則正しい食生活になる

一人暮らしだと、つい自分のおなかの空き具合によって食事の時間が前後してしまいます。しかし、ともに食事をすることで周囲の人と調整しながら規則正しく過ごすことができます。

④生活のリズムが整いやすい

規則正しい食生活を送ることで、日中の活動も活発になり、睡眠時間も整いやすくなります。

介護予防につなげる共食

家族と同居してはいるものの、孫や世代の違う家族との食事は、嗜好が合わないので一人で食べるという方や、苦手な食事を切り出しにくいなどの声を聞くことがあります。

しかし、嗜好の違いはあるものの、子どもの好きな洋食をほんの少し、和風テイストにアレンジして高齢者も食べやすくすることで新しい発見があるかもしれません。逆に高齢者が好む煮物や総菜類は、子どもの成長に欠かせない栄養素がたっぷりと含まれていることが多々あります。

家族が集う共食の場が、食育となり、介護予防にもつながるようプラス効果を模索しつつ、家族そろって有意義な食事時間を過ごしていただききたいと思います。

画像提供:adobe stock

孤食がもたらす健康への悪影響

孤食とは「一人で食事をとること」です。

高齢者の孤食は、単身世帯の増加が原因のひとつであり、深刻な問題となっています。長引くコロナ禍で外出を控え、自宅に籠りがちになったこと、離れて暮らす親に会いに行けないことも孤食を増加させてしまったことでしょう。

高齢者の孤食は、時に命にかかわる危険性をもたらす可能性があるとも考えられています。孤食の主な問題点を要約すると次のようになります。

高齢者の孤食による問題点

食事の簡素化による栄養バランスの乱れ
免疫力低下につながる
食事摂取量不足による低栄養
体重の減少、骨量の減少につながる
食事意欲の低下
体力の低下、認知機能の低下
うつ状態のリスク増加
認知機能の低下
食事中の誤嚥対策の遅れ
緊急事態の対応遅れへの懸念

孤食対策の背景には、栄養対策と環境対策があります。

栄養対策は、前述のように食事を手軽に済ませることや好きなものを選ぶ傾向があるため、偏食にならないよう注意が必要です。

時折、家族や周囲の人が、一人で食べる食事の様子や食事内容を確認し、どのような食事をとっているかを尋ねるようにしましょう。

高齢者は、安心させようと「大丈夫(問題ない)」と言うことがありますので、良い距離感で見守ることが大切です。困ったときは、食事宅配サービスを活用するのもおすすめです。

環境対策は「コロナ禍で移動制限があった」「家族が離れて暮らす」「もともと一人暮らし」など、やむを得ず孤食しやすい環境にあっても、デイサービスを活用したり、地域交流を活用するなど、孤立しない環境づくりが大切です。

共食には「共感」と「共有」が大切

共食が心身ともに健康に大切であることをお伝えしてきました。

誰かと一緒に食べることは、おいしくてもそうでなくても、食事に対する「共感」が得られます。誰かと「おいしいね」と食べることが、よりいっそうおいしさを育み、食欲増進へとつながるのです。

私が訪問しているデイサービスでは、利用者さんと一緒におやつをつくり、その後、全員でおやつをいただき、食べ終わった後に一言ずつ感想を話します。

難しかったことや楽しかったこと、昔はこうやってつくったなど、毎回会話がはずみます。複数の方から「みんなでつくるおやつがおいしい」「みんなで一緒に食べるとおいしい」という感想を伺うと、改めて食べる環境の大切さを思い知らされます。

私は、共食に必要なのは「共感すること」と「共有すること」なのだと考えています。

単に同席していても孤独を感じることがあるかもしれないので、おいしい食事を囲み、互いに「おいしいね」って声をかけ合えたら、食も進んで介護予防につながるのではないかと思います。ぜひ、それぞれの立場で一緒に食べる機会を見直してみてください。

参考
農林水産省「共食について」
内閣府『高齢化の状況』

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