皆さんこんにちは。株式会社てづくり介護代表取締役の高木亨です。今回は、デイサービスを拒否している相手への提案の仕方についてお話していきます。
在宅介護のケアプラン策定の中で「デイサービスの利用がケアを行ううえで効果的」となった場合であっても、制度上は本人が希望しない場合にデイサービスを利用させることはできません。これは家族であっても同じことです。
北風と太陽の話ではありませんが、そもそも無理矢理デイサービスに行かせたところで、その後も継続して利用してもらうことは困難です。拒否する方の場合はデイサービスありきで支援を考えるのではなく、幅広く検討を行うのが大前提となります。そのうえで「やはりデイサービスが必要」となったとき、デイサービスの利用自体を拒否している方を相手にどのように提案していくと良いのか。今回はその点について考えてみます。
対話を通してご本人の気持ちを理解する
前述した通り、デイサービスの利用を前提に強引に勧めるのは強要になってしまいます。うまく行かないどころか、心を閉ざしてしまう可能性もあるでしょう。デイサービスを利用するかどうかの前に、本人に対して下記のようなことを聞いてみましょう。
- これからどのようにしていきたいのか
- この先どのような心配事があるのか
- 困っていることはあるか
- どんなことが好きでどんなことが嫌なのか
- これからも在宅で過ごしたいと思っているのか など
本人の意向に十分に耳を傾けることが大切です。そのうえで、こちらとしては「元気でいてほしい」「怪我をしないでほしい」「楽しく過ごしてもらいたい」など、これからどうあってほしいと思っているかを話して、それに対してどう思うかを聞きましょう。
一方的な注文は、「良かれと思って」であっても押しつけにしかなりません。どんなにデイサービスを利用することが効果的であっても、ご本人がどのような気持ちでいるのかを理解しないまま説得を続けるのは強制や強要の類です。勧める前に、しっかりと気持ちの交換を行ってみましょう。
デイサービスを知ってもらうことからはじめる
デイサービスに限った話でなく、今までしたことのない新たな取り組みを生活に取り入れることは、気力や決意、エネルギーを要するものです。例えば「ダイエットをした方が良い」と思ったとしても、「よし、フィットネスジムに通おう!」といきなり思える人はそう多くはないでしょう。ジムのホームページやパンフレットを見たりして、ほかの行かなくとも済む検討材料と比較するはずです。
要介護の方の場合、話しあったうえで見つけた課題を「デイサービスでなら解決できそうだから」とご本人に訴えても、「はい、そうですか」と簡単に納得してもらえるわけではありません。ほかの方法も検討しながら、どんな設備があるのか、どんな楽しみがあるのかなど「まずは知ってもらうこと」からはじめてみると良いでしょう。
「デイサービスに通うようになったらお終い」だとか、「お役御免になったら行くところ」といった昔のイメージのままで誤解されているケースもあります。
言葉を工夫してメリットを感じてもらう
デイサービスを利用してほしい理由は、ご家庭によってさまざま。「日中は家族が不在だから自宅で1人にさせるのは不安」とか「自宅のお風呂は危ないからデイサービスで入ってもらいたい」などのように、家族側の事情が理由となっていることもあるでしょう。
しかし、利用することになる本人の気持ちをないがしろにはしないでください。思いや気持ちを十分に伺ったのであれば、言い回しを工夫することでデイサービスに「行きたくない理由」が、そのまま「行くほうが良い理由」になることも少なくありません。正解の返答があるというわけではありませんが、参考程度に会話上のちょっとした伝え方をお教えします。
利用者「家にいたほうが楽」
筆者「そうですね、これからもずっと変わらず家で過ごしたいですよね。末永く家で過ごすためにも足腰が弱らないように(デイサービスで)鍛えてみては?」
利用者「外に出るのが億劫」
筆者「…わかります。面倒だし大変ですよね。長年生きてきたから言うまでもないでしょうけど、億劫で面倒なことって大切なことが多いものですよね」
利用者「人と話をするのが苦手」
筆者「苦手なことに挑戦することがボケ防止になるそうですよ」
利用者「介護なんてまだ必要ない」
筆者「もちろんです。これからも悪くならないように、普段から予防していくことが重要ではないでしょうか」
利用者「趣味を大切にしたい」
筆者「そうですよね。その趣味をこれからも続けられるように行ってみませんか」
利用者にとって、デイサービスの利用に不安や心配がないはずがありません。本人のこれからを実現していく目的はデイサービスではなく、その先にある生きがいや意欲、健康であることを提案するということを忘れないようにしてください。
事業所の見学やデイ体験は積極的に
現在のデイサービスには多種多様なタイプがあります。それぞれ特徴が異なりますので、ご本人にあった事業所や施設を選ぶ必要があります。「どこでもいい」という考えでいれば、いずれ本人にとってもご家族にとっても不満足な結果をもたらしかねません。「楽しくない」「毎週参加している集会や会合の雰囲気とは馬が合わない」と感じてしまうほど苦痛なことはありません。そのうち理由や言い訳を並べるようになり、結局行かなくなってしまうのではないでしょうか。
そのようにならないためにも、デイサービスを利用する気持ちが出てきたら、見学や体験を申し入れてみると良いでしょう。見学や体験ができる事業所は非常に多くなっていますので、複数のデイサービスを見ることをお勧めします。性格や嗜好、雰囲気や肌にあいそうなところを選べるはずです。
事業所の見学や体験をした結果、1つもあわなかったとしても、「何が良くなかったのか」「逆にどうだったら良かったのか」が見えてくることもあります。本人の思いを深く理解しながら、本人の希望を叶えられそうな場所をケアマネージャーなどに相談し、その地域にあるさまざまなデイサービスの情報を集めましょう。
「少しでも良いところを提案したい」という家族の思いは、本人に少なからず伝わっていきます。本人のこれからの生活をより豊かにしようとする前向きな思い、本人の希望を「そこまでしてくれるなら行ってみようか」ということになるかもしれません。
デイサービスはどこも同じではない
前述したように最近のデイサービスは、さまざまな特徴や新たなサービスがあり、提供するサービスの内容も違います。例としていくつかご紹介します。
- スポーツジムのような機材を取り揃えており、運動やフィットネスに特化
- 健康マージャンやパチンコ器具を完備した趣味や遊び心に特化
- 畑やプランターでの野菜つくりや遠足といった体験を重視
- 温泉旅館並みに豪華な造りや景色を楽しめるお風呂を完備
- 早朝や夜遅くの対応が可能であり、宿泊も可能
また、働いているスタッフの質やデイサービスの規模、介護保険外のサービスにも対応するかどうかなど、内容自体も違ってきます。お住いの地域に、どのようなデイサービスがあるのかぜひ確認してみましょう。
デイサービスは時代やニーズにあわせて、年齢を重ねても豊かに生活が続けられるように、今も工夫が行われています。「デイサービスが介護をするうえで最も効果的である」という明確な理由がありましたら、「ここなら行ってみてもいい」と思ってもらえるような、そんな場所が見つかることでしょう。
デイサービスの種類やそれぞれの過ごし方については別の機会にご紹介できればと思っています。