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第25回

死後事務委任契約とは?身寄りがいない高齢者が自分の死後の手続きに備えておくべき方法

最終更新日時 2020/01/27
#看取り・終活
こんにちは。安部行政書士・社会保険労務士・FP事務所の安部静男です。今回は、家族や親族がいない、または疎遠になっているなど、最期を迎えたときに頼ることができる人がいない場合に活用できる制度、「死後事務委任契約」についてご紹介いたします。

こんにちは。

安部行政書士・社会保険労務士・FP事務所の安部静男です。

私は、高齢者の介護施設で長く仕事をしていました。

現在はケアマネージャーとして、高齢者のケアプランの作成にも携わっています。

最近は、一人暮らしの高齢者世帯が増えていて、ご自身が亡くなった後のことを相談される機会が増えてきました。

今回は、家族や親族がいない、または疎遠になっているなど、最期を迎えたときに頼ることができる人がいない場合に活用できる制度、「死後事務委任契約」についてご紹介いたします。

身寄りのない高齢者が増え続けている

死後事務委任契約の内容をみる前に、現在のわが国の状況をみてみましょう。

「平成28年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者のいる世帯は増え続けており、2014年には全世帯の46.7%を占める状況です。

また、2014年の高齢者についてみると、「子どもと同居する高齢者の世帯」は40.6%で、「高齢者の夫婦のみ世帯(38.0%)」と「高齢者の単独世帯(17.4%)」の合計は55.4%でした。

つまり、高齢者の半数以上が独居または夫婦のみで生活している状況です。

このことから考えるに、死後に身寄りがない、頼ることのできる家族や親族がいないという状況は、今後ますます増えてくるのはないでしょうか?

一人暮らしの男性高齢者と、夫婦で暮らす高齢者

死亡後に必要な手続きの代表的な例

人が亡くなった後に必要な手続きのうち、主なものをまとめました。

  • 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
  • 菩提寺の選定、墓石建立に関する事務
  • 医療費、老人ホームなどの施設利用料の支払いに関する事務
  • 家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金などの支払いに関する事務
  • 家財道具や生活用品の処分、賃借建物明渡しに関する事務
  • 行政官庁などへの諸届け事務
  • 親族などの関係者への連絡事務

上記以外にも、まだまだ多くの手続きが必要です。

通常、これらの事務手続きは家族や親族が行います。

しかし、身寄りがいない方や、いたとしても疎遠になっていて連絡先もわからないなどの場合には、誰もその手続きをしてくれる人はいません。

そのようなとき、生きている間に、死後のさまざまな事務手続きを信頼できる専門家などに依頼できる制度が「死後事務委任契約」です。

喪服で手を合わせる若い女性と、役所で話をする若い女性

死後事務委任契約とは「死後の手続きを生前に委任する契約」

「死後事務委任契約」とは、委任者(本人)が、受任者(死後の手続きを引き受けてくれる人)に対し、自分が亡くなった後の手続きなどについて、生前に委任をする契約のこと。

例えば、家族や親族がいない、または疎遠になっている場合、自分の死後の手続きを自身が望む形で行うことは難しいと思います。

そのような場合に、自分の死後の手続きを、生前に第三者に委任して確実に実現するために死後事務委任契約を締結します。

死後事務委任契約は当事者同士の契約です。

遺言書のように法定の要件(※)はありません。

※法定の要件…法律効果を生じさせるための条件。例えば、遺言書を有効にするための条件として、遺言時に15歳以上で意思能力があることなどが定められている。

一般的な契約書でも有効ですが、適正な契約書を作成する必要がありますので公正証書(※)で契約を結ぶことがおすすめです。

※公正証書…公証人という法律の専門家が作成する文書。これは証拠としての力が強く、紛失や改ざんを防ぐことができる。

お金とお墓のことを考えるおじいさんと若い男性

依頼する相手に制限はない

死後の手続きを依頼する相手に制限はありません。

信頼できる友人や知人でもかまいません。

専門的な知識の必要な手続きがある場合、専門家に依頼することもできます。

公正証書による死後事務委任契約の流れ

まず、必要書類を準備しなければなりません。

委任者(依頼する人)と受任者(依頼される人)は、それぞれ、①~④のいずれかを公証役場(※)にご持参ください。

※公証役場…公正証書を作成するための役所

  • ①印鑑証明書(発行後3ヵ月以内)と実印
  • ②自動車運転免許証と認印
  • ③住民基本台帳カード(顔写真付き)と認印
  • ④個人番号カード(顔写真付き)と認印

くわしくは、事前にお近くの公証役場に確認すると良いでしょう。

続いて、作成の流れを解説しましょう。

  • ①相談受付…委任者と受任者が、必要書類を持参して、公証役場を訪問し、公証人から説明を受ける
  • ※公証役場の訪問前に、事前に予約をしておくと良いでしょう
  • ②日時の決定…死後事務委任契約書案の内容確認・検討及び作成日時の調整・決定がなされる
  • ③作成当日…当事者2人が実印または認印(本人確認書類により相違)を持参のうえ、公証役場に出向き、公正証書の内容を確認。内容に問題がなければ、署名押印して完成。

上記は、一般的な手続きの流れです。

詳細はお近くの公証役場に確認すると良いでしょう。

最後に一言

ここまで死後事務委任契約についてみてきました。

「一人暮らしで家族や親族がいない」「親戚と疎遠で、自分の死後の手続きをしてくれる人がいない」…といったことから、「自分が死んだ後はどうなるのだろうか?」と不安に思っている方。

事前の準備で、不安を軽減できます。

そのようなときには、死後事務委任契約の活用を検討しても良いのではないでしょうか?

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