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第24回

【感情失禁とは?】脳血管性認知症の症状の特徴と対応のポイントを解説!

最終更新日時 2018/04/03
#介護予防
アルツハイマー型やレビー小体型のような脳の変性から起こる症状は潜伏期間が長く、いつの間にか発症し徐々に進行していくのに比べて、脳血管性認知症は突然発症し、段階的にダウンがはっきりわかるのが特徴です。

こんにちは。デイサービスで看護師として勤務している、認知症LOVEレンジャーの友井川 愛です。在宅介護で奮闘しているみなさんに、看護師目線で認知症介護のポイントをお伝えしていきます。

現在、認知症について一般の方にも正しい知識と理解していただきたいと考え、みんなの介護さんの場をお借りしてコラムを掲載させていただいています。

最近、改めて思うことは、「自分は絶対に認知症にならない!」「私には関係のないこと」「○○さんは認知症になってかわいそう」「家族は大変ね」などと皆様、他人事だと思っているんだなと言うことです。

認知症の方や介護されているご家族でなければ、大変さはなかなかわからないと思いますが、皆さんの身近にもきっと認知症の方や介護されているご家族、友人がいらっしゃると思います。いずれ、自分が当事者になるかもしれませし、私もなるかもしれません(笑)。

特別なことをする必要はないんです。ただ、どこかで認知症の方やご家族がいらっしゃったなら優しく見守ってくださいませんか?できたら、ちょっとで良いのでお茶でも飲みながらお話ししてもらえませんか?ほんの少し、皆さんの温かいお気持ちに触れる機会を作っていただけたら地域で暮らす認知症の方やご家族の心も温かく穏やかになれると思います。

脳血管性認知症はまだら状態に記憶が保存される

さて、本題に入ります。これまで4大認知症についてタイプ別にお話しましたが、今回の脳血管性認知症で最後となります(疾患や外傷の影響で発症する二次性認知症の代表)。他のタイプと違い脳の変性が原因ではなく脳血管障害から発症する認知症で、具体的には脳の血管が少しずつ塞がってしまうか、動脈から血液が流れ出してしまい、脳細胞をダメにしてしまいます。

特に多いのは、小血管性認知症と呼ばれる細い血管が障害される認知症で、約半数を占めています。また、救急で運ばれるような大きな脳梗塞ではなく、小さな梗塞が多発する多発性脳梗塞が多数をしめています(無症候性虚血が多く脳卒中を起こさない、10年以上経過後、高い確率で認知症を発症)。多発性脳梗塞は目に見えてわかるような後遺症がなく、ときには発症したことに気づかないこともあります。

多発性脳梗塞の中でも多いのが、小さい梗塞が無数に無症候性に多発するラクナ梗塞、広範囲に虚血性病変が見られるビンスワンガータイプなどで、これらは認知症になりやすい脳梗塞と言われています。どちらも危険因子として高血圧、糖尿病があげられます(予防には健康的な生活習慣を身につけること)。脳血管性認知症の原因となるのは動脈硬化といわれています。

動脈硬化とは、血管の壁が厚くなって血流量が減ることなのですが、この進行を加速させているのは高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病です。特に、高血圧はNO.1の危険因子でこの高血圧が長期間続いているとラクナ脳梗塞やビンスワンガータイプを引き起こします。

それに、アルツハイマー型認知症や混合型認知症の危険因子でもあるのです(段階的な進行を見せる認知症)。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症のような脳の変性から起こる認知症は潜伏期間が長く、いつの間にか発症し徐々に進行していくのに比べて、脳血管性認知症は突然発症し段階的にダウンがはっきりわかるのが特徴であり、脳血管障害を繰り返すたびに認知機能が悪化します。典型的な進行の経過は…

  • ①歩行障害(小刻み歩行、幅広歩行)
  • ②意欲低下(不安、うつ状態)
  • ③構音障害(発語障害、嚥下(えんげ)障害)
  • ④記憶障害(再生に時間がかかる)
  • ⑤失禁(尿意切迫、頻尿)

の順にたどると言われています(別名:まだら認知症)。脳血管性認知症はまだら認知症とも呼ばれ他の認知症は全体的に、認知機能が低下するのに比べて脳血管性は、まだら状に保存されるからだと言われています。

飲酒は高血圧、動脈硬化の原因となり脳卒中を起こしやすい

もう一つの特徴として意識レベルに波がある事です。意識がしっかりしていて活発なときとボーッとしているときがあり一日から数日で変わることがあります(特有の5つの症状)。

  • (感情失禁)感情のコントロールができないので場違いに笑ったり泣いたりする。自分の欲求もコントロールできないので無駄な買い物をしたり無制限に物を欲しがる
  • (麻痺症状)片麻痺や食べ物を上手く飲み込めない嚥下障害、言葉を正しく言えない構音障害が起こる
  • (実行機能障害)段取りを考えて料理ができないなど、計画を立てて実行するプロセスが障害される
  • (注意障害)対象に適切に注意を向けることができないので間違いが増える
  • (アパシー)自発性や意欲の低下から自ら何かをすることがなくなり閉じこもりになる

ケアの注意点

脳血管性認知症の方は脳血管障害後の性格の変化が見られたり、感情失禁もあるのでその人らしさとして受け止めてあげましょう。

気分の変動や意識レベルの低下、興奮状態が周期的に変化しますので変動のパターンを把握しておくと関わりやすくなると思います。

まだら状態になりますので、できることとできないことが入り混じって変化します。このことを理解した上で認知症の方が困っているようなら、ヒントや手順を示してみてください。

自発性の低下から活動が減るようになりますので廃用症候群を防ぐためにも趣味や日課に取り組めるような環境作りに努めましょう。

習慣的な飲酒は高血圧、動脈硬化の原因となり脳卒中を起こすことになります。お酒の飲みすぎは心臓に負担をかけ血圧の上昇につながります(節酒)。脳血管障害を起こす大きな危険因子です。できることなら喫煙は止めましょう(禁煙)。適度な運動を習慣的に行うことは脳血管障害の予防にもなりますし治療にも効果的なので、ぜひ積極的に行いましょう(運動習慣)。

今回で、4大認知症についてのお話は一旦終わりますが、これらの他にもさまざまな認知症があります。次回は、認知症の前段階と言われる軽度認知障害(MCI)と治る認知症についてお話ししたいと思います。

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雜賀 匡史
さいがケアファルマ 合同会社 ​​代表
2021/05/27

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