皆さんこんにちは。株式会社てづくり介護代表取締役の高木亨です。
介護保険の改正は、2000年の創設以来3年ごとに見直しがされています。当初、「介護保険制度は創設してみないと問題がわかりにくい」という見方から行われていた見直しでしたが、現在では「将来にわたって制度自体を維持するために必要」との見方が強くなっています。
それに伴い、ほぼ改正の度デイサービスの規模や種類、サービス提供時間が細分化。一見しただけでは事業所や施設ごとに異なる「利用の流れ」や「サービス内容」(利用時間など)の見分けがつきづらくなりました。今回は「利用時間によって異なるデイサービスの種類」についてを、大きく3つに分けて解説します。
利用時間で見るデイサービスの3つの種類
一口にデイサービスと言っても、現行制度では「大規模型」「通常規模型」「地域密着型」「小規模多機能型」「認知症対応型」などがあり、それぞれ得意とするサービス内容によって利用できる時間が変わってきます。
種類は大きく分けて以下の3つです。
- 半日型
- 利用時間は3~5時間。 サービス内容を目的に絞ることにより、比較的短時間で利用できる。
- 日中型
- 利用時間は5~8時間程度。制度当初からの流れを汲んでいる、日中時間帯に各サービスの提供を受けられる。
- 宿泊型
- 介護保険サービスの提供時間帯を越えて、宿泊も可能にしている。
これらのタイプについて、1つずつ深く掘り下げて解説していきます。
半日型は利用時間が最小限
サービスを利用する目的を1つに絞って、利用時間を最短にしたデイサービスが半日型です。半日型で最も多いタイプは「リハビリ特化型」や「機能訓練型」ですが、場所によっては「入浴サービス専門型」や「趣味活動特化型」もあります。
多くは2017年の制度改正以降に爆発的に広がりました。利用側のメリットとしては目的がわかりやすく、時間帯も短いので、交流が苦手な方や長時間の滞在がネックである方にとっては利用しやすくなります。
午前・午後に利用者を分けることで、通常の定員の倍の利用者を確保できるので運営側にもメリットが大きいとされ、近年において最も数を伸ばしています。サービスの流れとしては、送迎とサービス目的(機能訓練や入浴)を組み合わせた最もシンプルなタイプとなります。
日中型は長く時間が取れるのでケアが手厚い
「日中時間帯」に利用する、まさに名前の由来通りのデイサービスです。介護保険制度が始まる前から事業を続けている老舗もあるほどで、介護保険制度で想定されたベーシック型と言えそうです。過ごし方は事業所ごとに異なりますが、主体となる流れは概ね以下のようになるかと思います。
- 送迎車でお迎え
- 来所後健康チェックや様子観察
- 入浴や整容・体操など
- 口腔体操や水分補給
- 昼食
- 午睡
- 機能訓練や趣味活動
- おやつ・喫茶・静養など
- 送迎車でお送り
利用側のメリットとしては長く時間を取れるので、半日型に比べて穏やかに時間が経過します。同居家族がいた場合はレスパイト(休息)効果が大きくなるので、ケアの目も長く掛けていただけるメリットもありますね。延長加算を組み合わせてサービス提供を行っているところでは、朝食や夕食の提供もあるそうです。
宿泊型は長時間介護ができない家族への助け舟
介護保険制度開始後に爆発的に増えたお泊り型のデイサービスです。介護保険内の日中型に加えて、デイサービスが提供する施設や事業所で利用者が滞在できます。近年では準施設的な意味合いが強い「サービス付き高齢者住宅」が主流です。
宿泊型デイサービスは、急な出張などで長時間介護ができないときの助け舟としてご家族からすれば画期的だったでしょう。サービス付き高齢者住宅は、介護施設になかなか入所できない状況にあるご本人やご家族に新たな選択肢を示したと言えます。
「ナイトデイ」や「カジノ型」など内容はさまざま
今回は時間帯によって3つに大別しましたが、ほかにもさまざまなアイデアを駆使したデイサービスも存在します。種類こそ「デイサービス」ですが、夕方から夜に駆けてサービスを提供する「ナイトデイ」も存在しますし、逆に早朝から対応するデイサービスもあるそうです。
またサービス内容が変わっているところでは、ボルダリング設備などを備えた「アウトドア体験型」、趣味趣向をふんだんに盛り込んだ「カジノ型」、「興行施設型」、旅や遠足といった外出支援を介護計画に予め盛り込んだデイサービスなどもあるようです。
まるで高級レストランかと思うような煌びやかなデイサービスや、障がい者の方のサービスを事業に取り込んだ就業支援型のデイサービスも誕生しています。場所によっては、筆者の思いもよらない新たなデイサービスが今も生まれているのでしょう。
利用時間帯や内容だけでなく、設備や雰囲気も確認しよう
デイサービスの提供時間帯や種類、サービス内容は事業所ごとにさまざまです。同じ提供時間やサービス内容あっても、設備の違いや雰囲気がまったく異なる場合も少なくありません。あらゆる設備が揃った立派な事業所もあれば、弊社のように訪れた人がデイサービスであることに気がつかないほど、地域に溶け込んでいる事業所もあります。
とはいえ、デイサービスによって得手不得手があるもの。中には感心できないサービス提供体制であったり、設備や人員体制に課題があるところも存在しています。
利用を検討することになるまで、近隣のデイサービスを提供している事業所が存在していたこと気づかないこともありますが、今やコンビニエンスストアの総数と比べられるほど増えてきています。抱えている問題点や課題、性格や目的は人それぞれです。「デイサービスが良いから」と勧められるままに利用するのではなく、状況や目的にあったサービスを利用することが大切。近隣にどういったデイサービスがあるのか、比較検討してみてはいかがでしょうか。