こんにちは。フリーライターで、要介護4の祖母を在宅介護して6年目の奥村シンゴです。今回は、 認知症の祖母を介護していて、イラッとしたことや悲しかったこと、喜びを感じたことをまとめてみました。在宅介護を6年やっている者として、始めたばかりの方にアドバイスをさせていただければと思います。
認知症による被害妄想でイライラ

まずイラっとしたことは、祖母のお金に対しての執着がすごいことです。介護を始めた1年目、祖母が高価な洋服を購入し、その月の年金を1日で使い果たしてしまうことが何度かありました。だから、私が現金や通帳、カードなどを管理するようにしたのですが、祖母は納得してくれません。
「通帳貸して。お金を全部引き出して、印鑑もちょうだい」などと4年間、毎日のように言い続けていました。「ばあちゃん、自分でお金管理できひんやろ?せやから俺が管理してんねん」と言うと、祖母は「なんで私のお金なのに、あんたにそんなこと言われないといけないの?情けないわよ」と泣き出すこともありました。祖母からすると、自身が認知症だとは思っていないので、家族が管理しているというよりも、盗られたという意識のほうが強いわけです。
祖母は、お金が自由に使えないとなると「あんたたちにお金を盗られているから私は貧乏ですよ、お金ください」と、被害妄想を口にすることも。現在は、自分で金銭管理できないことを自覚しているのか、それとも病気が進行しているのか定かではありませんが、以前よりは落ち着いて話を聞いてくれるようになりました。
祖母が徘徊をするようになり、聞く耳を持たない

在宅介護をしていて悲しくなったのは、ここ半年、週に1回ほど徘徊があることです。特にケンカしたわけでもないのに「ここから少し先に行けばね、いつも行ってるところがあるからそこに行くの」「今から仕事を片づけるからね」と言って、突然外に出ようとするときがあります。
「ばあちゃん、もう夜遅いし今日は家にいよう?明日行こう?」と説得しますが、聞く耳を持ってくれません。
私は最初、動揺して祖母に「何か言ったり、気に入らないことした?」と聞きますが、「あんたのことじゃないの、ただ用事があるの」と、言うだけです。
ケアマネージャーからは、「徘徊はだいたい目的地があるので、無理にとめずに一緒に付き添って目的地に行くと、急に足取りがとまることが多いですよ」とアドバイスを受けていたので、祖母が目指す場所へ一緒に歩くようにしています。
徘徊することに関して、祖母は私のせいではないと言いますし、徘徊は認知症が進行したときの症状というのはわかってはいます。しかし、「私は頼りにされていないのか」と何とも言えない悲しみや虚しさを覚えるときがあります。
被介護者が人間らしく生きるのは介護者の喜び

一方、祖母を介護していて、喜ばしいエピソードがあります。祖母が転倒して、一時期寝たきりになったことがありました。しかし、デイサービス・お泊まりデイなど、施設でのリハビリの成果か、骨折や大きな病気がなく健康なのです。
確かに、認知症は徐々に進行していき、もの忘れもひどくなりました。たまに徘徊や暴言、被害妄想をすることもありますし、体力も以前は30分歩いても平気だったのが、今では20分ほどでクタクタになるなど、全体的な衰えは感じます。
しかし、ここ数年は大した病気や怪我もありませんし、週2回通っているデイサービス、ショートステイを休んだことは一度もありません。介護する側としては、祖母が自分らしく自然に過ごしてくれている姿が見れるのは何よりの喜びです。
また、喜びと言えば、自分自身がリフレッシュする時間についてです。祖母が施設から帰宅するときは、一緒に近所をウォーキングしたり、本屋で立ち読みしたりしています。また、お泊りデイやショートステイを一度も休まずに行ってくれるおかげで、計画的にリフレッシュする時間を持てています。
デイサービスやショートステイで介護疲れをリフレッシュ

認知症の方の在宅介護は、お金に対しての執着や徘徊などで、肉体的・精神的につらくやりきれない日々が続くことが多々あると思います。しかし、認知症は完治する方法は見つかっていませんが、進行をとめたり、和らげることはできるのです。
今まで述べた通り、私の祖母も、転倒による入院で一時は寝たきりへとなりましたが、在宅介護を続けることで少しずつ自立できるようになりました。必ずしも、私の祖母のような例ばかりではないと思いますが、家族が元気になっていく様子だったり、その人らしく生きる姿を見ることができるのは在宅介護でしか味わえないやりがいです。
もし、介護で疲れてしまったならば、デイサービスやショートステイを利用することをおすすめします。リフレッシュできますので、有効活用しながら頑張りすぎない介護をしていきましょう!