皆さん、こんにちは。認知症支援事業所 笑幸 代表の魚谷幸司です。
高齢者の介護が大変だと言われる理由はいくつかありますが、ひとつ例を挙げるとすると、「先が見えないこと」があります。
たとえば、介護と内容が一部共通している育児の場合、子供は月日が経つにつれてできることが増えていき、それを育児者の目線から感じることができますよね。先を見通すことができるというわけです。
しかし、介護の場合はそうもいきません。月日が経つごとにできないことが増えるので、いつまで続くのかと不安になりますし、先を見通すことが難しくなると思います。
ところが、認知症の方の「先を見通すこと」は、ある程度は見当がつくと言ったら驚かれるでしょうか。
今回は、認知症の方の「先の見通し方」や認知症の方の人生の最終段階において、「家族や介護者はどのように考えて行動すれば良いのか」を、お話しさせていただければと思います。
認知症には「初期」「中期」「後期」と段階がある
まず、先ほどもお伝えしましたが、認知症の方の先はある程度見通すことができます。その理由は、ほかの寝たきりの人とは違う特徴があるからです。それは、認知症の方の状態や精神的な変化の経過を、家族や介護者の負担の程度とともに見ていくとよくわかります。
一般的に「初期」と言われる段階の場合、認知症の方は活動的であり、周囲が理解できることもあるのですが、周囲の理解が難しい言動をすることもあります。初期のうちは周囲が理解できることもあるのですが、症状が進むにつれて、わからないことが増えていきます。
そんな中、認知症の方が初期の場合、家族や介護者の方は苦労すると思います。
それは、家族や介護者は「正そうと思えば理解してくれるだろう」と思い、理解が難しい言動があると、それを正そうとしてしまいます。これは、精神的な負担がかかるので、心身ともに疲弊してしまうのです。
それが中期になると活動量や理解できることは減り、後期にはほとんど見られなくなります。
認知症の方が後期になったら最終段階を考えよう
認知症の方が後期の場合、家族や介護者は初期のころよりは少し楽になると思います。
認知症の方は後期には活動はほとんどなくなり、そのときどきの状況がわからなくなることがほとんどになるからです。言葉は悪いですが、家族や介護者側の都合で動いてもらうことができ、間違いを正す必要もなくなるので、精神的な負担は少なくなります。精神的に、落ち着いて見ることができるようになるというわけです。
家族や介護者は、認知症の方が後期になったら、最終段階について考え始めると良いと思います。
考える内容としては、認知症の方だからと特別なことを考えるわけではありません。ほかの人と同じようなことを考えていけば良いのです。
最期を自宅で迎えるべきか、病院で迎えるべきか
まず考えるべきなのは、身体的な状態が悪化した時にどうしていくかです。最期を自宅で迎えるのか、それとも病院で迎えるのかということですね。
本人に確認ができる状態であれば、聞けば良いのですが確認できる状態でなければ、これまでの本人の言動などから推測し判断していくことになります。
判断基準としては、何かあったときに病院へ行くことに抵抗があったか、通院したときの医師や検査に対する印象は良かったのかを思い返してみると良いと思います。
ただ、そこで間違わないで欲しいのが、「その段階」で結論を出すのは止めた方が良いです。ある程度早くから考えておき、いよいよ最期を迎えるとき、慌てることなく落ち着いた対応ができるようにしましょう。
結果として最後まで本人の思いがわからなかったり、思いとは違っていることをしてしまうかも知れません。しかし、やったことが本人のことを思い、考えたうえで出した結論だとすれば何も問題はありませんよ。