高齢者は体力や気力の低下から、料理をすることが難しくなる場合もあります。すると低栄養のリスクが高まり、病気や寝たきりの状態になる可能性も高まります。
この状況を打破してくれるのが、スーパーなどで売っているお総菜です。お総菜は高カロリー、高塩分などマイナスイメージを抱くかもしれませんが、活用の仕方によっては高齢者の栄養補給にとても役に立ちます。
今回はおすすめのお総菜と活用のポイントをご紹介いたします。
お総菜は高齢者に不足しがちな栄養を補う
お総菜を活用することで、高齢者に不足しがちな栄養素を補えるほか、さまざまなメリットがあります。
- 不足しがちな栄養素を含むお総菜が多くある
- 多種多様なお総菜があるから飽きにくい
- 手間をかけずに料理が食べられるから、食べることに集中できる
では、高齢者に必要な栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。
高齢者に必要な栄養素と含まれるお総菜
高齢者に必要とされる栄養素は以下の3種類です。
- タンパク質
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含まれるお総菜
- 肉料理(焼き鳥、とんかつ、ハンバーグなど)
- 魚料理(焼き魚、煮魚、刺身など)
- 卵料理(オムライス、卵焼き、とん平焼きなど)
- 大豆製品(揚げ出し豆腐、麻婆豆腐など)
- 乳製品(グラタンなど)
タンパク質は筋肉や皮膚、内臓など、体をつくる栄養素です。タンパク質を多く含む食材は調理をしないと食べられないものが多いうえに、加熱をすると固くなるものもがあります。
そのため、気力や噛む力が低下している高齢者とは相性が良くありません。しかし、タンパク質をしっかり摂らないと低栄養になり、病気や寝たきりの状態になりやすいのです。
- カルシウム
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含まれるお総菜
- 乳製品(グラタン、ポタージュなど)
- 骨ごと使った魚料理(いわし、魚の缶詰、じゃこなど)
- 大豆製品(卯の花、納豆など)
- 野菜料理(小松菜、春菊など)
カルシウムは骨や歯を丈夫にするだけでなく、筋肉の収縮、血液の凝固作用などにも関係があります。
カルシウムが不足した状態が長く続くと、骨折のリスクが上がり、寝たきりの状態になりやすいので注意が必要です。なお、高齢者は若者よりもカルシウムの吸収率が悪くなるので、より積極的に摂取しなくてはなりません。
- 食物繊維
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含まれるお総菜
- きんぴらごぼう
- 卯の花
- 海藻サラダなど
食物繊維は腸内環境を整えてスムーズな排便を促す、血糖値の上昇をおだやかにするなどの働きがあります。食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分けられ、野菜や果物に多く含まれます。
不溶性食物繊維はごぼう、れんこん、きのこなど比較的歯ごたえがある野菜などに含まれます。一方、水溶性食物繊維は海藻、果物、オーツ麦などに含まれるのが特徴です。
どちらもしっかりと噛まないといけないので、高齢者にとって食べにくく、不足しがちになります。

スーパーのお総菜を活用するポイント
お総菜ならどれでもOKというわけではなく、選ぶうえで注意するポイントがあります。
- 1.同じお総菜ばかり選ばない
- 2.タンパク質と野菜のお総菜を1品ずつ取り入れる
- 3.栄養成分表示を確認する
- お総菜のパッケージの多くには、栄養成分表示が記載されています。特にチェックすべきなのは塩分です。高血圧の治療をしている高齢者も多いと思いますので、塩分の摂り過ぎには注意してください。
好みのお総菜があると、つい同じものばかり買ってしまいがちですが、栄養の偏りが懸念されます。
お総菜によっては塩分の摂り過ぎにもつながります。同じお総菜ばかり選ばず、さまざまな種類を選ぶようにしましょう。目新しいお総菜が登場することもあり、新たな発見になるかもしれません。
不足しがちなンパク質と野菜を使ったお総菜を、それぞれ1品ずつ取り入れるのがベストです。
タンパク質のお総菜というと、唐揚げやとんかつなどこってりしたものをイメージしがちですが、焼き魚や揚げ出し豆腐、卵料理など比較的あっさりしたものもあります。
焼き鳥のような一口サイズで食べやすいものも高齢者にはおすすめです。野菜を使ったお総菜は健康志向の高まりから種類が豊富なので、お気に入りを見つけやすいでしょう。
食事制限がある場合は配食サービスがおすすめ
食事制限がある高齢者は、市販のお総菜で栄養コントロールをするのは難しいかもしれません。また、噛んだり飲み込んだりする機能が低下している高齢者も、市販のお総菜では対応できないこともあります。
そんなときは、高齢者向けの配食サービスを利用してみましょう。食事制限がある方向けのメニューや、やわらか食を取り扱っている業者はたくさんあります。
高齢者におすすめのお総菜とアレンジ方法
おすすめのお総菜とそれぞれのアレンジ方法を紹介します。

とんかつ
定番のお総菜であるとんかつは、高齢者にもおすすめです。豚肉に含まれるビタミンB1は糖質の代謝に関係があるので、イキイキと過ごすには欠かせません。とんかつはロースとヒレの2種類があるので、好みで選びましょう。
【アレンジ方法】
脂っこさが苦手な方は、ポン酢をかけて大根おろしと一緒に食べるるのがおすすめです。柔らかさを求めるなら、卵とじにしましょう。
いわしの煮物
いわしの煮物は常温のお総菜コーナーだけでなく、パウチ入りのものが冷蔵コーナーで販売されていることも多く、通年手に入りやすいです。
いわしの煮物は骨ごと食べられるので、タンパク質とカルシウムを一緒に摂取できます。
【アレンジ方法】
そのまま食べるのに飽きたら、米とあわせて炊き込みご飯にしてみましょう。
卯の花
おからを使った定番のお総菜、卯の花もおすすめです。食物繊維がたっぷり摂れるだけでなく、カルシウム、タンパク質も摂れる優れものです。
【アレンジ方法】
ひき肉を卯の花、卵をよく混ぜ、小判型に整えて焼くとハンバーグがつくれます。ひき肉だけでつくるときよりもやわらかくなるので、高齢者でも食べやすくなります。
手軽でおいしいお総菜は、高齢者が健康的な食生活を送るための心強い味方になります。毎回同じお総菜を選ばない、タンパク質と野菜を含むお総菜を1品ずつ選ぶなど、ポイントを押さえて豊かな食生活を送りましょう。