こんにちは。おうちサロン「ゆきのしずく」を運営している、「認知症介護よりそいケアアドバイザー」の石川深雪です。
対面やメール、電話といったさまざま形で介護相談を受けていますが、多くの方が共通して抱えている悩みがあります。
その悩みは「誰に相談すれば良いのかわからない」「こんなこと聞いて良いのかわからない」といったものです。
これらの悩みは、これまでも、そしてこれからも大きな課題になるのだと感じています。
そこで今回は、「介護生活の中で悩みを抱え込まないようにするにはどうしたら良いか?」を考えていきたいと思います。
多くの方が抱える悩みについて
私は対面だけではなくメールや電話も利用して相談を受けているので、遠方の方からも連絡が入ることがあります。相談者は介護職員、身内の介護をしている人、介護をしている友人を心配する友人・知人などさまざまです。
その内容は「認知症の人にイライラしてしまう」「母親が介護サービスを拒否しているが、自分自身がもう限界」「遠方の親が認知症になった」「利用しているヘルパーに不満がある」「介護施設の選び方」など介護の悩みはそれぞれです。
なぜ、見ず知らずの遠く離れた私のところへ相談に多くの人が来られるのでしょうか?
その答えとして考えられる、こんな言葉を数人の方から聞きました。「どこに相談したら良いかわからない」「こんなことまで相談して良いの?」という声です。
私は、介護保険スタートと同時に介護の世界に入りましたが、その当時と比べて、「介護」は良くも悪くも注目されるものになり、情報も手に入れやすくなりました。それでもこのような思いを抱え、なかなか相談できない人がかなりたくさんいるのです。
相談はどこで誰にしたら良いの?

この「相談先がわからない」という問題には2つのケースがあります。
一つは、介護が必要になった(なりそう)だけど、はじめにどこに相談したら良いかわからないというものです。
もう一つは、すでに介護認定を受けたり、介護サービスを使っているが、相談するのを躊躇しているケースです。ここで、事例をご紹介します。
訪問ヘルパーに不信感を抱いている
夫婦で二人暮らしの50代の女性は、若年性認知症の診断を受けました。女性のご主人から、「どんなサービスを使ったら良いか?」「どこで手続きをしたら良いか?」という相談を受けました。ご主人には区役所の担当課に出向いてもらい介護保険の手続きをすると同時に、生活スタイルから必要になるであろうデイサービスの見学をおすすめしました。
いくつか見学をされたのち、認知症対応型の小規模デイサービスと、ヘルパーを利用することとなりました。そこから数ヵ月たち、再びご主人から相談がありました。
ご主人:「訪問してくれているヘルパーの様子に不信感を抱くことがあってね。でも、お世話になっているから言いにくくて…」
石川:「ケアマネさんには相談されましたか?」
ご主人:「ケアマネにこういうことも相談して良いの!?」
つまり、このケースでは「不満はあるけど言いにくい」という遠慮と、「ヘルパーのことをケアマネに相談できない」という躊躇から、ご主人は一人で悩みを抱えこんでしまったのです。
「少しの疑問や不安でもまずは相談してみる」

ご本人のお話を伺う限り、ヘルパーの対応には明らかに問題がありました。そこでご主人に次のようにお伝えしました。
- 「みなさんは介護保険料も納め、サービス利用料も払っています。きちんとサービス提供者にお金を払って大切な奥さんの介護をお任せしています。そのヘルパーさんは、お給料ももらって決められた仕事をする責任があるのにそれをしていない。言いにくい気持ちもわかりますが、大きな事故につながる前になんとかしましょう。」
- 「介護事業所、市町村や県にも介護に関する苦情や相談の受付窓口はあります。」
その後、ご主人はケアマネに自身の気持ちを話されたそうです。
サービスの利用を開始する際に、重要事項説明という形で相談窓口も含めいろいろな介護サービスに関する説明がされます。
ただ、うまく伝わっていない場合もあります。私たち介護従事者にとって当たり前のことも、利用する側からしたらそうではないことがたくさんあります。介護従事者は誰が聞いてもわかるような説明と、相手がきちんと理解できているかを確認をする必要があるのです。
そして利用するみなさんも、すべてをはじめから理解することは困難だと自覚をしたうえで、「少しの疑問や不安でもまずは相談してみる」という考えを持つと良いと思います。
困ったときは相談できる窓口を確認する
これまでお伝えしてきたように、まずは困ったときに相談できる窓口を確認しておくことが大切です。
私が以前、町の職員として介護相談に乗っていたときは、地域包括支援センターや町役場、社会福祉協議会、保健師、民生委員などたくさんの職種の方と連携をとっていました。みなさんの介護をサポートするために各機関は情報共有をして仕事にあたっています。
つまり相談できる場所は一つではありません。みなさんの身近にあって相談しやすい場所はどこですか?まずは、いくつかピックアップしてみましょう。
相談内容についても深く考えすぎなくても大丈夫です。相談相手は専門家です。あなたの話を聞いたうえで、適切な対処方法を提案し、担当の人を紹介してくれます。あなたの悩みが深刻化する前に相談してください。