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第43回

【異食】なぜ認知症の人は食べられないものを口にするの?原因と正しい対応を知ろう!

最終更新日時 2018/06/28
#親の介護
今回のテーマは「認知症の方はなんで食べられないものを食べちゃうの?」です。認知症の方の中には「異食」という本来食べられないものを誤って口に入れてしまうことがあります。そして、「なんでそんなことをするの?」と疑問に思ったことがある人もいると思います。

皆さん、こんにちは。今回のテーマは「認知症の方はなんで食べられないものを食べちゃうの?」です。

認知症の方の中には、「異食」という本来食べられないものを誤って口に入れてしまう人がいます。皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれないですね。「なんでそんなことをするの?」と疑問に思ったことがある人もいると思います。今回はそんな疑問を解決し、その対処法について教えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

認知症の方が普段はやらない行動をしたらどうすれば?

「おじいさん待って!それは食べちゃだめ!」

昔は認知症の方のことを「何も理解することができない人だから、問題を起こすのだ」と考えられていました。しかし現在、認知症の方の言動を観察してみると、理解できないのではなくて、理解しにくくなっているだけ。理解できることもあるのがわかってきたんです。

現在、認知症の方が問題を起こす理由の一つとして「理解できることもあるから、問題を起こしてしまう」のだと考えられています。

「理解できることもあるから問題を起こす」

これ、ものすごく大切なキーワードです。これを頭の中に入れて、あるケースで考えてみましょう。

あるところに老夫婦が暮らしていました。おじいさんは認知症の状態です。おばあさんは、お昼ご飯を今作っている最中です。おじいさんはテーブルに座りながら、頭の中で「お腹すいたなあ」と考えていました。

しばらくして、テーブル上の観葉植物から、葉っぱが落ちてきました。すると、おじいさんはその葉っぱを口に入れて噛み始めたのです。それに気づいたおばあさんが、慌てておじいさんに言いました。「おじいさん待って!それ食べちゃダメ!」。おばあさんは考えました。「なんで葉っぱを食べちゃうの?」と。皆さん、ここで先ほどのキーワードを思い出してください。「理解できることもあるから問題を起こす」でしたね。では、それを踏まえて考えましょう。

認知症の方が異食をしてしまう理由

お腹がすいたと感じたおじいさんの目の前に観葉植物が置いてあり、そこから葉っぱが落ちてきました。この観葉植物を見たおじいさんは、「これってなんだろう?」と自分の記憶に尋ねてみます。

しかし、おじいさんは認知症の症状が進んでいて忘れてしまっているので、記憶に尋ねても、覚えていた観葉植物を思い出すことはできません。それでも、一生懸命考えます。次第におじいさんは観葉植物を見て「緑色の葉っぱだな。緑色の葉っぱだから、ひょっとして野菜かも?」と考えます。食べられる野菜だと間違って認識したおじいさんは「どうやって食べるんだろう?」とまた、自分の記憶に尋ねるのです。

すると、食べる方法は覚えていたので間違えることなく自分の口に葉っぱを入れて噛み始めたというわけです。このように、認知症になっても理解できることはたくさんあります。だから、認知症の方が自分では絶対にしない行為をしたら「この人の忘れたことは何だろう?何を覚えているのかな?」と考えてみてくださいね。少しずつ認知症の方に対しての理解が深まると思います。

異食の癖がある方がいたらどうしますか?

異食の癖がある認知症の方への対処法は?

異食の癖がある認知症の方に対して、間違った対応をする方がいます。それは、異食をしないように、目の前の物をすべてかたづけることです。

前段落のケースで言うならば、観葉植物の葉っぱを食べるのだから、テーブルの上になにも置かないようにすることですね。確かに目に入るところに物を置かなければ、異食は起きないかもしれません。しかし、皆さん考えてみてください。もしあなたがこのおじいさんだったら?

認知症の方は健常者と何かが違うわけではない

実はこのおじいさん、お花や観葉植物のお世話をしたり、眺めることが大好きなのです。だから、おばあさんもおじいさんに観葉植物を楽しんでもらおうと、テーブルに観葉植物を置いていたのでした。

前段落での正しい対応方法は、観葉植物を置かないのではなく、枯れて落ちた葉っぱをかたづけることです。観葉植物の枝から葉っぱをちぎって口に入れる方はほとんどいませんが、落ちた葉っぱを口に入れてしまうことはあります。

認知症の方の中にも、私たちと同じよう感受性が遥かに高く、いきいきとされている人を私はたくさん知っています。認知症になったから何もできないわけではありません。

むしろ、認知症になったからこそ、純粋に物事を楽しめるようになられる方もいらっしゃいます。認知症の方と私たちは、なんら変わりないのです。ただ、ちょっとだけ理解できないことがある。それだけなのです。

症状を抑えるには介護者が正しい環境整備を

認知症の方の症状を抑える方法って?

もう一つ、別のケースです。あるおばあさんが雨の中、庭のお花にお水をあげていました。あなたは、「雨が降っているのに、どうしてお水をあげるの?」と思うでしょう。実際に、こんな場面に遭遇したらあなたならどう対応しますか?お水をあげられないようにじょうろをかたづけますか?それとも外に出ないように声をかけるのでしょうか?

実はこのおばあさん、認知症になる前からガーデニングを趣味としてしていて、認知症になってもお花にお水をあげるのが毎日の楽しみなんです。これっておばあさんの日課でもありますよね?そんなおばあさんの楽しみを取り上げるようなこと、あなたはできますか?少なくとも、私にはできません。

ならば、どうすれば良いと思いますか?答えは簡単です。優しい気持ちで認知症の方に寄り添ってあげてください。もし、おばあさんが雨の中でお花にお水をあげていたら、おばあさんが雨に濡れないようにそっと傘をさしてあげてください。そして、一緒に綺麗なお花を見て楽しんでください。

認知症の方の症状を抑えたり、問題行動を起こさずにできる方法は、介護者である私たちが正しい環境整備をできるかにかかっています。

正しい環境整備の意義とは、認知症の方が間違って問題行動を起こさず、毎日を楽しく、その人らしい生活が送れるように援助することです。

次回は【認知症の基本のき・それって言っても大丈夫な言葉ですか?】をお送りしたいと思います。また見てくださいねー!

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