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第4回

認知症で食事に砂糖をかけすぎる…。栄養価が高く調理しやすい食事をつくる5つの工夫を管理栄養士が紹介

最終更新日時 2019/03/27
#高齢者の健康
今回は、在宅の高齢者の方に対して食支援をする方に、高齢者の食生活にはさまざまなケースがあることや、実際の食支援の事例から学べることを伝えたいと思います。知り合いのケアマネジャーが、要介護者の奥様から「夫が食事に砂糖をかけないと食べないのだけども、このままで良いのでしょうか?」と言われてどう対応するべきか悩んでいると、私に相談がありました。

みなさんこんにちは。(公社)大分県栄養士会の栄養ケア・ステーションを担当している、管理栄養士の濱田美紀です。

自宅で生活する高齢者の方が、食生活の乱れから健康を崩すケースが少なくないのをご存知でしょうか。

今回は、認知症の方が偏った食事をする事例を用いて、本人やご家庭に合った食事の栄養価をあげるための工夫を解説したいと思います。

認知症の男性が「食事に砂糖をかけすぎる」ケースに遭遇!

知り合いのケアマネジャーが、利用者さんの奥さまに「夫が食事に砂糖をかけないと食べないのですが、このままで良いのでしょうか?」と言われ、どう対応するべきか悩んでいる…と私に相談してきました。

話を聞いたとき、私は「砂糖をかけないと食べない」という状況がイメージできませんでした。

そこで私は当事者の方に話を聞こうと思い、その方の自宅を訪問してみました。

そのご家庭では、アルツハイマー型認知症で要支援2になっている80代のご主人と、70代後半の奥様が二人暮らしをしています。

まずはご主人に話を聞いてみたのですが、認知症があるためか、なかなか聞いていることの返答がもらえませんでした。

そこでアセスメント(情報の収集・分析)をするために、奥さまにくわしく話を聞きました。

奥様によると、ご主人は半年くらい前から、甘くないものを食べなくなったそうです。

どうして良いかわからない奥様は、甘くするものといえば“砂糖”だと思い、食卓に置くようにしました。

すると、野菜の煮物や魚料理、肉料理など、どのようなものにもスプーン1~2杯かけて食べるようになったそうです。

私はその話を聞いて、実際に奥さまに昼食を作ってもらいました。

食卓に座ったご主人の様子を、私は少し離れた場所でこっそりと見ることにしました。

するとご主人は、まったく口をつけてない状態で、食事に砂糖をたっぷりとかけたのです。

献立は・肉うどん・ほうれん草のおひたし。

それらを半分ほど食べてから、ご主人は「パンが欲しい」と言ってジャムパンを食べはじめました。

その様子を見た私がびっくりして奥さまに事情を尋ねると、ご主人はいつも食前に砂糖をかけて食べ始めると、その途中で食べるのをやめて、ジャムをたっぷり塗った1枚の食パンを食べるらしいのです。

そのほかの食事について聞くと、いつも汁物は半分くらい食べていて、食事や感触時にはお茶などの飲み物をよく飲んでいる、とのことで、食事の摂取量がそもそも少ないようでした。

ご主人の一日の過ごし方を聞くと、食事、トイレ、入浴(週に2回程度)以外はほとんど居間で座っているそうです。

私も担当のケアマネジャーも、このような事例を経験したことがありませんでした。

健康的な食生活のためのひと工夫

私は、ご主人の食事摂取量が少ないことと、毎日の活動量が少ないことが関係しているかもしれないと考えました。

そこでケアマネジャーと相談して、支援の目標を「必要な栄養量を摂ること」と「一日の活動量を増やして食事摂取量を増やすこと」に決めたのです。

私は管理栄養士として、高齢の奥さまでも毎日の調理がしやすい食事を提案するために、料理は奥様が日々作っているもののまま、栄養価をできるだけ増やす工夫を伝えました。

食事の栄養価をあげるための工夫

  • 1番よく食べている食パンを濃厚流動食のバニラ味で浸してフレンチトーストにして、かつイチゴジャムを薄くぬる
  • 毎回の飲み物もお茶ではなく、見た目が変化しないようにコップのまま濃厚流動食を準備する
  • お茶以外にも、牛乳や豆乳も飲んでもらう
  • 汁物は半分量飲めるとのことだったので、家にある野菜や肉、魚、卵を入れた汁物を作る
  • どうしても食事を食べないときは無理に勧めないで、間食で食べてもらう

この5つの項目について、できることから取り組むだけでも摂取する栄養量は増えます。

そのうえ、料理をされている奥様の負担が大きくありません。

この食事にしてから1週間後に再び訪問すると、「栄養たっぷりフレンチトーストと濃厚流動食は続けて食べています!」と、奥さまは喜んでくれました。

そしてこの食事に変えてから、おかずに砂糖はかけなくなったとのことでした(原因は不明ですが…)。

ただ、おかずは相変わらず全部の量は食べていないようです。

奥様には、「これまでの食事に比べてたんぱく質やビタミンなどの摂取量は増えているので、この食事を継続してみましょう」と伝えました。

すると、奥様は「これなら続けることができます!」と頷き、食事内容の不安が、少し解消されたようでした。

ケアマネジャーは奥さまに対して、ご主人の日中の活動量が増えて食欲がでるように、介護予防訪問リハビリテーションをすすめたり近隣の方が参加しているサロンをすすめたりしていました。

外出する必要があるサロンにはなかなか行けないようでしたが、家に来てくれる介護予防訪問リハビリテーションは嬉しそうに受け入れていました。

私が最初に訪問してから半年が経ちましたが、今でも奥様と在宅生活を続けられています。

管理栄養士にできること

私たち管理栄養士は、訪問した方の食生活を毎日確認することはできません。

できることは、介護者が簡単に続けられる食事を伝えること。

加えて、支援しているケアマネジャーや訪問介護員、通所事業所の職員に、個々人に応じた食生活の支援のポイントを伝えることです。

これからも在宅生活をされている方の食生活は一人ひとり違うので、その方にあった支援を伝えたいと思っています。

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