米国の報道機関CNNは、「1日に10分以下でも中程度以上の運動をすれば、認知機能が改善される」という記事を発表しました。
この記事は、イギリスのユニバーシティー・カレッジ・ロンドンで発表された論文をもとにしています。
それによれば、10分以下の運動でも認知機能にプラス作用があるとのことです。多忙な日々を送っている方にとっては運動習慣のハードルを下げてくれるのではないでしょうか。
今回は、シニア世代の方々の認知機能のための運動について考えてみたいと思います。
運動が認知機能にプラスに働く理由
「運動は認知機能に良い」と、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?
その理由は、運動をすることで、脳の神経を成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質が多く分泌されて、海馬の機能維持・肥大に効果をもたらすためだと考えられています。
体を動かすと、脳から出た指令で筋肉が動き、同時に筋肉から出た信号を脳が受け取って脳を活性化するという相互的な関係があるのです。
また、脳が正しく働くためには、十分な血液が流れている必要があります。高齢者の脳では、脳血流の低下が見られていることも多く、これを改善するためにも体を動かすことが効果的だと考えられています。
どんな運動が効果的?
基本的には、中等度以上の強度の運動が推奨されています。中等度の強さの運動とは、自覚的にきついと感じない程度の運動のことです。この感覚には個人差がありますので、自身の感覚を頼りに運動を行うことが大切です。
シニア世代が認知機能を維持するために行う運動の例
- ウォーキング
- ウォーキングは、全身を使った運動のため、運動不足解消や筋力アップに効果的です。また、軽いジョギングを加えることで、より強度の高い運動になります。10分程度のウォーキングでも、心肺機能の向上や血液循環の促進につながります
- サイクリング
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自転車に乗ると、体を動かすだけでなく、外の風景を楽しむこともできます。10分程度のサイクリングでも、下半身の筋力アップや心肺機能の向上につながります。
また、室内用のエアロバイクやリカンベントバイクなら、天候に左右されずに運動することができます。
- スクワット
- スクワットは、脚の筋力アップに効果的な運動です。壁に寄りかかって足を肩幅に開き、ゆっくりと膝を曲げ、お尻を下げます。膝が90度になったら、ゆっくりと立ち上がります。10回ほど繰り返すだけでも、下半身の筋力を鍛えることができます。
- 水泳
- 水泳は全身の筋肉を使う有酸素運動であり、運動量が大きくカロリー消費量も多いため、体脂肪率を下げることができます。また、心肺機能を高めることで、血液循環が良くなり、脳に酸素や栄養を供給することができます。
- エアロビクス
- リズミカルに運動することで心肺機能を向上させることができる運動です。手足を使って音楽に合わせて動くことで、ストレス解消につながります。室内で行うことができ、自宅でも容易にできるのがメリットです。

まとめ
運動は認知機能を維持するために重要な要素で、継続的に行うとより高い効果が得られるとされています。運動の種類や強度、頻度などは個人差があるため、自分に合った無理のない運動計画を立てることが大切です。
10分以下の運動でも認知機能にプラスに作用する可能性があるので、無理なく続けられるのではないでしょうか。まずは自分が行いやすい種類の運動を少しずつ実践してみてください。