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第170回

【事例】多剤服用はこんなに怖い…認知症が悪化することも 薬を増やすのではなく施設入居を検討しよう

最終更新日時 2020/09/10
#親の介護 #老人ホームへの入居 #薬
こんにちは、フリーライターの奥村シンゴです。今回は、「高齢者と睡眠薬のトラブル」についてお話しようと思います。

こんにちは、フリーライターの奥村シンゴです。9月に入っても残暑が厳しい日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

私は30歳過ぎから祖母の在宅介護を約6年行っていましたが、一昨年の1月に祖母は精神科病院へ入院することになりました。認知症が少しずつ進行してしまい、在宅介護するのが困難な状況になったからです。

私は祖母の主治医に「薬を少し増やしてほしい」とお願いしましたが断られ、別の病院の医者に頼み睡眠薬を処方してもらいました。

今回は、その経験から「祖母に起こった薬のトラブル」と、在宅介護に限界を感じた人にとって、「被介護者が安全に暮らせるのは施設介護である理由」についてお話したいと思います。

祖母の認知症が進行し、睡眠薬や安定剤を追加することに

私が在宅介護を始めてから5年が経過したころ、祖母に「徘徊」や「尿の横もれ」、「異食」などの症状がほぼ毎日見られるように。祖母の介護は週2回ショートステイかお泊りデイサービスを利用し、私の母に週1回ほど看てもらっていました。ですから、週4日は私が1人で祖母を在宅介護していましたので心身ともに疲労困憊で限界寸前。周囲からは、「よく介護頑張ったよ」「もう施設預けないとあんたが倒れる」と言われ悩みました。

ですが、祖母が一生懸命洗濯物を畳んだり、介護施設へ仕事のように休まず行く姿を見て、私も「もう少し家で介護したい」と思い医者へ相談したのです。祖母の心療内科の主治医に「祖母の認知症が進み夜も寝れないので、睡眠薬や安定剤を追加してほしい」とお願いしました。しかし、医者には「転倒や骨折のリスク、認知症を悪化させる恐れが強い。在宅が無理なら施設に預けてください」と言われて断られました。

「やはり、在宅介護はもう無理なのか…」とあきらめかけていましたが、念のためにもう1人の心療内科の先生に事情を説明し、相談してみることにしました。すると、その心療内科の先生が私に「ご家族が大変ですよね、精神安定剤と睡眠剤を処方しておきます。少しゆっくりしてください」と言ってくれたのです。処方してくれた薬は以下の通りでした。

  • レミニール…認知症の進行を抑える
  • セレネース…興奮状態を抑える
  • レンドルミン…睡眠薬
  • ユーロジン…同上
この薬とは別に、祖母はもともと認知症の進行予防薬である「メマリー」、肥満や動脈硬化予防である「ロトリガ粒錠カプセル」、「コメリアンコーワ」、便秘予防に「マグミット」を服用していました。

 

在宅介護をしたいと医者に相談

多剤服用によって祖母の状態が急変

祖母は8種類の薬を飲むことになったのですが、私は、「少しゆっくりしながら、祖母を看れる」と安心していました。ところが、祖母に薬を服用させると、容態が急変してしまったのです。

新しい薬を服用させてから、祖母はにさまざまな影響が出はじめました。その例が下記になります。

  • 呂律が回らなくて何を言っているかわからない
  • 部屋にある服を荒らす
  • 歩行困難
  • 深眠

以前とはあまりの変貌ぶりに私は主治医と連絡を取り、再度病院へ。祖母は薬を飲んで様子がおかしくなった旨を伝えると、医者が「徘徊や情緒不安定、不眠が酷いと仰るので薬をガッツリ出しました。薬の服用を止めてください」と言いました。

医者の指示通り薬を止めると、祖母は少しずつではありますが、以前のように歩行がスムーズになったり、しっかりと会話できるようになったのです。ところが、以前はできていた整理整頓や、スムーズに食事をすることはできなくなりました。

祖母の状態が変貌してしまう

祖母が処方された薬でレンドルミンとユーロジンは、ベンゾジアゼピン系に該当します。埼玉医科大学医学部教授の上條吉人氏は以下のようにお話しています。

「(前略)ベンゾジアゼピン系と呼ばれるエチゾラムもゾピクロンも高齢者に安易に処方されている。筋弛緩作用があるので高齢者が服用すると、ふらついて転倒して骨折するという事故が増えています。(中略)ハルシオン、レンドルミン、リスミー、エリミン、ユーロジンなどは依存性が高い。デパス同様に転倒や認知症の危険が高まります」

引用元:『厚労省もついに認めた!この「睡眠薬・安定剤」の濫用にご用心』(現代ビジネス更新

さらに、『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2005』(日本老年医学会)では高齢者に服用する薬の種類を6種類以上に増やすと、副作用が出る確率が15%に跳ね上がるというデータがあります。

無理がある在宅介護は悪影響を及ぼす可能性も

結果として薬の副作用が原因で祖母の認知症が進行してしまいました。私は今でも「なんであのとき薬を処方するよう医者に相談してしまったのか。もう少し我慢していれば」と後悔しています。もちろん人によっては向精神薬や睡眠剤が効く人もいますし、試してみないとわからない難しい選択でした。

『在宅介護における睡眠実態調査』(メルク・アンド・カンパニー)には、在宅で介護を受ける高齢者と、その同居する家族や親族(同居家族)の睡眠に関する実態を明らかにするために調査したデータがあります。それによると、在宅要介護高齢者の睡眠薬服用について、ケアマネージャーの67.4%が「眠るために必要である」と考えている一方、57.8%が「状態によっては適正な薬への見直しが必要である」と回答しています。

「本人の認知症が進んだ状況下で薬を服用し、無理に在宅介護を続けるのは逆効果である」と考えている人が多いのも事実です。在宅介護に限界が来たら、介護施設に預けることをお勧めします。きっと本人と家族にとって幸せな結末になるでしょう。

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