皆さん、こんにちは。管理栄養士の濱田美紀です。
今回は、健康状態から要介護状態へと移行する段階である「フレイル」と体重の関連性について解説いたします。
フレイル予防について
高齢者は、健康障がいに陥りやすくなるフレイルという状態になりやすくなります。フレイルの定義は以下の通りです。
- 体重減少がある
- 疲労感がある
- 活動度が減った
- 歩行速度が遅くなるなどの身体機能の低下
- 筋力(握力)の低下
この1~5のなかの3項目に当てはまる場合はフレイルの状態になっている可能性があります。
日常生活では、以下の1~3のようなことがないか考えてみてください。
- 友達付き合いが減り、地域の行事に参加しないなど、外出の機会が減った
- 食べ物が噛みにくい・飲み物でむせることが増えたりして食べる量が減った
- 何もする気にならない・何かをすることがおっくうになったなど精神的に落ち込んでいる
これらの項目にあてはまる方もフレイルに近づいていると考えられるので注意が必要です。
フレイルの状態になる原因の一つに、筋肉量の減少や筋力(握力)の低下、歩行速度が遅くなるなどの身体能力の低下があり(サルコペニア)、この状態になるような要因として必要な食事が摂れない(低栄養)もあると考えられています。
低栄養になる原因としては、一人暮らしになってしまったことや経済面での問題、認知症、加齢による食欲の低下、慢性疾患や服薬状況、義歯が合わず食べ物が噛みにくいなどの口腔の問題、日常生活での動きが減ってしまい食欲がない(廃用)などがあります。

体重を増やせばフレイルにならないのか?
フレイル予防のためには、低栄養にならないことが重要だとされています。
日本人の食事摂取基準2020年版によると75歳以上の目標とするBMI(体格指数)は21.5~24.9となっています。これは他の年代よりも高い値です。
上記のようなフレイルの状態は、自分に必要な栄養が摂れていない方でも起こしやすくなっていることを考えると、必要な体重を保つことで予防もできると考えられます。
では、若いころから痩せ気味で元気よく日常生活が過ごせている方が目標のBMIまで太らなければならないかというと、そんなことはありません。現在の体重で問題なく生活できており、疾病も心配がない方は、今の体重を維持できるような生活で問題ありません。
どのような方に気をつけていただきたいかと言うと、高齢になるに伴って、だんだん体重が減ってきた方です。逆に、だんだん体重が増えて動くことがきつくなった方など、体重の変化とともに日常生活に支障が出てきた方は、ご自分が一番元気で動くことができていた体重を目指すようにしましょう。
現在治療中の病気がある方は、服薬内容や病状でも体重の変化があると考えらるため、減量や体重増加を目指す前には必ず主治医に相談をしましょう。
フレイル予防のためには、理想体重を目指すことも大切ですが、まずは次のことを気をつけてください。
- 口腔ケアをしっかり行い、必要な栄養を摂ること
- 自分の体に合わせて活動を行い筋肉をつける
- 趣味やボランテイアなど社会参加の機会を増やして、身体と心を健康に保つこと

身の回りの方がフレイルにならないように、体調の変化などに注意してしっかり予防してくださいね!