皆さん、こんにちは。認知症支援事業所 笑幸 代表の魚谷幸司です。
「住み慣れた場所でいつまでも生活がしたい」
これは、高齢になると誰もが抱く気持ちではないでしょうか。国もこうした感情を踏まえ、たとえ介護が必要な状態になったからといって諦めることがあってはならないと考えて対策を講じています。これは「地域包括ケアシステム」と言われ、2025年を目途に地域の包括的な支援・サービスの提供が構築されることを推進しているのです。
従来の公的サービスだけでは補えない介護のニーズ
しかし、現在において、介護者や要介護者のニーズに、従来の公的な介護保険サービスは応えることができているのでしょうか。私には、そうは思えません。
ただし、制度が悪いわけではなく、「必要とされるサービスの内容が多岐にわたっているから」ではないかと考えています。そこで、必要となるのが介護保険サービスでできること以外に対応する「介護保険外サービス」と呼ばれるものではないでしょうか。
では、介護保険外サービスの現状を考えてみましょう。庭の草取りや電気の取り替えなどごく簡単な内容であれば、少額の負担で市町村が中心となって事業をやっている場合があります。しかし、誰もができるほど簡単ではないサービスの場合には、必要最低限以上と考えられ、市町村が事業として整備するケースはあまり見られません。
一方で、介護者や要介護者のニーズがそこにあるのも事実です。その選択肢の一つとして、介護保険サービスを提供する事業所での介護保険外サービスがあります。ただし、実際は事業者の人員や、希望される方の人数など、さまざまな理由で十分な対応をしてもらえない場合もあります。
次に、一般的に名前の知られているような企業で、事業の一つとして取り組んでいるケースもあります。しかし、私の知る限り地域が限定されていたり、かなりの高額であったりすることから、一定の人しか利用できない印象があります。
介護保険外サービスに対する周知が課題
私が運営しているような介護保険外サービスだけに特化した事業所もあります。柔軟な対応をすることができるにもかかわらず、数がわずかなことから、まだまだ知られていません。また、少人数でやっていることが多いために、対応できる人員が限られているのが欠点です。以上のことから、介護保険外サービスは、対応を求めている人に対して十分な支援にはなっていないのが現状だと思います。
こうした現状に対し、介護保険外サービスは今後どうあるべきなのかを私なりに考えてみました。その結果、重要なのは、その必要性について広く発信していくことだと思いました。そのためには、国が制度として確立しないまでも、補助金や加算といったお金とは別の面で、後ろ盾になることが必要になります。金銭的な支援になると、それを目当てにした参入者が増え、質が担保されない可能性もあるからです。
私自身は、誇りを持って介護保険外サービスの仕事をしている一方で、事業の周知に挨拶回りへ行くと、多くの場所で何か特別なことをやっている事業所と思われているような印象を抱きます。
しかし、介護保険外サービスは、決して特別なことではありません。人を支えるということは、制度だけで解決できるほど単純なことではないのです。地域包括ケアシステムにおけるチームの一員として、何らかの形でより多くの人に介護保険外サービスのことを早く認知してもらいたいと思っています。