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第51回

高齢者のたんぱく質摂取におすすめな食材とは?筋力低下予防のための推奨摂取量を紹介

最終更新日時 2022/06/15
#高齢者の健康
タンパク質は筋肉を維持するために不可欠な栄養素です。主に肉類や魚介類に多く含まれていますが、高齢者は摂食嚥下(えんげ)能力の低下によって、摂取を避ける傾向が強まります。そこで、今回は高齢者でも簡単につくれて食べられるタンパク質レシピを紹介します。

高齢になると膝や腰の痛みが気になって活動的でなくなり、「感染症が心配で出かけない」「近隣に友人がいなくなり出かけることが減ってしまった」という生活が続くことがあります。

このような方は「生活不活発病」といわれる状態になり、身体を動かす時間が短くなって徐々に筋力が低下していきます。

筋力が低下すると、日常生活(家事全般・入浴動作・趣味活動など)を送りにくくなり、さらに活動量が減ってしまうという負のスパイラルに入ってしまいます。

今回は筋力低下を防ぐために食事面で気をつけること、筋力を維持するポイントを紹介します。

タンパク質は人間の身体に欠かせない栄養素

人間の体は、水分を除くと身体の重量の約半分(15~20%)がタンパク質です。筋肉や臓器、皮膚や爪の主成分はタンパク質で構成されており、人の身体に欠かせない栄養素の一つです。タンパク質の主な働きは次の通りです。

タンパク質の働き

  • 代謝の機能を調整する
  • 体内で物質を運搬する
  • 自己免疫を高める
  • 身体(髪の毛や爪、臓器、筋肉)などをつくる
  • ホルモンや抗体などの身体の機能を調整する
  • 脳の発達や機能を助ける

タンパク質が身体に入ると、アミノ酸に分解されて身体に吸収されます。身体に吸収されたアミノ酸は必要なタンパク質へと再合成され、さまざまな機能を果たしています。

筋肉維持に大切なタンパク質とビタミンD

筋肉は合成と分解が常に繰り返されています。食事でタンパク質をしっかり摂取し、合成を活発にすることが必要です。

タンパク質は、肉・魚・卵・牛乳などに多く含まれる「動物性タンパク質」と、大豆や穀物などに多く含まれる「植物性タンパク質」に分けられます。どちらもバランス良く摂りましょう。

筋肉にとってもう一つ大事な栄養素が、ビタミンDです。魚介類、卵、きのこに多く含まれています。ビタミンDには、体内のカルシウム吸収を促して骨を増強するとともに、筋肉の合成を促す作用があります。

また、ビタミンDは日光に当たると体内で合成されるため、少しの時間でも日光に当たることが大切です。

高齢者は咀嚼機能が低下し、多くの量を食べられなかったりするので、肉や魚などのタンパク質が不足しやすくなります。

そのため、ごはんやパン、麵類などのやわらかく食べやすい炭水化物を中心とした食事になってしまいがちなので、メニューを工夫して積極的にタンパク質やビタミンDの摂取量を増やすようにしましょう。

ビタミンD摂取のためには日光に当たることも大切

どのくらいのタンパク質をとればよいか?

厚生労働省は、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で1日の食事摂取基準の推奨量と目標量を定めています。

2020年度版では、高齢者の低栄養予防やフレイル予防のために、50歳以上が目標とするタンパク質摂取の下限値が他の年齢区分より引き上げられました。

タンパク質の摂取基準
(推奨量:g/日 目標量:%エネルギー)
年齢 男性 女性
推奨量 目標量 推奨量 目標量
1~2歳 20 13~20 20 13~20
3~5歳 25 25
6~7歳 30 30
8~9歳 40 40
10~11歳 45 50
12~14歳 60 55
15~17歳 65
18~49歳 50
50~64歳 14~20 14~20
65~74歳 60 15~20 15~20
75歳以上
出典:日本人の食事摂取基準策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

なお、推奨量は1日の必要量に達すると推定される摂取量を意味し、目標量は生活習慣病予防のため目標とすべき摂取量を意味します。

筋肉はエネルギーの貯蔵庫で、血糖値の調整を行う働きもあります。食事をとると、血液中の糖が多くなります。糖の一部は脂肪にも蓄えられますが、多くは筋肉にため込まれます。

そのため、筋肉の量が減ると、糖をためておく場所が少なくなるため、血糖値が変動しやすくなります。糖尿病になる可能性も高まることがあるため、注意が必要です。

高齢者でもできる簡単レシピ

食事を取る際に気をつけたいのが、タンパク質が多いかどうかです。タンパク質をきちんと摂取すれば、筋肉を増やすことができます。タンパク質の多い食材は主に肉類・魚介類・卵・大豆製品です。

肉類

牛ヒレ肉、豚ヒレ肉、豚もも肉、鶏むね肉、ささみ、レバー、砂肝など

魚介類

サケ、タラ、マグロ(赤身)、エビ、アジなど

手軽に摂取するなら、スーパーやコンビニで販売されている「サラダチキン」や家で簡単にできる「ゆで卵」がおすすめです。これらはおやつの代わりに食べることもできます。

野菜など健康的な食材も取り入れながら、適切な体調管理を続けましょう。

皮膚や赤血球、筋肉細胞など、身体の中のタンパク質は日々壊れてはつくられるといった循環を繰り返しています。このサイクルを機能させるため、タンパク質を毎日の食事にバランスよく取り入れていくことが大切です。

今回は、簡単につくれるお好み焼風レシピをご紹介しますので、ぜひ試してみてください。

簡単お好み焼き風レシピ

【材料】

  • もやし:1袋
  • ツナ缶かサバ缶:1個
  • 卵:1個
  • おからパウダー:お好みの量
  • 削り節:お好みの量
  • お好み焼きソース:お好みの量
  • マヨネーズ:お好みの量

【つくり方】

  1. もやしを袋ごと手でもむ
  2. ボールに卵・サバかツナ缶、もやしを入れて混ぜる
  3. おからパウダーを入れる方はここで混ぜる
  4. フライパンやホットプレートで両面を焼く
  5. お好み焼きソースやマヨネーズをかける
まな板いらずでつくれる超簡単メニュー

まな板も必要なく、エネルギーやタンパク質が取れて非常に簡単です。高齢になると、一度にたくさんの量を食べることが難しくなるため、朝・昼・夕の食事にお好きなタンパク質が入った食材を取り入れて、筋肉の低下を防ぎましょう。

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