いいね!を押すと最新の介護ニュースを毎日お届け

施設数No.1老人ホーム検索サイト

入居相談センター(無料)9:00〜19:00年中無休
0120-370-915
第145回

ケア提供者と高齢者が憩う「ケアの駅」。現場の悩みを相談、解決することで、質の高い働き方と支援が生まれます!

最終更新日時 2020/05/12
皆さん、こんにちは。終活カウンセラー協会の講師をしている小川朗です。「地域包括ケアシステム」のケア提供者たちが現場で直面している問題点をクリアすべく立ち上がった「ケアの駅」とは何なのか、山田さんに伺いました。

皆さん、こんにちは。終活カウンセラー協会の講師をしている小川朗です。

「地域包括ケアシステム」のケア提供者たちが現場で直面している問題点をクリアすべく、東京・江東区「アイルビー訪問看護ステーション」の管理者・山田富恵さんは「ケアの駅」を立ち上げました。

山田さんは訪問看護認定看護師だけでなく、3学会合同呼吸法認定士、介護支援専門員、メッセンジャーナースの資格を持ち、計16年間、訪問看護の現場でキャリアを積み重ねてきたベテランです。

そもそも「ケアの駅」とは何なのか、山田さんに伺いました。

「ケアの駅」とは、サービス提供者や住民の休息と情報交換の場

――「ケアの駅」と聞いて「道の駅」を想像しました。一体どのようなものなのでしょうか?

山田 「ケアの駅」とは、地域を走り回るケア提供者や地域の方が、気軽に立ち寄って休息できたり、介護や健康情報の共有や相談することができる、ゆるくつながれる場です。

――そういった場所があるとは知りませんでした。全国ではじめての試みですか?

山田 はい。通常、病院や介護施設など建物内で働く場合、休憩室が設けられています。しかし、地域を走り回って訪問するヘルパーなどのケア提供者には、「休憩室」と呼ばれる場所はありません。

賃金もそうですが、もっとケアを提供する方の働く環境にも注目してほしいと思います。

高齢者が入っていく家の前でOKサインを出す若い女性と、指を立てている若い男性

同じ専門職からアドバイスをもらい、スキルアップを図る

山田 訪問介護員(ヘルパー)や訪問看護師、ケアマネジャーなどは1人でサービスを行うことが多く、移動の途中、1人きりで昼食を取ったり、訪問先に行ったら直帰するパターンも多いと聞きます。

多職種連携が重要と言われて久しいですが、ほかの訪問介護事業所で勤務する多職種の人と話をする機会は少ないです。

――いつも1人だと、悩みを抱え込みやすくなります。相談できる相手がいればいいですね。

山田 気楽に話して情報交換できる場があれば、介護現場での困りごとの解消やそれぞれのスキルアップにもなると思います。

――それぞれの専門職からスーパービジョン(教育)を受けるようなものですね。

山田 ある専門職の人にとっての困りごとは、「ほかの人の困りごと」であると思います。

例えば、ケアを嫌がる高齢者の方の手首と足首に水疱ができ、皮むけが続いていたことがありました。

これについて情報を共有したところ、ケアのやり方のアドバイスがあり、実際にその方の皮膚はきれいに治りました。

これまでは、何か問題があれば伝言用ノートに、イラスト入りで書いて多職種と連携を取っていましたが、利用者の方の家に置いてあるノートでは、知識が蓄積されません。

今後、「ケアの駅」でこれまでの事例と専門職の知恵が集約されていくことを期待しています。

――さまざまな分野から、多くの意見が集まるといいですね。

手を横に出している男性と、肘を痛めている高齢女性を思い浮かべて閃いている様子の女性

情報を提供することで、ご本人の意思決定を促す

山田 住み慣れた地域で暮らす住民も、日常生活の中で多くの問題に直面しています。

高齢者の方はインターネットを使うことができないケースがほとんどで、「どういったケアを受けたらいいのか」、自ら選択するために必要な情報を十分に得られません。

さらに、情報の取捨選択をすることも難しいです。

専門的に情報を整理して、ご本人の意思決定に導くアプローチとサポートが必要なのです。

――当事者のサポート役が集う場が「ケアの駅」というわけですね。

山田 ケア提供者には気軽に立ち寄ることができる、「休憩場所」として使ってほしいと思っています。レンジで昼食を温めて食べることができたり、健康的な飲み物を割引価格で提供したりしようと考えています。

環境問題への貢献も考えて、マイボトル利用者への給水・給茶スポットとしての機能もつけていきたいです。

多職種による相談や意見交換で、介護と医療の質向上に期待

――人が集まれば、いろいろなことができそうですね。

山田 介護相談や保険、生前整理情報や葬儀など、高齢者に限らず、有志による集まりの場になればいいと思います。高齢者の方にかかわる多職種が、「ケアの駅」を介してつながることで、地域の介護医療人材の質の向上も期待できます。

――終活カウンセラーとして、とても共感できます。入口となる初級検定は介護、保険、年金、相続、お葬式・介護の講義が中心です。これらをよく知ることによって、在宅介護を受けている当事者が情報を整理し、必要なサービスを選択できる幅が大きく広がってきます。そのため、一般の方々にも、「終活」を題材にした情報発信の場になり得ると感じています。

山田 当事者もそうですが、潜在的なニーズの掘り起こしも行いたいと思っています。

例えば、「ケアの駅」で認知症ケアで悩みを抱えている従事者が相談できることにより、認知症の理解が促進して、人材確保にもつながります。

地域には「知りたい」ニーズに応える場が必要

――超高齢社会を支えることが期待されている「地域包括ケアシステム」をつくっていくために、ケア提供者や介護される人にも、「ケアの駅」は重要な役割を果たせそうですね。

山田 東京都・生活文化局が2016年10月に実施した『健康と保険医療に関する世論調査』によれば、「認知症や寝たきりの高齢者への医療や介護制度のありかた」に関心があると答えた方は39.5%、「高齢者が身近な地域で生活できる在宅医療・看護の仕組み」に関心があると答えた方は32.2%もいらっしゃいます。

また、医療に関する情報が欲しいと望んでいる方は22.5%でした。情報が手元にない状態で自分に合ったサービスを選択することはできません。

「“知りたい”という高いニーズに応える場を提供したい、その役割を『ケアの駅』が果たしたい」と思っています。

家の前で閃いている女性と、本の横ではてなを出している男性

関連記事
あなたの街にもある!認知症に関する行政の支援策。専門職の養成も進み、認知症ケアは確実に前進
あなたの街にもある!認知症に関する行政の支援策。専門職の養成も進み、認知症ケアは確実に前進

梅本 聡
株式会社 キューシップ 代表取締役
2018/01/22
在宅介護が楽になる!整理・収納アドバイザーが教える整理整頓3つの極意。~ラベルを貼る・吊るす・立てる~
在宅介護が楽になる!整理・収納アドバイザーが教える整理整頓3つの極意。~ラベルを貼る・吊るす・立てる~

中川 恵子
医療・介護・健康専門ライター
2017/12/07

老人ホームのバリアフリーが利用者の自立を妨げている!?自宅環境に近い施設が必要な理由

!
記事へのご要望
お待ちしてます


この記事へのご要望、
お聞かせください

みんなの介護は皆さまの声をもとに制作を行っています。
本記事について「この箇所をより詳しく知りたい」「こんな解説があればもっとわかりやすい」などのご意見を、ぜひお聞かせください。

年齢

ご要望を
受け付けました!

貴重なご意見を
ありがとうございました。

頂戴したご意見は今後のより良い記事づくりの
参考にさせていただきます!