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第312回

地域支援を担うシルバー人材センター。介護保険では補えないかゆいサービスに手が届く

最終更新日時 2022/05/30
全国各地に設置されている「シルバー人材センター」。主に60歳以上の高年齢者に働く機会を提供する組織です。その活動内容には、地域の高齢者に対して買い物や掃除といった家事を援助するサービスもあります。今回は、宮城県にある大崎市シルバー人材センターに取材し、その活動に迫りました。

2021年春に介護報酬改定があり、居宅介護支援事業所の特定事業所加算(※)に移行・単位数・算定要件の一部について見直しが行われました。

※中重度者や支援困難ケースへの対応、専門性の高い人材の確保など、公正中立で質の高いケアマネジメントを実施している事業所を評価するための加算。

こうした要件の見直しの中に「多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」という項目があり、業界内では物議を醸しました。

何がフォーマルサービスで何がインフォーマルサービスなのかわかりにくいのですが、この項目の狙いは、在宅で介護をしていくうえで、さまざまな社会資源の推進を図っていくべきということのようです。

今回は、その社会資源の中で、全国的にほぼすべての自治体に設置されており、多様で幅広いサービスをリーズナブルに受けられる「シルバー人材センター」について解説します。

シルバー人材センターが担う軽度生活援助事業

私が長年携わってきた介護保険事業と異なり、シルバー人材センターについてはわからないことも多かったので、地元宮城県大崎市の公益社団法人大崎市シルバー人材センター(事務局長:千葉栄司様ほか)に話を伺ってきました。

シルバー人材センターとは、主として60歳以上の高年齢者に、働く機会を提供する組織です。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づき、都道府県知事から指定を受けた公益法人が事業を行い、生き甲斐の充実や生活の安定のほか、地域社会の発展、現役世代の下支えなどを目的としています。

その業務範囲は多岐にわたり、企業や官公庁などからの業務を幅広く受注するほか、各家庭からの家事援助なども行っています。

総務課長兼業務課長の村田智恵さんによれば、「特にニーズが高いのは、買い物や掃除といった家事援助」とのことです。

これらの支援は「軽度生活援助事業」とされ、高齢者の自立した生活や介護予防を目的として、日常生活の援助を行うサービスを指しています。

サービスを受けたい本人の申請により、自治体からシルバー人材センターに依頼されるケースが多く、自治体によって呼称が異なることもあります。

軽度生活援助事業は家庭内の掃除や買い物、洗濯、食事の準備など、まさに訪問介護事業に匹敵する内容をカバーしています。

さらには、介護保険では対応しにくい庭木の手入れ、自然災害に対する防備、除雪や除草作業なども日常生活に支障がある場合は対象範囲となっています。

自治体によっては介護保険サービスの適応が優先とされていたり、対応範囲が異なるため、詳しくは各種自治体への問い合わせや確認をしてください。

料金設定の本人負担分はだいたい1サービス数百円程度に抑えられている場合が多く、非常にリーズナブルです(本人負担分以外は自治体などからシルバー人材センターに支払われます)。

高齢者の暮らしを支える軽度生活援助事業

申し込み手続きは民生委員がつないでくれる自治体もあり、申込のハードルが比較的低いことも特徴です。

また、軽度生活援助事業に該当しなくても、各地のシルバー人材センターでは、独自の家事援助を行っていることもあります。

布団干しやペットの散歩、通院の付き添いなど、民間企業や各種サービスには頼みづらい内容であっても、シルバー人材センターでは、有償ボランティアサービスとして対応してくれることもあります。

こうした独自のサービスについては、地域のシルバー人材センターに直接確認してください。

シルバー人材センター利用のメリットと注意点

シルバー人材センターの登録会員は、援助を頼む側と年齢が近いこともメリットの一つです。

会員のおよそ半数が75~80歳で、雑談相手として話が弾みやすいそうです。

各種制度と併用することで在宅介護をカバーできる範囲も広がることでしょう。

注意したいのは、基本的にプロではないシニアによる各種作業や援助になるため、専門業者やサービス事業者並のクオリティは難しいという点と、免許が必要な事業や危険な作業などは頼めない点です。

また、あくまで契約の範囲内での作業や援助となることから、現場で直接「こうしてほしい」「このようにお願いしたい」といった指示などは、なかなか受け付けられません。個別の要望はセンターを通して行うことになります。

課題は登録する会員の伸び悩み

取材によれば、近年の課題は、登録会員数が伸び悩んでいることだといいます。原則として60歳から登録できる一方で、企業の雇用年齢が伸び続けており、シニアの中でも若手に当たる前期高齢者の会員数が伸び悩んでいるそうです。

大崎市シルバー人材センター参事の岩崎政浩さんは次のように話します。

「今後、さらにニーズが高まる福祉家事援助サービスの担い手は重要性がますます増していきます。超高齢社会に突入する中、介護や援助を依頼する側としてだけでなく、支援を必要としない高齢者はぜひ培ってきた経験と能力を地域に還元するために会員登録してほしいと思います。」

在宅介護をしている方は、シルバー人材センターのサービス内容を知っておくことで、介護負担を軽減する工夫も考えられ、互助関係を結びやすくなります。

今後、確実に訪れる超高齢社会には課題が山積みです。だからこそ、高齢者を支える多様な社会資源の一つとして、シルバー人材センターは重要性が高まっています。

在宅介護を継続していくうえで援助方法の選択肢を増やしておくことも大切となるでしょう。

介護保険サービス以外の選択肢が増える

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