こんにちは、「有限会社リハビリの風」でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
先日、歌手の西城秀樹さんが逝去され、改めて「脳卒中」という病気にスポットライトがあたりました。現在、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)という病気の後遺症に悩む方は非常に多く、日本国内に100万人以上いるそうです。
今回は、「脳卒中の後遺症を抱える方々がどのようなリハビリを受けているのか、どういったサービスがあるのか」ということを中心にお話します。
介護保険でのリハビリの流れは?

一般的には脳卒中を発症すると、それに対する治療を受けます。リハビリに関しては急性期病院に入院中から始まり、多くの方が転院をして回復期リハビリテーション病院でも継ぎ目なく継続的に行われます。そして回復期リハビリテーション病院を退院し、病院での外来リハビリ(医療保険でのリハビリ)が終了すると…
- ご自宅で訪問リハビリを受ける
- デイケア・デイサービスの施設に通所して機能訓練を継続する
といったような形で介護保険でのリハビリが始まります。
入院中のリハビリ(特に回復期リハビリテーション病院)では、マンツーマンのリハビリが365日休みなく続きます。脳卒中を発症した方であれば、最大5~6ヵ月を期限として1日2~3時間行われます。ですから、退院後の訪問リハビリは1対1であるものの、1回40~60分程度、週1~2回。デイサービスやデイケアでのリハビリでも1対1の対応がある場合、1回10~20分程度。回復期リハビリテーション病院での1対1リハビリ時間と比較してしまうと、週20時間程度だったものが、週1~2時間程度に激減してしまいます。今現在、これが介護保険のリハビリのスタンダードなのです。
デイサービスで行っているリハビリ内容は?

大きく分けると、「身体機能に対して行われるリハビリ」「日常生活動作に対して行われるリハビリ」があります。身体機能に対してのリハビリが「麻痺の具合を改善させる」目的で行われ、日常動作に行われるリハビリは「麻痺がある状態でも日常生活を送れるようにする」のが目的です。
この2つのリハビリが提供されるサービスのメインだとしたら、施設により割合はさまざまですが、病院と比較すると専門職とのマンツーマンでのリハビリ時間は明らかに短いです。「身体機能に対して行われるリハビリ」より「日常生活動作に対して行われるリハビリ」が中心になります。場合によっては集団体操がメインとなることがありますから、以下に述べるように、利用する予定のデイサービスの内容はしっかりと調べておく必要があります。
デイサービスでリハビリする際に必要なチェック項目
デイサービスにはいろんな形態があります。レスパイト型(お預かりを目的としている)なのかリハビリ特化型なのか、何に主目的を置いているデイサービスなのかによってリハビリ内容が変わります。デイサービスのホームページやパンフレットを参考にして、個別機能訓練の有無・機能訓練指導員の職種を調べることも大切です。実際には利用したいデイサービスに…

といったように、サービス内容を事前に確認してみるのが良いでしょう。
デイサービスを利用する人の介護度はどのくらい?
レスパイト型(お預かりを目的としている)デイサービスは重度者が多く、食事なしの半日タイプのリハビリ特化型デイサービスは比較的軽度者が多い印象があります。
後遺症が残る方たちのリハビリ状況は?

介護保険のサービスにおいては、医療機関でのリハビリを終えてからスタートしますので、「麻痺した足を動かしやすくなるように」「機能の維持向上よりも日常生活に不自由が少しでもなくなるように」など、日常生活動作のトレーニングに重きが置かれます。
時期によってリハビリの方向性の変化がありますから、回復期リハビリテーション病院から退院され、在宅での介護保険によるリハビリになかなか納得がいかないという方がたくさんいらっしゃいます。
ですから現状は、回復期リハビリテーション病院のときと同じように、「専門職とマンツーマンでリハビリしたい」「集団でやるリハビリはやりたくない」という方たちにとって、介護保険のリハビリはなかなか満足できない部分があるのも確かです。もちろん年齢によっても、今後の生活に求められるものが変わってきますから、一概に介護保険でカバーできるわけではありません。
一般的に発症後半年で身体機能はプラトーになる(これ以上回復の見込みが少なくなる)とも言われますが、年齢やリハビリ頻度でそれが変わってくる可能性は否定できません。また若年者であれば、身体機能を維持するだけではなく、回復する可能性もゼロではありません。ここまで話をすると…
- 若い人(40~64歳で介護保険を持つ方)も同じようにしなければいけないの?
- 病院を退院すると本当にそんな短い時間しかリハビリしてもらえないのか?
介護保険のリハビリへの違和感を持たれた方も多いと思います。そこで国も推進している「介護保険外サービス(自費リハビリ)」という選択肢が出てきました。
次回は"保険外でサービスを展開している事業所にスポットライトを当てて、脳卒中の方々のリハビリ"について考えてみます。