皆さん、こんにちは。(公社)大分県栄養士会の栄養ケア・ステーションを担当している管理栄養士の濱田美紀です。
今回は、「食物アレルギーの症状と予防方法」についてお話ししたいと思います。
食物アレルギーを発症すると死に至る可能性も…
食物アレルギーとは、アレルギーの原因となる食べものを摂取した際に、食べものに含まれているたんぱく質などが消化管から吸収されることでアレルギー反応を引き起こす現象のことです。
食物アレルギーの主な症状は皮膚やかぶれ、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)といった皮膚の症状が多く見られます。ほかにも下痢や呼吸困難、目や唇の腫れなどさまざまな症状が現れるのですが、これらの症状が出るのは比較的早いです。食べものを取り入れてから早くて15分以内、遅くて1時間~2時間以内に現れることが多いとされています。
また、アレルギーがひどくなると複数の症状が現れます。蕁麻疹や皮膚のかゆみ、むくみといった皮膚への症状や、吐き気や下痢などの消化器への症状などです。激しくアレルギーの症状が出ると、血圧の低下や意識障がいを引き起こす「アナフィラキシーショック」となり、最悪死に至ることもあります。
アレルギー反応の出る加工食品に注意
成人までの年齢でアレルギー反応が多く出る食品は以下の通りです。
- 卵
- 牛乳
- 小麦
- 魚類
- そば
- エビ
- 果物
- ピーナッツ
- 大豆 など
これらの食品は単品でも食べる機会は多いと思いますが、気をつけるべきなのは、加工食品に含まれていることが多いということです。
食品を買うときは必ず原材料名をチェック
成人になってからアレルギーを発症した場合、原因となる食べものの傾向が異なります。りんごや桃、梨などの「果物・野菜」によるアレルギーや「小麦」、「甲殻類(エビ、カニなど)」によるアレルギーが多いようです。
食物アレルギーのある方は、スーパーなどで惣菜やお弁当、パンなどを購入する際は食品表示を確認し、アレルギーを発症する食べものが含まれていないかを必ず確認してください。厚生労働省が2001年4月1日より、アレルギー物質を含む食品表示を示すよう義務化しています。原材料名に詳しく書いてありますので、確認してみてください。
法令で規定する特定原材料※下記関しては微量混入・添加物のレベルでも表示義務あり
- 卵
- 乳又は乳製品
- 小麦
- そば
- ピーナッツ
表示を奨励する特定原材料
- あわび
- いか
- いくら
- えび
- オレンジ
- かに
- キウイフルーツ
- 牛肉
- クルミ
- 鮭(さけ)
- 鯖(さば)
- 大豆
- 鶏肉
- 豚肉
- 松茸
- 桃
- 山芋
- りんご
- ゼラチン
もし自身のアレルギーがわからない場合は、病院で調べることが可能です。気になった方は相談してみましょう。
高齢者はアレルギーを発症すると合併症を起こすことも
高齢者の方の場合、アレルギーの症状の中で特に注意すべきなのは「喘息」です。喘息の症状としては、咳や痰(たん)、喘鳴(ぜんめい:呼吸時に「ヒューヒュー」といった音が鳴ること)、息が苦しくなるなどが典型的ですが、発作が激しくなると呼吸困難に陥ることがあり、症状が悪化すると命にかかわる場合もあります。
特に高齢者の方における喘息の場合は、アレルギーの原因である「アレルゲン」が見つからないことも多く、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や心臓病など、ほかの病気を合併していることも少なくありません。合併症が起きると喘息が重症化しやすくなり、呼吸機能も大きく低下することがあります。
もともと疾患があり治療している場合、その方が高齢者であれば食品に限らず何にアレルギーがあるのかを調べ、周囲の方に伝えておくことはとても大切です。