有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
今回は介護業界の「3K問題」について触れてみたいと思います。
介護業界の3K「きつい・汚い・危険」
まず、介護業界における3Kとは労働環境や作業内容が「きつい」「汚い」「危険」な仕事という意味で使われます。とはいえ、その項目ごとに厳密な基準がある言葉ではありません。
介護業界以外にも3Kと呼ばれている業界がありますが、「介護業界は3Kの仕事である」と感じている方は多いようです。最近では3Kに加えて、介護業界で働く人は「給料が安い(4つ目のK)」という部分もピックアップされはじめ、介護職の労働環境や処遇について注目が集まっています。

1:きつい
介護は身体的・心理的の両方で「きつい」面があります。身体的な部分は、自分よりも体の大きい人を介助したり、車椅子に移乗してもらう場面で腰を痛めたりなど、体力的にきつさを感じてしまうことがあります。夜勤のある職場では、変則的な勤務に体調を崩すこともあるでしょう。
心理的な部分で言うと、最近ではコロナ禍においてリモートワークができず、通常通りの勤務を続けなければならない職種の筆頭でした。感染のリスクを抱えながら働かなくてはならないことに、強いストレスを感じた方も多いと思います。
2:汚い
これは、排泄介助などの仕事があるからそのようなイメージあると考えられます。生活するうえで必要不可欠な要素ではあるのですが、人によってはその仕事に耐えられない場合もあります。
3:危険
抵抗力の弱い高齢者が生活する施設では、ノロウィルスやインフルエンザなどによる、集団感染が発生しやすくなります。介護職の方自身が感染してしまうリスクもあり、常に予防が必要です。また介護を行う際は、転倒や転落による怪我のリスクも懸念されます。
見方を変えたり対応策を考えることも大切
今まで紹介したようなことから、介護は3Kだと言われています。介護業界の3K問題に関しては個人の主観的な判断も含まれるため、仕事内容や職場によって捉え方が変わってしまうのが現状です。しかし、これらの事柄に対する対応策や見方を変えて考えてみることも大切です。
1:きつい
身体的な問題であれば、介助方法を学んだり介護用ロボットなどの装置を活用することで軽減できる。
2:汚い
排泄介助などの業務そのものが難しいという場合は、業界での就労を考え直したり、そのような業務が少ない職場を探すのも1つの策。
3:危険
確かに利用者の方の生活を支援する仕事ですから、さまざまなリスクは伴います。しかし、労働災害の指標とされる死傷年千人率(2018年)においては、陸上貨物運送事業が8.89、小売業が2.14、社会福祉施設が2.30、飲食店が2.14となっており、一概に介護の仕事が突出して危険であるとは言えません。
いわゆる多くの方が持つ「介護業界は3Kだ」というイメージと実態との間に、少し違いがあることに気づいていただけるのではないでしょうか。
介護ロボットやICT技術の導入で負担を軽減
介護保険が始まって20年が経過しました。もしこれから介護業界で働こうと考えている方がいらっしゃったら、以下のことを知ってほしいです。
業界においては腰痛を減らすための介護ロボットの導入や、見守り人を減らすためのICT(情報通信技術)の導入など、介護職員の負担を減らすために業界全体で動いています。
また介護業界に大手企業が参入してくることで、以前より働きやすい職場環境を手にしている職員も増えてきている印象です。介護業界の人手不足は長い間言われていることですので、さらなる改善が求められるでしょう。

職場選びで抑えるべき3つのこと
また、自分自身が働こうとする職場をしっかり選ぶことは大切。働きにくい3Kの職場を選ばないようにすることが大切です。以下の3つのポイントで職場を見極めてから、自身の優先順位と照らし合わせましょう。
- どんな仕事内容か
- どういう人間関係か
- どういった働き方か
介護の仕事はやりがい搾取!なんて言われたりもします。ですから、個人が明確な判断基準を持って就職先を見て、業界全体の動きを理解しておくことが大切です。そうした準備があれば、必要以上に「きつい」「汚い」「危険」というイメージを持つことなく介護業界で働くことは可能だと思います。
職場選びの優先順位を明確に
介護業界で働こうとする方がいたら、まずは自分が就労したい職場環境などをしっかりと比較し、その中で自分にとって大切なポイントの優先順位を明確にすることが大切です。私自身も介護業界で働いていますが、3Kのようなきつい場所だとは感じていません。とはいえ、すべてが満足とも感じていません。どんな職場であれ、良い部分もあれば、悪い部分もあるということです。
一般的な「介護業界は3K」というイメージによって、業界に入ってこようとする人々が減ってきてしまうのはとても寂しいことです。今後介護業界に興味を持ってくださる方のためにも、私自身も適切な情報発信をしていかなければいけないなと感じます。
