こんにちは。デイサービスで看護師として勤務している、認知症LOVEレンジャーの友井川 愛です。
在宅介護を続けていくうえで、認知症の方をすべてご家族だけで介護されることは非常に大変なことだと思います。
そこで自宅から通うことのできる、デイサービスに手助けを求めるご家族も多いですよね。
ただ、認知症の方にはデイサービスの利用を拒否する方も多いので、頭を抱えているご家族もいるのではないでしょうか。
今回のテーマは、「なぜ認知症の方がデイサービスに行きたがらないのか?」についてお話します。
デイサービスに通うことのメリット
デイサービスとは、日帰りで受けられる介護サービスです。
受けられるサービスとしては健康チェックや入浴、昼食、おやつ、レクリエーション、機能訓練などがあります。
施設によって一日のプログラム内容には違いがあり、施設によっては利用者の介護予防や、機能回復に力を入れているところもあります。
また、認知症の方にとって、デイサービスに通うことには以下のようなメリットがあります。
認知症の方にとってのメリット
- 加齢による体力・筋力の低下を予防できる
- 昼夜逆転生活を予防し、生活リズムをつくることができる
- 専門の介護職員が入浴のサポートで、安心して入浴できる
また、介護者の方にとっても、サービスを受けている間は、自分の時間を持つことができリフレッシュできます。
つまり認知症の方の健康維持ためにも、介護者の方がストレスをためないためにも、デイサービスを上手く活用することはとても大切なのです。
デイサービスを利用拒否する理由

それでは、どうして利用拒否する認知症の方がいるのでしょうか?
以下、その理由についてまとめてみました。
1.そもそもデイサービスが何かわからない
認知症の症状によって、そもそもデイサービスがどんな施設かわからないという方も少なくありません。
私たちでも、自分の知らない場所へ連れて行こうとされると不安になりますし、怖くて行きたくないですよね。
このような場合、認知症の方はデイサービスへ行くことが不安なのだと私は考えています。
2.デイサービスに行く必要性を感じていない
介護者がどんなにデイサービスを利用してほしいと望んでいても、認知症の方本人が「行く必要がない」と思っている場合もあります。
住み慣れた自宅で、自分のペースで過ごしたいのに、決められたタイムスケジュール内で過ごさないといけないことは大きなストレスになります。
何も状況がわからないのに、食べたいときに食事ができない、入浴時間も決まった時間になると戸惑いますね。
そのため、本人が納得できていない場合は、無理にデイサービス利用するのはおすすめできません。
そのストレスによって、症状が不安定になることも考えられるからです。
3.環境の変化に戸惑う
自分がいる状況を理解することが難しい認知症の方にとって、一番のストレスは環境が変わることです。
何をする場所かわからない、どこに行くのかわからない、知らない人の車に乗らないといけない、知らない職員と知らない他の利用者がいる…。
そんな環境変化に戸惑った結果、一度はデイサービスに行ってみたものの馴染むことができず、次回から利用を拒む方も少なくありません。
4.他の利用者から受ける言動から利用したくなくなる
通常のデイサービスの場合、認知症の症状がない利用者の方もいます。そのため、他の利用者の方が心ない態度をとったり、言葉を投げたりすることで、認知症の方の自尊心が傷付けられてしまうことがあります。
私たちが傷ついたことをなかなか忘れられないのと同じように、認知症の方は不快に感じたことについては、しっかりと覚えていることが多いのです。そのため、デイサービス利用を嫌がるようになります。
介護者がとるべき対応

1.本人に合ったデイサービスを選びましょう
デイサービスを選ぶときに、数ヵ所のデイサービスを見学、お試し利用をしてから決めましょう。
一口にデイサービスと言ってもさまざまな事業所があるため、本人に合うかどうかしっかり確かめることが大事になってきます。
よくあるのが、ご家族だけで施設を見学して決めてしまい、結果として利用拒否につながるケースです。
利用されるのは認知症の方本人なのですから、ご家族が気に入ったとしても本人が気に入るとは限りません。
利用されても「来たくないのに、家族が勝手に決めたから仕方なく利用してる」という不満の言葉が聞かれることもよくあります。
そうなると段々と休みがちになり、最後には利用中止になってしまう可能性があります。
2.出かける目的を伝えましょう
利用の際、デイサービスの職員がお迎えに来ても行きたがらない場合は、声掛けに工夫をしてみましょう。
送迎のときに、認知症の方が「デイサービスに行く必要性」を感じてもらえるように意識します。
例えば「○○ができなくて困っているのでお手伝いしてもらえませんか?」と職員に声かけをしてもらいます。
そこで家族からも「困っているようだから助けてあげて」というように、話を合わせて誘ってみる…というのもひとつの方法です。
他にも「温泉に行きましょう」「○○さんも会いたいと言ってました」など、知り合いやお友人の名前を出してみても良いかもしれませんね。
3.正直に伝えてみましょう
なぜ介護者がデイサービスに行って欲しいのか、理由を素直に伝えてみると意外にすんなりと受け入れてもらえることがあります。
例えば、ご家族に用事があることを伝え、デイサービスの送迎時間と同じくらいには帰ってくることを伝えてみましょう。
デイサービスを利用しても、帰ってくるときには介護者が自宅で待っていることがわかると安心できるので良いと思います。
最後に一言
ここまで、認知症の方に利用拒否をされた場合の対応方法について書いてきました。
しかし、事業者によっては一日中同じテーブルで座らせっぱなしにしたり、認知症の方だけ明らかに他の利用者から離していたりと適切な援助ができていない事業所もあるのも現実です。
こうしたデイサービス利用しないためにも、先ほどからお伝えしていますが、施設を選ぶときには施設の見学、お試し利用をすることを強くお勧め致します。
在宅で認知症の方を介護されることは大変なことです。
ひとりで頑張りすぎてしまうと介護者がかえって身体を壊してしまうこともあります。
もしご家族だけで利用拒否が解決できないと感じた場合は、デイサービスの職員の方にも相談してみてくださいね。