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第516回

福祉車両の助成金は家族でも使える?補助制度と申請手順を徹底解説

最終更新日時 2025/09/09
#親の介護
目 次

福祉車両の助成金の基本制度を理解しよう

福祉車両の助成金制度の全体像

福祉車両の助成金制度は、車椅子を利用される方や身体の不自由な方の移動を支援するため、全国の自治体で提供されている重要な制度です。この制度を理解することで、介護が必要な当事者だけでなく、家族の経済負担も大幅に軽減できます。

こうした制度にはさまざまな注意点があります。

例えば、過去7年以内に同様の助成を受けた経験がある方や、営業用車両として使用予定の場合は対象外となってしまいます。

また、申請は必ず車両を購入する前に行う必要があり、所得制限も設けられているため、事前の確認が欠かせません。

この制度の基本構造を理解しておくことで、ご家族の状況に合わせた適切な支援の提案ができるようになります。助成金の活用により、介護に必要な移動手段を無理のない範囲で確保することが期待できるでしょう。

家族が助成金の対象となる制度の種類

福祉車両に関する助成制度は、本人だけでなく家族も対象となるものもあります。

制度の全体像を把握するため、主要な助成制度について整理してみましょう。

福祉車両の補助金・助成金等の一覧(図版作成:編集部)
出典:東京都主税局「自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内」
国税庁「No.6214 身体障害者用物品に該当する自動車」
東京都新宿区障害者福祉課支援係 「自動車改造費の助成」
全国社会福祉協議会「福祉の貸付制度」
NEXCO東日本「有料道路における障害者割引」を基に作成

上記の表に示すように、福祉車両に関する助成制度は大きく5つの種類に分類されます。

自動車税環境性能割・種別割の減免制度
対象者であれば軽自動車やオートバイ、原付等でも減免を受けられますが、1人につき1台の車両に限定されます。
8ナンバー車両の助成制度
8ナンバー車両とは、キャンピングカーや福祉車両などの「特種用途自動車」として分類される車両です。
登録番号の分類番号の先頭が「8」になることから、通称「8ナンバー」と呼ばれています。
福祉車両として構造変更することで個人でも取得可能であり、自動車税の軽減や車検期間の延長などの優遇措置が利用でき、維持費削減につながります。
消費税非課税制度
福祉車両として認定された車両であれば、購入時の消費税が免除され、大きな負担軽減が期待できます。
自治体独自の補助金制度
福祉車両への改造、または改造された福祉車両の購入に限定されており、対象範囲が限られています。
社会福祉協議会の低金利融資制度
所得制限があり、福祉車両の購入または改造に利用できます。返済は必要ですが、低金利で初期費用を分散できます。
高速道路料金の割引制度
高齢者や障がいのある方本人が運転する場合、または介護者が同乗者として障がいのある方を乗せて運転する場合に利用できます。既存の車両でも活用可能です。

これらの制度は自治体により内容や条件が異なるため、お住まいの地域で利用可能な制度を事前に調べることが大切です。複数の制度を組み合わせることで、より充実した支援を受けられる可能性もあります。

個人向けの貸付と助成金の違い

福祉車両の購入を検討している際には、利用できる助成金制度と貸付制度の違いを理解しておくことが重要です。それぞれの特徴を把握することで、ご家族の状況に最も適した制度を選択することができます。

助成金制度の利点のひとつとして、給付されたお金の返済が一切不要であることがあげられます。受給できれば福祉車両購入時の負担を軽減することができます。

しかし、その分所得制限などの条件が厳しく設定されていることが一般的であり、一定以上の収入があるご家庭では対象外となる場合もあります。

一方、貸付制度は返済の義務がありますが、助成金に比べて審査が柔軟な場合もあります。

無利子または低利での貸し付けを利用することで、経済状況が厳しいご家庭でも、分割返済などにより無理のない範囲で福祉車両を導入できる可能性があります。

また、両制度を組み合わせて利用することが可能な場合もあります。家族の経済状況と介護の必要性を総合的に判断して、最適な組み合わせを見つけることが大切です。

福祉車両の補助金・助成金等の一覧(図版作成:編集部)

家族が福祉車両の助成金や補助金を受けるための条件と手続き

福祉車両の助成制度を利用するためには、対象となる条件を満たし、適切な手続きを行うことが必要です。申請の流れやポイントを事前に把握して、スムーズに助成を受けられるよう進めましょう。

家族が助成を受けるための具体的な条件とは?

多くの自治体では、本人以外の家族でも一定の条件を満たせば助成を受けることができます。

同居要件
助成対象となるご家族は、障害者ご本人と同じ住所に住民登録されている必要があります。
別居されているご家族や、住民票上の住所が異なる場合は対象外となるパターンが多いです。
これは車両が日常的な介護支援に使用されることを前提としているために設定されています。
車両の使用目的
福祉車両は障害者ご本人の通院、通所、外出支援などに使用されることが前提です。
ご家族の通勤や日常の買い物のみに使用する場合は対象外となる可能性があります。
申請時には具体的な使用目的と頻度を明確にする必要があります。
所得制限
多くの自治体では、世帯全体の所得が一定額を超える場合は助成対象外となります。
この場合の「世帯」には同居されているご家族全員の収入が含まれるため、
事前に世帯収入の合計を確認しておくことが重要です。
車両の所有者
障害者ご本人名義での所有が原則となっている自治体もあれば、同居のご家族名義でも認められる場合もあります。
この点は自治体により大きく異なるため、申請前に必ず確認する必要があります。
運転者の条件
車両を運転するのは障害者ご本人である必要はなく、ご家族が代理で運転することは一般的に認められています。
必要に応じて福祉車両の運転に関する講習受講が求められる場合もあります。

自治体による助成金と申請手続きの流れを押さえよう

自治体ごとに申請方法や必要書類が異なるため、スムーズな申請を行うには事前に手続きの流れを把握しておくことが大切です。ここでは、代表的な自治体の例を参考に、一般的な申請手続きについて説明します。

例えば港区の福祉車両購入助成では、まず購入前に窓口または電子申請で相談・申請を行います。

申請に必要な書類には、身分証明書、障害者手帳、所得を証明する資料などが含まれます。申請窓口は区民課・保健福祉係に設置されており、申請書は各支所でも入手可能です。

渋谷区においても同様に、障がい者福祉課への申請が必要となります。窓口での申請に加えて郵送やLINEでの申請にも対応しています。どの申請方法を選択する場合でも、障害者手帳等の添付が必須となっています。

一般的な申請の流れは以下のような段階で進みます。

  1. 窓口へ相談
    制度の詳細について窓口での相談を行い、対象要件を満たしているかを確認します。
  2. 書類の準備
    必要な申請書類を取得し、記入漏れや添付書類の不備がないように準備を進めます。
    申請書類の準備では、障害者手帳のコピー、住民票、所得証明書、車両の見積書などが一般的に必要となります。
    (自治体によっては医師の意見書や、車両の使用目的を詳細に記載した書類の提出を求められる場合もあります。)
  3. 申請・審査
    申請を行い、自治体による審査を経て、助成金の交付決定が行われます。

手続きの所要期間は自治体により異なりますが、申請から交付決定まで大体1ヵ月から3ヵ月程度を見込んでおくことが適切です。

ただし、各自治体への申請方法や必要書類、申請の流れはそれぞれ違いがあるため、申請の際はお住まいの自治体のHPや窓口へ事前に確認を行いましょう。

福祉車両の助成金申請時のチェックポイント

助成金の申請をスムーズに進めるため、細かなミスや条件の見落としがないか事前に確認しておきましょう。申請に不備があると、せっかくの助成が受けられなくなってしまう可能性があります。

  1. 所得制限の確認
    世帯全体の所得が制限額を超えていないかを事前に計算し、対象要件を満たしているかを確認してください。
    所得の計算方法や対象となる収入の範囲は自治体により異なるため、不明な点は窓口で直接確認することをおすすめします。
  2. 申請のタイミング
    多くの自治体では購入前の申請が必須となっており、車両を購入してから申請しても受理されません。
    車両の選定と並行して申請手続きを進める必要があるため、購入計画の初期段階から制度の活用を検討することが大切でしょう。
  3. 過去の助成受給歴
    過去数年以内に同様の助成を受けている場合は対象外となる場合も存在します。
    期間や条件は自治体により異なるため、受給歴が条件に含まれているか、それが当てはまらないかを確認しておきましょう。
  4. 最新版の申請書を使用する
    自治体のウェブサイトから最新の申請書をダウンロードし、古い様式を使用しないよう注意しましょう。
    また、添付書類についても有効期限があるものは、期限内のものを用意する必要があります。

申請前には、すべての書類に記入漏れや添付忘れがないかを確認してください。チェックリストを作成して項目ごとに確認することで、スムーズに申請を進めることができるでしょう。

福祉車両と介護タクシー利用時の費用の違いは?

福祉車両の購入と介護タクシーの利用では、費用構造が大きく異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、本人や家族にとって最適な選択肢を見つけていきましょう。

福祉車両を購入した場合の費用

福祉車両の購入を検討する際、初期費用と長期的な経済効果を正しく理解することは、ご家族にとって重要な判断材料となります。購入時の負担を具体的にシミュレーションしてみましょう。

福祉車両の新車価格は、車種や装備により大きく異なりますが、一般的には250万円程度が目安となることが多いです。

自治体からの助成金として、例えば20万円の補助を受けられるとします。さらに税制面での優遇措置により、消費税の非課税で約25万円、自動車税の減免で年間4.5万円×5年間で22.5万円相当の負担軽減が期待できます。

これらを合計すると、約67万円以上の負担軽減効果が得られる計算になります。

結果として、250万円の車両購入費から67万円の軽減分を差し引くと、実質的な購入負担は約183万円となります。

また、購入後のガソリン代、保険料、車検費用、メンテナンス費用などを含めると、年間30万円から40万円程度の維持費がかかることが一般的です。

ただし、これらの費用の一部については、自治体のガソリン代助成制度などにより軽減できる場合もあります。

定期的な移動が必要なご家庭、特に週に2回以上の頻度で福祉車両を使用する場合は、初期投資は大きいものの、長期的には経済的な負担を軽減できる可能性が高いといえます。

介護タクシーを利用した場合の費用

介護タクシーは、初期投資が不要で必要な時だけ利用できる柔軟性が魅力です。しかし、利用頻度によっては費用が積み重なり、負担が増えてしまうこともあるため、長期的な目線で費用を把握しておきましょう。

介護タクシーの料金体系は、基本的に初乗り料金、距離料金、時間料金、介助料金で構成されています。

一般的な料金設定は、以下の通りです。

  • 初乗り料金:500円から700円
  • 距離料金:1キロメートルあたり100円から150円程度
  • 介助料金:500円から2,000円程度

例えば、通院などで月4回、往復10キロメートルの利用を想定した場合、1回あたりの費用は約3,000円となります。これを月額で計算すると約12,000円、年間では約14.4万円の費用となる計算です。

利用頻度が増えると費用も比例して増加します。

ただし、介護タクシーには車検やメンテナンス、保険などの管理が不要であり、必要な時だけ利用できる手軽さがあります。また、運転の負担がご家族にかからないことも重要な利点といえるでしょう。

介護保険制度における通院等乗降介助サービスを利用できる場合は、1回あたり100円程度(1割負担の場合)で利用可能なケースもあります。

費用負担が大幅に軽減されるパターンもあるため、まずはケアマネジャーに相談して制度が活用できるかを確認することをおすすめします。

福祉車両か介護タクシーのどちらが良いか考える際のポイント

福祉車両の購入と介護タクシーの利用、どちらが適しているかは、ご家族の状況により大きく異なります。適切な選択をするためには、複数の観点から検討することが重要です。

利用頻度
定期的な通院や外出が週2回から3回以上と多いケースでは、福祉車両の購入が長期的には経済的となる可能性が高いといえます。
一方、月1回から2回程度の利用であれば、介護タクシーの方が合理的な選択となるでしょう。
経済状況
福祉車両の購入には初期投資として100万円以上の費用が必要となることが多く、助成金を活用しても相応の負担が発生します。
一方、介護タクシーは利用の都度支払いとなるため、まとまった初期費用を準備する必要がありません。
運転者の有無
高齢のご夫婦のみの世帯や、運転に不安がある場合は、介護タクシーの方が安全な移動手段といえます。
車両の管理負担
福祉車両を所有する場合、定期的な点検、車検、保険の更新、駐車場の確保などの管理業務が発生します。
これらの負担を避けたい場合は、介護タクシーの利用が適しているかもしれません。
助成制度の活用
助成金の利用可否は、所得制限や居住地域によって異なります。
助成金を受けられない場合、福祉車両購入の経済的メリットは薄れますが、逆に制度を十分に活用できれば、経済的負担を大きく軽減できます。
緊急時の対応
福祉車両を所有していれば、急な通院や外出にも柔軟に対応できます。
しかし、介護タクシーの場合は予約が取れない可能性もあるため、緊急時の代替手段を確保しておく必要があります。

これらの要素を総合的に判断し、ご家族の生活スタイルと介護の必要性に最も適した選択肢を見つけることが大切です。どちらを選択する場合でも、利用可能な制度を最大限活用することで、経済負担を軽減できるでしょう。

まとめ

福祉車両の助成金制度は、ご家族も対象となるさまざまな支援が用意されており、適切に活用することで大幅な負担軽減が期待できます。

自治体の補助金、税制優遇、燃料費助成など複数の制度を組み合わせることで、より効果的な支援を受けることが可能です。

申請は購入前に行う必要があり、同居要件や所得制限などの条件確認が重要です。利用頻度と経済状況を考慮して福祉車両購入と介護タクシー利用を比較検討し、ご家族に最適な移動手段を選択していきましょう。

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