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第39回

Q.認知症の方がお金を渡してきたら?A.ありがたく受け取る。B.受け取ってこっそり財布に戻す。ヒント:渡したこと自体を忘れます

最終更新日時 2018/06/14
#親の介護
さて、皆さんがA君だったらどうされますか?喜んでもらいますか?(笑)。たぶん、多くの方は「ありがとう」と言ってお小遣いをもらうと思います。もちろん、それで良いと思います。ただ、もらいっぱなしで良いのでしょうか?

皆さん、こんにちは。前回に引き続き今回も、認知症の方の日常生活の中で起こるケースについてお話します。今回のテーマは「お金を盗まれた」についてです。

認知症の方の中には、物とられ妄想という症状がみられる方がいらっしゃいます。皆さんも一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか?おそらく、よくあるのは認知症の方が自らしまい込んだものを見つけられず、誰かに盗まれたと言い出すケースだと思います。

そして、だいたい犯人扱いされるのは一緒に暮らす家族や介護者ですね。犯人扱いされた方は不愉快な思いをされるでしょうし、一番近くで頑張って介護されている方なら、なおさらやるせない思いをされることでしょう。

認知症の方も介護者の方もお互いに困ることなく、また悲しい思いをしないためにも正しい理解と対応方法を知ることがとても大切になってきます。では、物とられ妄想のケースでお話をしていきますね。

あばあさんからお小遣いをもらいました。 あなたならどうしますか?

多くの人は「ありがとう」と言う

ある認知症のおばあさんがいます。そして、このおばあさんには小学生の可愛い孫、A君がいます。A君は昨日、おばあさんからお小遣いを千円もらったのですが、今日もまたおばあさんから千円をもらいました。

さて、皆さんがA君だったらどうされますか?喜んでもらいますか?たぶん、多くの方は「ありがとう」と言ってお小遣いをもらうと思います。もちろん、それで良いと思います。ただ、もらいっぱなしで良いのでしょうか?

受け取ってお財布の中にこっそりと戻そう

じつは、このA君。学校で認知症の勉強をしていたのでちゃんと対応方法を知っていました。なので、A君は「ありがとう。おばあちゃん」と言ってお小遣いをもらい、その千円をいつもおばあさんがお金を入れているタンスの引き出しにこっそり返したんです。

私たちは歳をとると、お小遣いをあげた後にいくらあげたっけ?と体験の一部を忘れてしまうことがありますよね?でも、認知症の方は“覚えられなくなる病気”ですのでお小遣いをあげたことを覚えていない…だから、お小遣いをもらいっぱなしではいけないのです。

A君のようにその場では「ありがとう」ともらい後から、おばあちゃんがいつもお金を入れているタンスの引き出しにこっそり返す。ここまでやって正しいかかわりなのです。

では、もし私たちが認知症について正しい知識がなく、お小遣いをもらいっぱなしだとしたらこのおばあさんはどうなるでしょう?A君にお小遣いをあげた後、自分の部屋に戻ったおばあさんは、いつものようにタンスの引き出しを開けてみました。もちろん、お小遣いをあげているので引き出しの中にはお金はありません。すると、おばあさんは「お金がなくなった」と焦り、不安になりますね。もしくは、「誰かに盗まれた」と興奮し、怒りだすかもしれませんね。そうすると私たちもどうしたら良いかわからず、困りますよね?

そして、認知症の方が一番つらい思いをされる訳です。だからこそ認知症の方の特徴をきちんと理解した上でかかわることが大切なのです。

症状緩和のためには"お薬"と"適切なかかわり"が重要

ストレスは認知症の症状進行に関係がある

認知症の方を焦らせたり不安にさせたらダメとよく言われますが、何故いけないのでしょうか?答えは、焦りや不安というのはストレスであり、このストレスが認知症の症状の進行に大きく関係していると言われているからです。

ですが、この症状をゆるやかにできることが二つあります。それは「お薬」と「適切なかかわり」です。現在、日本でアルツハイマー型認知症のお薬が4種類あり、このお薬は症状を緩やかにできると言われています。しかしもっと大切なのは「適切なかかわり」だと言われています。適切なかかわりとは認知症の方に「安心」を感じてもらえると言われておりこのかかわりを学ぶことが大切なのです。

次に、物とられ妄想が起きたときの対応方法についてお話しします。もし、財布やお金を盗まれたと認知症の方が言ってこられたら、どのようにかかわるのが良いのでしょうか?

敬う気持ちを忘れず自尊心を傷つけないようなかかわりを

認知症の方の訴えを受け入れよう

おばあさんが「自分の部屋にあった財布がない」と怒ってお嫁さんに言いに来られました。そのとき、Aのお嫁さんは「お義母さん、また自分でどこかに置いたことを忘れたんでしょう?」と事実を言いました。すると、本人は事実を理解されていないので「嘘ばっかり。あんたが盗んだんでしょう」とさらに興奮してしまいました。事実をそのまま言ってしまうと、認知症の方は財布を盗まれたという被害を受けた上に、失礼なことを言われたと酷く自尊心が傷ついてしまい物とられ妄想に拍車がかかります。

ではBのお嫁さんはというと…。財布がなくなったとおばあさんが言ってくると、「まあ、大変ですね。一緒に探しますよ」と言い部屋の中を探しました。すると、タンスの引き出しから財布が出てきたので、その財布を本人に渡し「見つかって良かったですね」と言うと、おばあさんは財布が見つかったことで安心し落ち着きました。

皆さん、Aのお嫁さんとBのお嫁さんの対応の違いで大事な点がおわかりでしょうか?二人の違いはまず、財布がないと訴えがあったときにAのお嫁さんは“事実”を伝え、更に怒らせてしまいましたね。

一方でBのお嫁さんはというと、訴えを“受け入れ”て一緒に探しましたね。このように、もし財布がなかったとしても一緒に探す姿勢を見せることで、おばあさんのプライドを傷つけない対応になっています。

ちなみになくなるものは、特定のものが多いので事前に同じようなものをこっそり準備しておくと良いでしょう。また、物とられ妄想の症状がみられる方の背景には、一方的に介護されている自分の立場を納得できず介護者を犯人にすることで、自分のほうが被害を受けていると信じることで心のバランスを保とうとされます。

ですから、認知症の方と介護者が同等な関係になれるよう、認知症の方が得意なことやできることを教わったりすると良いでしょう。認知症の方も含め高齢者の方々は、私たちの人生の先輩ですから、敬う気持ちを忘れず自尊心を傷つけないようなかかわりをしていただけるとありがたいですね。

次回は【認知症の基本のき・なんで食べちゃうの?】です。それでは、皆さんまた合う日まで。

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