有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。
皆さん、腰が痛くなった経験はありますか?
腰痛は、日本人の80%の方が一生に一度は経験するといわれます。
今回は、そんな“国民病”ともいわれる「腰痛の予防」についてお話します。
85%の腰痛は原因不明の「非特異性腰痛」
前述した通り、「腰痛」は多くの方々が経験するものです。
残念ながら、レントゲン画像で明らかな問題が見つかることはほとんどありません。
つまり腰痛があるからといって明確な原因があるとは限らないのです。
腰痛の種類は、以下の2つです。
腰痛の種類
- 原因がはっきりしている「特異性腰痛」(例:すべり症・ヘルニア・脊柱管狭窄症など)
- 原因がはっきりしない「非特異性腰痛」(例:ぎっくり腰など)
非特異性腰痛になる原因は腰への負担など「人間工学的要因」、ストレスなどの「心理社会的要因」の2つがあります。
- 人間工学的要因の例
- 持ち上げ・前屈み動作が頻繁、または25kg以上の持ち上げ動作をした場合
- 心理社会的要因の例
- 職場の人間関係のストレスが強い、または週労働時間が60時間以上続いた場合
これらの各項目が、腰痛を新たに引き起こす原因として考えられています。
すなわち、持ち上げ・前屈み動作が頻繁であり、場合によっては25kg以上の物を持ち上げることもある介護の仕事は、腰痛になるリスクが特に高いといえます。
また最近は心理的要因も原因として考えられており、職場でのストレスや周囲のサポート不足などによってもリスクが高くなることが知られています。
サポートなしに心身ともに負担のある職場で働くことは、腰痛発生のリスクを引き上げることになるのですね。
腰痛を予防する方法
①これだけ体操
クッションの役割をする椎間板の一部である「髄核(ずいかく)」というゼリーのような組織は、前屈みの姿勢をしていると後方に移動します。
その結果、椎間板内のバランスが崩れ、機能障害が起きて腰痛が起こりやすくなると考えられています。
そこで、そのズレを元の方向に戻すために行うのが、腰を反らす・屈める「これだけ体操」です。
- 「腰を反らす体操」
- ・移乗など前屈みでの作業をした後
・重い荷物を持ったあるいはしばらく座りっぱなしだった後
はすぐに腰をしっかりと反らす
足を軽く開いて、膝を伸ばしたまま行います。
上体をゆっくり3秒間、息を吐きながらできるだけ腰を反らします。
それを1、2回行います。
- 「腰を屈める体操」
- ・高いヒールを履いた状態での立ち仕事があったとき
・営業で長く歩いたとき
に椅子に座って腰をゆっくり丸める
椅子に座った状態で、両方の足を開き、息を吐きながらゆっくり床を見ます。
3秒間を1、2回行います。
②パワーポジション
ぎっくり腰予防に重要なのは、力仕事をするときの基本姿勢に気をつけることです。
前屈みになる動作のときは少し胸を張る感じで、重量挙げの選手がバーベルを持ち上げる動きをイメージしましょう。
またはバレーボールの選手がレシーブする姿勢も想像して取り組むと良いかもしれません。
前屈み作業や移乗作業を主とする動作時、無意識に行動すると腰椎(ようつい)が無防備な猫背の姿勢になりやすいです。
そのため、パワーポジションによって、腰椎の前弯(ぜんわん)を保持した姿勢で作業することを習慣化させることが重要になってきます。
腰痛になったら「全体安静」ではなく、できるだけ普段通りに活動しよう
腰痛のときには「安静にしていなければならない」と思っている方がいると思います。
しかし、腰痛でもできるだけ生活や仕事を続けて、安静は最小限にするというのがスタンダードな考え方です。
腰痛ガイドラインでも、早期から徐々に活動することが推奨されています。
過度な安静や心配のしすぎは腰痛を慢性化させてしまう原因にもなるため、そういったときには医師の指示を仰ぎましょう。
前述したように、腰痛は単純な腰への負担だけではなくて、ストレスなどの心理的な要因も関係してくるといわれています。
今回ご紹介した簡単な体操を実践しながら、過度にストレスがたまらないように日々の生活を過ごしてみましょう。
大切なのは習慣的に行うことですので、「これだけ体操」を1種類だけ行うことから始めてみましょう。