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第214回

全国で増加する認知症カフェ。地域連携における重要な役割

最終更新日時 2022/01/19
#介護予防 #高齢者の健康
特別養護老人ホーム裕和園の髙橋秀明です。2015年、認知症の人が住み慣れた地域で、自分らしく暮らせる社会の実現を目指し、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が策定されました。その中で地域における認知症支援の場として「認知症カフェ」の設置が進められています。今回は、その役割と意義について解説いたします。

特別養護老人ホーム裕和園の髙橋秀明です。

認知症カフェという支援施設をご存知でしょうか。一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「どのような場」で、「どんな人」が、「どういった活動」をしているかまで、知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は認知症カフェの役割と意義について解説いたします。

認知症カフェとは?

2015年、認知症の人が住み慣れた地域で、自分らしく暮らせる社会の実現を目指し、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」が策定されました。

施策の一つとして、認知症の人や家族への支援の柱として、認知症カフェが全国で設置されることになりました。地域によってはオレンジカフェとも呼ばれています。

認知症カフェは、厚生労働省の定義によると「認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場」とされています。主な利用者は次のような方々です。

  • 認知症の状態にある本人
  • 認知症の状態にある人等を介護する家族
  • 地域の住民
  • 専門職

運営主体や具体的な開催内容は以下の通りです。

認知症カフェの運営主体
主に地域包括支援センター、社会福祉法人などが運営する事業所、家族会が主催しています。開催場所は介護施設や公民館、個人宅を活用して実施することが多いです。
カフェの開催頻度
各カフェによって開催頻度はまちまちですが、月1~2回開催しているところもあれば、週1回開催しているところもあります。開催時間は、1回あたり2時間が一般的です。詳細は、各カフェを運営している事業所などに問い合わせると良いでしょう。
カフェの参加申込や参加費用
参加申込は不要なところが多く、開催時間中の出入りは自由な場合が多いです。カフェによっては事前申し込みが必要な場合もあります。参加費用は平均すると100円~500円(茶菓子代など)が一般的です。
カフェの内容

参加者同士のコミュニケーションや介護相談

軽食(お菓子など)、フリードリンクで参加者同士が気軽に会話を楽しんだり、専門職に相談に乗ってもらったり、会話や交流、情報交換をしたりします。

アクティビティプログラム

アクティビティや音楽イベントなど、運動の機能低下を防ぐための健康体操のほか、将棋や囲碁、カラオケといった趣味を楽しむ活動を実施しています。

専門職による認知症基礎講座等の開催

介護福祉士・看護師・介護支援専門員などといった専門職もカフェに参加することもあり、認知症や介護について相談することも可能です。専門家による「認知症に関する講座」を開催することもあり、介護者や地域住民にとって学びの場として活用されています。

このようなサービスやプログラムが用意されていますが、基本的に自由に過ごせます。

自由な雰囲気で、さまざまな人との出会いや情報が得られる

認知症カフェの基本的な役割

「認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業報告書」では、認知症カフェを7つの要素と10の特徴にまとめています。

認知症カフェの7つの要素

  1. 認知症の人が、病気であることを意識せずに過ごせる
  2. 認知症の人にとって、自分の役割がある
  3. 認知症の人と家族が、社会とつながることができる
  4. 認知症の人と家族にとって、自分の弱みを知ってもらえて、かつそれを受け入れてもらえる
  5. 認知症の人とその家族が一緒に参加でき、それ以外の人が参加・交流できる
  6. どんな人も自分のペースに合わせて参加できる
  7. 「人」がつながることを可能にする仕組みがある

認知症カフェの10の特徴

  1. 認知症の人とその家族が安心して過ごせる場
  2. 認知症の人とその家族がいつでも気軽に相談できる場
  3. 認知症の人とその家族が自分たちの思いを吐き出せる場
  4. 本人と家族の暮らしのリズム、関係性を崩さずに利用できる場
  5. 認知症の人と家族の思いや希望が社会に発信される場
  6. 一般住民が認知症の人やその家族と出会う場
  7. 一般の地域住民が認知症のことや認知症ケアについて知る場
  8. 専門職が本人や家族と平面で出会い、本人家族の別の側面を発見する場
  9. 運営スタッフにとって、必要とされていること、やりがいを感じる場
  10. 地域住民にとって「自分が認知症になったとき」に安心して利用できる場を知り、相互扶助の輪を形成できる場

認知症カフェは、認知症の当事者だけではなく、さまざまな人たちが交流を深める集いの場です。

当事者間のコミュニケーションにとどまらず、地域の方々に対する認知症の啓発といった役割も担っています。

認知症によって生活に支障が生じているにもかかわらず、周囲の人が「気づけない、気づかない」状況や、課題(認知症の進行によるトラブルなど)が大きくなるまで放置されている状況が少なからずあります。

また、認知症について正しい知識を持っている人や、相談できる場所を知っている人だけではありません。そのような人たちに、認知症に関する情報(認知症の初期対応の重要性や知識、相談できる場の周知など)を届けることも、認知症カフェの役割の一つであると考えます。

コロナ禍における特別な役割

感染症対策のために、認知症カフェを休止せざるを得ないところもありました。緊急事態宣言の解除とともに、カフェを再開した事業所もありますが、未知数な変異株の出現により、カフェの再開に二の足を踏むところもあります。

最近では、オンラインによるカフェや対面とオンラインを併用して再開しているところもあります。「コロナ禍だからしょうがない」「感染対策だから休止もやむを得ない」と考えがちですが、創意工夫と試行錯誤を重ねながら、前向きに取り組んでいるカフェもあります。

コロナ禍でオンラインを活用するカフェも増加

認知症の状態になったとしても、社会と断絶するのではなく、社会とつながって生きることが絶対条件です。認知症カフェは、「認知症の人が外に出かける」「社会に参加する」きっかけになります。家族介護者や地域住民にとっても、有意義なものですが、何よりも本人が「行ってみたい」「行きたい」と思えるような環境づくりも大切です。参加しやすい雰囲気、ご本人にとって楽しいと感じられる内容を用意できるかがカギになります。

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