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第231回

親が認知症になる前に知っておきたい「日常生活自立支援事業」。財産管理や契約のサポートも

最終更新日時 2022/07/15
#親の介護
認知症になって判断能力などが低下すると、自身で金銭管理を行うことが難しくなります。その場合、本人に代わって家族が金銭管理を行うことが一般的ですが、認知症で判断能力が低下して意思疎通が困難になると、銀行口座が凍結される可能性もあります。今回は、いざというときに慌てないためにも、認知症の人が活用できる日常生活自立支援事業についてお話いたします。

【事例】母が突然病気になり、認知症が不安に…

85歳の母は、軽い物忘れがあるものの日常生活に支障はなく、一人暮らしをしていました。

長男のAさんは他県在住でしたが、あるとき母から「急に胸が苦しくなって、救急車で病院に運ばれて入院することになった」という電話を受けました。

長男は慌てて病院に向かったところ、母は軽い心不全。幸いにも命に別状はなく1週間程度で退院ができる見込みであると医師から説明がありました。

その後、病状は快方に向かい退院できましたが、急な入院であったため、母は入院費を持ち合わせておらず長男が全額立て替えることに。

後日、長男は一連の出来事を介護経験がある同僚に話すと、「親が認知症になると、本人の銀行口座が凍結されてお金が引き出せなくなると聞いたことがある。早いうちに手を打った方が良い」とアドバイスを受けました。

認知症の人の財産管理を行う支援サービスがある

認知症状態である高齢者の金銭管理を支援するには、いくつか方法がありますが、その一つが「日常生活自立支援事業」です。

厚生労働省は日常生活自立支援事業を「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」と定義しています。

この事業は、都道府県社会福祉協議会(社協)が実施主体となり、市区町村にある社会福祉協議会と協力して実施します。サービスの対象者は、次のいずれかに当てはまることが条件になります。

  • 認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者などで、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な方
  • 本事業の契約の内容について判断能力を有していると認められる方

ただし、このサービスを利用するためには、本人が社会福祉協議会と契約をする必要があるので、認知症の進行などにより、本人による契約が難しいと判断されると利用できません。

日常生活自立支援事業は認知症が重度化する前に活用しよう

日常生活自立支援事業では年金や書類を管理してもらえる

日常生活自立支援事業の内容は以下のとおりです。

【基本サービス】

福祉サービスの利用援助

  • 福祉サービスの利用や利用解除に必要な手続き援助
  • 福祉サービスの利用料支払い手続き援助
  • 福祉サービスについての苦情解決制度を利用する手続き援助

【必要に応じて実施されるサービス】

1.日常金銭管理サービス(年金を中心とした日常的な金銭管理の援助)

  • 年金や福祉手当の受領に必要な手続き援助
  • 税金や社会保険料、公共料金、医療費等の支払い手続き援助
  • 日常生活に必要な預金の払い戻し、預入援助

2.書類などを預かるサービス

社会福祉協議会などが金融機関の貸金庫を借りて、大切な書類などを預かるサービス

これらの支援を、利用者一人に対して専門員と生活支援員各一人が担当します。

専門員は支援計画を作成し契約締結や調整を、生活支援員は専門員が作成した支援計画に基づいて定期的に訪問し、預金の出し入れのサポートなどを実施します。

利用料は、社協が定めた利用料を利用者が負担します。おおよその利用料は以下の通りですが、正確な金額は、地域の社協に確認しましょう。

  • 福祉サービスの利用援助については、1回1時間につき1,000円程度
  • 公共料金の支払い、生活費の引き出しなどの日常金銭管理サービスは、1回につき1,000~2,500円程度
  • 大切な書類などを預かるサービスは1ヵ月1,000円程度
  • 訪問1回あたりの利用料は1回1,200円程度

契約締結前の初期相談などにかかる経費や生活保護受給世帯の利用料については、無料です。

福祉サービス利用のための手続き支援や日常生活費の範囲内の金銭管理、定期訪問による見守りなどであれば、日常生活支援事業の活用が有効です。

また、認知症の進行などにより本人による契約が難しいと判断された場合は、成年後見制度の利用が有効です。

日常生活支援事業を利用中でも、認知機能の低下により契約締結能力が低下した場合は、日常生活自立支援事業から成年後見制度へ移行するケースもあります。

いざというときに慌てないためにも、制度を知って備えておくことが大切です。今回紹介した事例のようなことが起きた場合、まずは日常生活自立支援事業を利用できないか検討してみましょう。

さまざまなサービスを安価で利用できる
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