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第60回

「あっ!薬を飲ませるの忘れた!」。62%の介護者が困っている“服薬管理”。在宅介護歴6年目の失敗談と成功談~なかなか寝てくれない祖母~

最終更新日時 2018/11/15
#親の介護 #薬
主治医に興奮気味に「転倒して怪我をしてしまったんですよ!!転倒する可能性が低いって言ったじゃないですか!」と訴えました。祖母が転倒する前の日に、主治医に対して「転倒する可能性が一番低い薬で良いので、処方をお願いします」と伝えていたのです。興奮気味の私に対して主治医が冷静に、「転倒する可能性はゼロではありません。その日の体調などによりそうなることもあります。ほかの薬との兼ね合いもあったかもしれません。万全を尽くしますが、医者でも防ぎようがないときもあります」と言われました。

こんにちは。大阪在住のフリーライターで、要介護4の祖母の在宅介護6年目の奥村シンゴです。

今回は、在宅介護に付きまとう「薬にまつわる問題」を介護者の目線から、私の体験談を混じえて書いていきたいと思います。みなさんの介護生活に少しでも参考にしていただけると幸いです。

在宅介護の服薬管理で大変なこと

私の祖母は現在、認知症、肥満、間質性肺炎、変形性膝関節症を患っています。

認知症には「メマリー」という進行予防薬を夕食後1日5mg服用します。

さらに、肥満や動脈硬化予防に朝食後「ロトリガ粒錠カプセル」2gを1日1回、「コメリアンコーワ」100mgを1日3回、便秘予防は「マグミット」330mgを1日3回服用しています。変形性膝関節症は痛みを感じないときに「ロキプロフェンNaテープ」100mgを適宜貼っています。

これだけさまざまな薬を服用していると、管理する介護者側も大変です。

また、祖母は夜間の睡眠が浅いときと深いときに突然叫んだり、「誰かいるの?」などと、妄想や幻視で情緒が安定しなかったりと、日によって状態が違います。

私は、ほとんど寝られない日が続き、主治医に相談し一度「マイスリー」という睡眠剤を使用したことがあります。

祖母に薬を飲ませ、ほっと一息ついたのもつかの間、突然ガラスの割れる音が。びっくりして音がした方に向かうと祖母が転倒し、割れた食器で手を切り、多量に出血をしていました。慌てて病院に連れて行きましたが、幸いにも軽症で済みました。

私は主治医に興奮気味に「転倒して怪我をしてしまったんですよ!!転倒する可能性が低いって言ったじゃないですか!」と訴えました。祖母が転倒する前の日に、主治医に対して「転倒する可能性が一番低い薬で良いので、処方をお願いします」と伝えていたのです。

興奮気味の私に対して主治医が冷静に、「転倒する可能性はゼロではありません。その日の体調などによりそうなることもあります。ほかの薬との兼ね合いもあったかもしれません。万全を尽くしますが、医者でも防ぎようがないときもあります」と言われました。

それ以来、睡眠剤はロゼレム1錠のみでなんとかやり過ごしています。睡眠剤を多めに服用すると転倒、少なめだと睡眠不足…。どちらもリスクが伴うため、介護者は難しい決断を迫られることになるでしょう。医者でも解決できないときは、介護者が認知症の方の体調や症状を見て、判断することが重要になってくるかと思います。

認知症患者の服薬で大変なこと

祖母は認知症初期の頃、「私はどこも悪くないのに、なんで薬を飲まないといけないの?」「一体これは何の薬なの?」「私を早く殺す気かい?飲まないよ、まだまだ生きたいからね」と言い出すことが何度もあり、とても大変でした。

私は「おばあちゃんが長生きしてほしいための薬を飲んでほしいだけや」と説得し続け、徐々に飲み始めてくれたのを覚えています。

現在は認知症が進行したこともあてっか、何の抵抗もなく薬を服用しているのをみると、祖母は心のどこかで薬の効果を感じているのではないかと思っています。

服薬で気になることがあったので、「世の人が服薬で苦労していることはなんだろう?」と、一般社団法人全国介護支援協議会が薬と健康に関する意識調査を在宅介護中の男女200人に「服薬の苦労」の内容を調査しました。それによると、「薬を飲み忘れないように気をつけている」が62.0%と圧倒的に多く、「薬の注意事項を守って飲ませる」と「要介護者が薬を飲ませるまでに時間がかかる」が共に16.4%、「薬を飲ませるタイミング」が15.2%と続いています。

多くの在宅介護をする人が薬をどう飲んでもらうかで悩んでいることがわかります。

服薬時の成功談と失敗談

ショートステイやお泊りデイサービスの利用時に用意する薬を忘れてしまい、施設まで持っていくという失敗が何度かありました。

「やっと休める」と思った瞬間に携帯電話が鳴り「すいません、薬を持たせ忘れているようなので、持ってきて来てもらえますでしょうか」と、何度か施設に祖母の薬を渡しに行ったことがあります。

介護施設と契約する際には、服用中の薬のデータを渡す必要があり、一錠でも間違っていたり、足りなかったりすると連絡がきます。私の祖母がお世話になっている介護施設は良心的なところが多く、わざわざ隣の市から1時間以上かけてスタッフが車でとりに来てくれる場合もあり、恵まれていると思います。

私の服薬での成功談としては、介護生活6年間、何度か打撲や転倒はあるものの大きな怪我がなかったことです。いまだに片杖ではありますが歩けて、認知症に関しては「メマリー」のみの服用で済んでいます。

しかし、ここ半年で、徘徊や夜間突然大声で叫ぶなどの症状が祖母にみられるようになってきたため、「エビリファイ」という安定剤を使って直してもらいました。しかし、2度使用しましたが、お箸のもち方やご飯の食べ方がわからなくなり、かえって混乱してしまったので使用を中止しました。

本人の生命力や訪問看護士、デイサービスなど周囲にも恵まれたことも重なり私は祖母に極力、人間らしく過ごしてほしいと思っています。

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