こんにちは、「有限会社リハビリの風」でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
今回は、第48回に引き続き、「脳卒中の後遺症を抱える方々がどのようなリハビリを受けているのか、どういったサービスがあるのか」について紹介します。前回は介護保険に関することが多かったのですが、今回はそれをカバーする役割として注目される保険外サービス(自費サービス)について紹介します。
今回、取材させていただいたのは、「脳梗塞リハビリセンター」を10店舗運営されている"ワイズ"の早見泰弘会長。脳梗塞リハビリセンターは、内閣官房の未来投資会議でも取り上げられた非常に注目されている施設です。

脳卒中発症後の利用者さんのリハビリの悩み

回復期リハビリテーション病院で、リハビリを経験した方が在宅のリハビリを受けると、
- もっと1対1でリハビリしたい
- もっと長い間リハビリをしたい
- もっと復職に対してアプローチしてほしい
という悩みがよく聞かれます。第48回の記事で書いたように、病院のリハビリが終わった後、一般的にはデイサービス・デイケアや訪問リハビリが中心になります。
通所施設の個別機能訓練といっても、病院での1対1で時間をかけるリハビリというより、集団エクササイズを中心にしたプログラムが多いです。
病院の外来リハビリも40分程度ですから、長時間リハビリをしたい、もっと個別に対応してほしいというのは介護保険だけでは支えきれない部分です。
特に、復職を目指す働き盛りの40~50代で発症された方たちの悩みは切実。だからこそ、介護保険だけで解決できない悩みを解消するために、保険外サービス(自費リハビリ)である「脳梗塞リハビリセンター」が開設されました。
脳梗塞に対する一般の方の認識は?
早見会長は事業を行う中で、脳梗塞に対する間違った認識として、「一度病気を患ってしまうと、ずっと体の動きが同じままで良くはならないと思っている方が多い」と感じたそうです。そういった認識を持つ方々に対して、「正しいことをしっかりとやれば機能は改善することを伝えたい」と言っていました。
脳卒中後の若年者リハビリと脳梗塞リハビリセンターの特徴

脳梗塞リハビリセンターに通われている方の中には、60歳以下の若年者が、半数近くいます。脳卒中発症後の若年者のリハビリの特徴としては、
- 発症年齢が若いほど、身体機能が回復しやすい
- 復職へのアプローチが少ない
などが挙げられており、一般的な高齢者のプログラムとは別に考える必要があります。 若くして発症してしまった利用者さんの場合は、こういったサービスを利用することも一つの選択肢になります。
脳梗塞リハビリセンターの特徴としては、
- 完全マンツーマン
- 2~3時間のリハビリ時間
- リハビリの専門家が指導
が挙げられるため、介護保険でのリハビリとはずいぶん異なり、病院でのリハビリのイメージに近いです。
サービス内容としては、
- 基本プラン(60日改善プラン)
- オンライン在宅自主リハビリコーチングサービス「リハビリコーチ」
- 歩行支援ロボット「RE-Gait」(初回5,000円、2回目以降3,000円)
となっているため、詳細は右にある公式サイトをご覧ください。「脳梗塞リハビリセンター」
介護保険と保険外サービスの違い
介護保険の項目を分けると、
- 対象が65歳以上を想定
- ADLやQOLの維持向上をイメージ
- 身体機能の細かい部分には対応しきれない
という形です。介護保険で対応しきれないニーズを埋める形として出てきたのが保険外サービス(自費サービス)。保険外サービスは介護保険によるサービスではありませんので、サービス内容がかなり幅広いのが良い点です。
リハビリに関しての方向性は?
今後、リハビリテーションを行っていく方向性として、
- 1対1での個別対応
- 歩行支援ロボット
- オンライン指導
となるのではないでしょうか?リハビリで困っている利用者さんの受け皿に、複数の形でサービスが出てくると思います。従来の形からロボットやICT(情報通信技術)の活用による方法まで、すでに脳梗塞リハビリセンターでは行われています。ですから、当事者の方も情報を提供する側の方も、さまざまな新しい形を知っておくことが非常に重要です。
サービスを利用する方の理解
利用者さんやそのご家族は、
- 利用者さん本人のリハビリへの意欲
- 年齢
- 発症からの期間
などを考慮して、さまざまなサービスから検討できるようにしておくと良いと思います。
介護保険のサービスが悪い、自費サービスが良いということではなく、今現在、多くの選択肢が出てきていることを理解してほしいのです。これからこのような複数あるサービスが増えてきますから、利用者さんのリハビリの目的や状況などに応じて、幅広い選択ができるようにしておきましょう。