ある日、若年性認知症だと診断されたらどうしますか?多くの方は家族の生活や仕事への影響を考えることでしょう。
そんなとき、あなたを支えてくれる専門職がいます。それが「若年性認知症支援コーディネーター」です。
この記事では、若年性認知症支援コーディネーターがどのように適切な専門治療につなげてくれるか、その役割や活動事例を紹介します。
若年性認知症について
認知症は、高齢者の疾患と思われがちですが、比較的働き盛りの40~50代でも発症することがあります。これを若年性認知症と呼びます。
以前、民放のテレビドラマでもテーマにされて、話題を呼びました。若年性認知症は、アルツハイマー型と脳血管性のタイプが多い傾向があります。
個人差はありますが、症状としては次のようなものがあります。
初期症状 | 中核症状 |
---|---|
・忘れっぽくミスが増える ・今までできていたことができなくなる ・やる気が出ない ・別人のように性格が変わる |
・新しいことが記憶できない ・日付や時間がわからない ・言われたことがすぐに判断できない ・計画を立てて順序よく行動することが難しい ・相手の言葉が理解できない ・思っていることを言葉にしにくい ・見えているものや聞こえているものがわからなくなる |
若年性認知症は社会的な影響が大きい
若年性認知症の大きな課題は、社会的な影響が大きいこと。40~50代は家庭や職場で重要な役割を担っていることが多く、発症すると日々の生活に影響を及ぼし、家族や周囲の人もさまざまな困難に直面する場合があります。
そこで、若年性認知症の方や家族に対して総合的な支援を目的に2017年から各都道府県や指定都市に1~2名の若年性認知症コーデイネーターを配置し、医療・介護・労働の関係各機関と連携し支援を行っています。
若年性認知症コーデイネーターの実際の仕事内容を要約すると、次のようになります。
- 相談窓口
- 若年性認知症と診断された方や、その家族から病気や治療、生活の相談に加え、福祉サービスや補助制度についてニーズを把握。適切な情報やサービスなどを提案する相談業務を行います。
- 連携体制の構築
- 自立に向けて医師やケアマネージャー、職場や地域の方を交えて、安心して生活できるように各関係機関と定期的な会議や個別相談をします。
- 普及啓発
- まだ若年性認知症が一般的に認知されていないため、支援が不足しないように市町村や企業、関係各機関に対して講演会や研修会などを通じた啓発活動を行います。また、パンフレットやポスターなどの作成もしています。
若年性認知症コーディネーターを通じて仕事を得た例も
最後に、私が経験した事例を紹介いたします。
Aさんは、50代男性で、職場や家庭で思い違いや時間を忘れることが多くなり、家族と一緒に専門病院で受診。その結果、若年性アルツハイマー型認知症だと診断されました。
家族と相談して、会社を早期退職。若年性認知症コーディネーターと今後のことについて相談しました。
その結果、自宅近くのデイサービスでお茶を出したり、草取りをする仕事を紹介され、自分の居場所を見つけることができました。Aさんは、病気と向き合いながら生き生きとした日々を送っているそうです。
若年性認知症を発症すると、本人や家族にとって心理的・社会的に大きな負担になります。そのため、早期に発見し、迅速に対応することが大切です。
自身や家族だけで抱え込まずに、早めに若年性認知症コーデイネーターに相談し、支援を受けることをおすすめいたします。