ケアマネジャーになるためのステップ
ケアマネジャーの資格を得るには、数々のハードルがあります。
いわゆる医療従事者や、介護・障がい者支援に関わる福祉従事者などの国家資格を所持していて、通算5年(従事日数900日)以上業務に従事していれば、ケアマネジャーの受験資格ができます。
ケアマネの受験で必要な医療の資格
医師・保健師・助産師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など
ケアマネの受験で必要な介護や障がい者支援の資格
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士など
試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」で、合格すると、通算87時間に及ぶ研修を受講することになります。
研修は、ケアマネジャーとしての実務や、実際にケアマネジャーが活動している事業所で見学などを行います。
これらをすべて受講して、初めてケアマネジャーという資格を取得できるのです。
ケアマネジャーに課せられる更新研修
ケアマネジャーは、自動車運転免許のように5年間の更新制になっており、研修を受講しないと更新ができないようになっています。
資格更新のための研修にもいくつか種類があります。
- 「専門研修課程Ⅰ・更新研修前期」
- ケアマネジャーとして就業後、6ヵ月以上を目安に、資格更新までに受講する必要があるものです。保健・医療・福祉の知識や具体的なサービスとの連携などについて学び、研修時間は通算で56時間になります。
- 「専門研修課程Ⅱ・更新研修後期」
- ケアマネジャーとして就業後、3年以上を目安に、資格更新までに受講する必要があるものです。演習(事例検討)を中心に専門的な知識・技能を深めます。研修時間は通算で32時間です。
合計で88時間に及ぶこれらの研修を受けることで、やっと資格を更新できます。
その後には現場で従事しているケアマネジャーを指導したり、事業所の管理者である主任ケアマネジャーになるための研修が待っています。
それが「主任介護支援専門員研修」と呼ばれるものです。
これは、ケアマネジャーとしての実務経験が5年以上で、ケアマネジャーの資格更新が終わった人が受講する研修です。主任ケアマネジャーとして必要な知識や技術を学び、70時間の研修時間が設けられています。
その5年後には、再び主任ケアマネジャーの更新研修があります。これは、主任ケアマネジャーとしての継続的な資質向上を図るための知識や技術を学ぶもので、ここでも46時間の研修を受ける必要があります。
このほかにも、市町村主体で研修が定期的に行われていたり、ケアマネジャーの事業所同士での事例検討会なども実施されています。

細かい制度改正にも対応する必要がある
なぜ、ケアマネジャーには研修が多く、長い時間かかるのでしょうか。
介護保険制度は、3年に1度改正が行われ、そのたびに制度が変わることがあり、常に新たな制度について学んでいく必要があります。
また、制度改正の間にも細かな改正もあり、常に情報をアップデートしておかなければなりません。
合わせて、利用者の支援にかかわる際には、ケアマネジャーのほかヘルパーやデイサービスの職員など、多職種が連携します。そこでは介護保険制度だけでなく、医療や福祉といった全般的な知識が必要になります。
幅広い知識をカバーするための一環として、事例検討会といった研修も行っています。
これは、実際にケアマネジャーがかかわった事例を基に、ほかのケアマネジャーが集まって意見を出し合い、支援方法を振り返りや、支援の際に困難を感じている部分の解決策を模索したりするものです。
ケアマネジャーも人間なので、どうしても視点が偏ってしまう場合があります。そうした個人差を正すためにも、定期的に事例検討会や研修を受講した方が良いのです。
利用者が安心して暮らすための知識を蓄えている
最後に、ケアマネジャーの重要な役割である地域の社会資源の把握についてお伝えします。
社会資源とは、訪問理美容や配食弁当、地域ボランティアの活動などを指します。
ケアマネジャーは、利用者にとって身近に相談できる立場であるため、介護保険制度や医療・福祉のみならず、幅広い情報や知識がないと支援ができません。
そのため、研修に参加して、多様な意見や情報に日頃から触れることで情報のアップデートを心がける必要があるのです。

このように、ケアマネジャーは利用者が安心に暮らすための知識や情報を豊富に蓄えています。まだ介護保険にかかっていなくても、高齢者のことで何か困ったことがあれば、気軽に相談してみてください。
ケアマネジャーは介護保険だけでなく、幅広い観点で高齢者を支援するプロフェッショナルなので、利用者にとって有益な支援方法を一緒に模索してくれるはずです。