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第205回

劣悪な介護施設を見分けるポイント。後悔しないために気をつけること

最終更新日時 2021/10/29
#老人ホームへの入居
皆さん、こんにちは。特別養護老人ホーム裕和園の高橋秀明です。要介護者を抱える家族にとって、施設に託すことは一大決心です。そのサービスの質が低かったら後悔しますし、その後の負担も大きくなります。そのため、施設をどうやって選ぶかは要介護者のその後の生活を左右します。今回は施設選びの際の考え方の基準やポイントを解説いたします。

皆さん、こんにちは。特別養護老人ホーム裕和園の高橋秀明です。

今回は、介護施設選びでトラブルに合わないためのポイントについてお話いたします。

介護施設選びは一大事

突然ではありますが、まず皆さんに質問をさせてください。

  1. 今あなたは、年老いたら自力で食事を食べることをやめて、誰かに全介助で食事を食べさせてもらいたいと願っていますか?
  2. 今あなたは、年老いたらトイレで排泄することをやめて、誰かにベッド上でおむつ交換をしてもらおうと願っていますか?
  3. 今あなたは、年老いたら住み慣れた自宅を離れ、施設に入居をしたいと願っていますか?

これらの質問に対し、「そんなわけない」と思われた方が大半ではないでしょうか。当然、僕自身も「年老いても自分のことは自分で決めて、自分でできることは自分でしたい」と強く思っています。

今、自分ができていることや理解できていることは、いくつになっても失わずに暮らし続けたい。それが本音です。また、施設に入らざるを得ない方とは多く出会ってきましたが、自ら望んで施設に入居をした方はごくわずかです。それは、本人を介護する家族も一緒です。

僕が18年間、相談・援助をしてきた経験から言えることは、自宅で長年介護をしてきた家族にとって、本人を施設に託す(預ける)ことは一大決心です。そのため、施設に託したけれど、そのサービスの質が低かったら後悔しますし、また新たな施設を探さなければならないなど、要介護者・家族にとって、負担が非常に大きくなります。

実際に起きた、悲惨な例を紹介しましょう。

事例1
数年前、ある施設で起きた殺人事件が全国ニュースで取り上げられました。そのニュースでは、事件が起きた施設の日常も映し出され、虐待が横行している事実も発覚しました。その施設では、個人の尊厳を大事にする旨の理念が掲げられていました。
事例2
ある施設では、ほとんどの入居者に対して身体をベルトで縛る身体拘束が行われている事実が発覚しました。この施設関係者は、身体拘束は入居者の安全確保のためにしたことと理由を述べました。
事例3
ある施設に入居したてのAさん。Aさんは環境変化に適応しにくく、「家に帰りたい」と頻繁に職員に訴えました。施設管理者は、「里心がつくから当分面会はしないように」と家族に依頼をして、Aさんと家族はしばらく面会ができなくなりました。

これらの事例は、架空のものではなく紛れもない事実です。極端な事例かもしれませんが、このような施設を選択してしまった場合、本人・家族とも悔やんでも悔やみきれません。

中には劣悪な環境の施設も…

介護施設を選ぶ際に確認しておきたいポイント

施設を選ぶ際に、良質なサービスを提供している施設なのか、劣悪な施設なのかを見分けることは難しいものです。そこで、確認すべきポイントを下記にまとめました。施設を選ぶ際に参考にしていただければと思います。

入居相談前に施設情報をインターネットなどで確認する

普段、高額な商品を購入するときに、皆さんは十分に情報を得たうえで商品を購入することでしょう。まったく同じように、利用を検討している施設の情報も十分確認したうえで、検討することをおすすめします。

1:施設のウェブサイトをチェックする
施設のウェブサイトには、施設の運営に対する考え方や実際に働いている職員の声など、たくさんの情報が掲載されています。また、施設の日常・行事などの活動報告や職員の支援に対する考え方をブログで発信している施設もあるため、ブログをチェックすることで情報を収集することができます。
2:「介護サービス情報公表システム」をチェックする
インターネットなどにより、介護サービス事業所を公表する仕組みがあります。僕は家族の方に「介護サービス情報公表システムをご覧になったことはありますか?」と質問をしますが、「知らない」「見たことがない」と返答される割合が高い印象です。一般の方にこのシステムはあまり浸透していないようですが、施設を選ぶきっかけとして知っておいて損はないと思います。

介護サービス情報公表システムに掲載されている内容は、非常に多岐にわたりますが、特に「職員人数・保有資格・入退職状況・勤続年数など」はよく見ておきましょう。介護を受ける人の生きる姿は、介護者で大きく変わります。建物の豪華さやハード面よりも、職員の質の良し悪しが、施設の価値を左右します。

入居相談時に相談員などに質問をしてチェックする

入居相談の窓口は、相談援助のプロフェッショナルである生活相談員や介護支援専門員などです。わからないことは率直に質問をして、詳しい施設情報を確認しましょう。以下に施設の良し悪しを見極める質問のポイントを列挙します。

1:事業所の支援方針の確認
施設において、支援を行う上の基準となるものを質問しましょう。「その人らしさを大事にする」「寄り添う介護」など、抽象的で響きの良い言葉に納得するのではなく、具体的にどのような支援内容なのか確認することが重要です。
2:医療機関などとの連携体制と退去条件の確認

入居者の状態は一定ではありません。認知症の進行や疾病が悪化して状態が変化することも想定されます。そのようなときに、施設としてどのような医療が提供され、どこと連携を図るのか率直に聞きましょう。

「認知症が進行したら、(その施設を)退去してもらいます」という施設は、今後の生活に不安が残ります。また、そのような説明をされる施設は、支配思考(職員本位)に陥っている可能性も考えられます。

3:職員の配置状況などの確認

サービス情報公表システムでも確認はできますが、相談時にリアルタイムの職員配置数を確認することをおすすめします。この際、国の定める人員配置基準に対して、現状何人の職員が配置されているかまで深堀りできると、さらに良いでしょう。

「うちの施設は職員数が充実しています」とあいまいな説明で納得するのではなく、何を根拠として職員数が充実していると言っているのか、その理由を確認しましょう。施設は基準や法令に基づいて運営されています。基準や法令を普段から意識・確認してサービスが提供されている施設なのか、それとも職員個々の価値観でサービスが提供されているのかを探るチェックポイントになるはずです。

相談員等施設で働く職員が、日頃から基準や法令を意識・確認しサービス提供がなされているということは、法令順守イコール施設が守らなければならないことを守った運営がなされている確認につながります。

4:職員の研修状況の確認

入居者の生活の質は、職員の知識・技術・意識・経験等によって左右されます。そのため、職員の知識・技術などを高めるために取り組んでいる研修について確認しておくことも重要なことです。

さらに、研修受講を受けて施設の支援がどのように変化したか、そのエピソードを聞くことまでできると、施設の実情をさらに詳しく把握することができると思います。

インターネットや相談員などから情報を得る

見学時に確認しておきたいポイント

職員の入居者等に対する言葉づかい

施設見学は、内情を確認するうえで大変重要なものです。見学時は、ただ建物内を漠然と見るのではなく、職員の入居者へのかかわり方も意識して確認しておきましょう。

入居者に対する職員の言葉づかい、例えば、「丁寧語で対応しているか」「声のトーンはどうか」「指示・命令的な表現が使われていないか」など、見学時でも確認はできるはずです。

プライバシーが確保されているか

施設見学の際に、「フロアにベッドが並べられていないか」「トイレはカーテンなどで仕切られ、羞恥心に配慮がなされているか」などを確認しましょう。入居者の見守りという名目でプライバシーがおろそかにされていると、要介護者の生活に支障をきたす恐れがあります。

実際に施設を利用した人の話を聞くことも有効です。経験者の中にはさまざまなネットワークや情報を持っている方もいます。経験者の声がすべてではありませんが、活用できるものは活用することが大事です。

これからは施設が選ばれる時代です。それは入居者・家族だけではなく、働き手にとっても同様です。多様な選択肢がある中で、施設は厳しく「質」が問われます。施設が競争をすることで質を向上させることは、サービスを必要とする人たちにとっては喜ばしいことでしょう。ぜひ、今回の記事を参考にして、より良い施設選びのきっかけになればと考えます。

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梅本 聡
株式会社 キューシップ 代表取締役
2020/11/18

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特養には入居者の在宅復帰支援という目的もある

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