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第57回

認知症の方の入浴拒否にどう声掛けする?症状の背景を考え、一緒に解決策を見つけよう

最終更新日時 2018/11/02
#親の介護
そこでなぜ、認知症の方はお風呂に入りたくないと言われるのか考えてみましょう。まず、知っておいてほしいのは、認知症の方は常に戦っているということです。

皆さん、こんにちは!デイサービスで看護師として勤務している、認知症LOVEレンジャーの友井川 愛です。

今回のテーマは「認知症からくる“入浴嫌い”の対応方法」です。

おそらく、ご家族の方や介護の職員の皆さんは、あの手この手でお誘いしているのではないでしょうか?また、ときには嫌がる本人を無理やりお風呂に入れてしまったことはありませんか?日々、悩みながら試行錯誤しているはずです。

そこでなぜ、認知症の方はお風呂に入りたくないと言うのか考えてみましょう。まず、大前提として知っておいてほしいのは、認知症の方は常に戦っているということです。「何と戦ってるの?」というのは、自分自身や環境です。

認知症の方は自分自身と葛藤している

認知症対策の最標的なケアとは

認知症の方は症状が進むにつれ、今までできていたことができなくなったり、知っていたことが思い出せなくなります。ゆえに、できていた頃の自分と、なぜかできなくなった現在の自分との間に葛藤が起こるのです。ましてや、そんな自分の姿を家族に見せることは、もの凄く自尊心が傷つきます。

お風呂を嫌がる一つの要因に、実行機能障害があります。実行機能障害というのは簡単に言うと、物事の手順がわからないということです。お風呂で考えると…

衣類を脱ぐ→髪を洗う→体を洗う→浴槽に入る→体を拭く→衣類を着る

以上の一連の動作がわからず、難しいと感じるようになります。難しいと感じることで、動作に時間がかかり、面倒くさいと思うようになるのです。そして、そんな自分の姿を家族に見せたくないと感じてしまいお風呂に入りたがらなくなります。

「汗を流してさっぱりしませんか?」

認知症対策の最標的なケアとは

認知症の方は、「お風呂に入りましょう」と言われても「お風呂って何?」となるので、誘われると不安になります。お風呂で何をしたら良いのかわからない、入ると時間がかかるから疲れるしもう入りたくない、と思うのです。お風呂に誘うときは、「一緒に入りましょう」などと声をかけ、脱衣から入浴までさりげなくお手伝いをしたり、手順を伝えてみましょう。

お風呂を嫌がってしまい、何日も入っていなくても、無理やり入れようとするのは逆効果です。また、声かけをするときは「何日も入ってないから汚いでしょ」ではなく「汗を流してさっぱりしませんか」「お湯につかって体の疲れをとりましょうね」などと、きっかけをつくるような声かけをしてみましょう。私は「お風呂に入って一杯やりましょう」とお酒好きな方にはよく言ってます。他には、「体がかゆいって言ってましたよね。ちょっと見せてもらえますか?」と言ったりして、お風呂以外に関心を向けてお風呂に誘導することもありました。

認知症の方は、自分の周りで起きているさまざまな変化に戸惑いか、ストレスを感じ、五感が敏感になっているので、お風呂に入るという行為は、とてつもなく緊張し不安になるのです。

高齢者の方は長い年月をかけて自分のペースを大事にしてきた

お風呂に入る手順がわからないと言われることもありますが、タオルに泡をつけて渡すと、思い出したように自分で体を洗い始めることがあります。また、こんな風に洗いましょうと手順を伝えると洗い始める方もいます。

私たちは、その方ができることとできないことを確認し、できないところだけをお手伝いしましょう。高齢者の方は長い年月をかけて、自分のやり方やこだわりを持って生活してきました。それは、お風呂の入り方でも同じです。自分のペースがあるのですから、「お湯の温度の確認」「体の洗い方」「順番」「シャワーが良いか」「浴槽に浸かるのが好きなのか」など、確かめながらお手伝いしましょう。

認知症対策の最標的なケアとは

認知症の方は、喉の渇きを感じる機能が鈍くなるので、お風呂の前後には必ず、コップ1杯の水分を摂ってもらいましょう。お湯の温度も感じにくくなるので温度は38~40度くらいが最適です。お風呂に入る行為はとても体が疲れますので、浴槽につかる場合は3分から5分くらいを目安にしましょう。また、浴槽から出てもらうときは、急に立ち上がると血圧が下がり立ちくらみが起こります。転倒に繋がる可能性も十分に考えられるのでゆっくり立つように伝えましょう。

もうお風呂に入ってくれなくなる?

認知症対策の最標的なケアとは

以前、勤務していた施設での経験です。お風呂に誘うと必ず暴れ、スタッフに対して厳しい言葉を言ってしまう方がいました。

スタッフが数人で対応し、半ば強引にお風呂に入ってもらっていたのですが、私がいつも心の中で思っていたのは、お風呂を極たんに嫌う理由が、最初にお風呂へ誘ったときに原因があったはずということでした。そのときに本人にとって不愉快なことが起きていたはずです。

その方は、入浴行為が嫌なのではなく、お風呂場という場所が嫌いで暴れているようでした。もしかしたら、脱衣室で無理やり脱がされたのかもしれませんし、きちんとした声かけを行わず、いきなりシャワーをかけられたのかもしれません。原因はわかりませんでしたが、おそらく本人の意に沿わない方法でお風呂に誘われ入浴したとしたら、本来は気持ちよくてリラックスできるはずのお風呂が、逆に苦痛なものになったとしてもおかしくはないです。認知症の方には気持ちの良いお風呂を実感してもらうには介助者側のアプローチが重要なのです。

次回は、夜間せん妄についてお話ししますね。

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