新型コロナウイルスの影響により、外出制限や移動制限などで、人と接する機会が少なくなりました。
2022年のゴールデンウィークから移動制限はなくなりましたが、感染対策は十分に行うという条件が依然としてつけられています。
近所付き合いなども希薄になってきているといわれてはいましたが、それでも老人会などのイベントは行われ、活発に地域交流はされていました。
こうした活動は、高齢者の生きがいにつながっています。今回は高齢者の交流についてお話いたします。
高齢者は家族や友人との交流に生きがいを感じる
弊社のある福岡県北九州市八幡東区では、明治34年に官営八幡製鉄所の創業記念日を祝う「起業祭」というお祭りが毎年11月に行われています。
その中で、高齢者が趣味活動の一環として作成した作品を展示するイベントが開催されていましたが、新型コロナウイルス蔓延の影響により中止となりました。
また、私は高齢者とのふれあいの場をつくる意味も込めて、地域のカラオケスナックで歌を習っています。定期的に開催される発表会にも出場していましたが、それも中止となってしまいました。
今、こうした「人との交流」が減っており、交流によって生きがいを感じていた高齢者には悪影響があると考えられます。
内閣府が実施した『令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果』の調査によると、次のようなときに高齢者は生きがいを感じています。
- 子どもや孫など家族との団らんのとき(55.3%)
- 友人・知人と食事、雑談をしているとき(45.5%)
- 仕事に打ち込んでいるとき(22.0%)
- 趣味に熱中しているとき(11.3%)
やはり、家族や友人・知人との交流に生きがいを感じていることがわかります。

移動スーパーは交流が生まれやすい
コロナ禍で人との接触をできるだけ避けなければならない中で、どうすれば交流が生み出せるのでしょうか?
一つの方法として、移動スーパーや生協などの活用を提案します。
最近は「買い物難民」という言葉をよく聞きます。主に、自宅からスーパーまでの距離が遠いことや、自宅が高台にあるなどの理由で、買い物に行きづらい高齢者を指します。
また、最近の大型ショッピングセンターは売り場面積が広く、カートを押して買い物をするという行為そのものが困難になっている高齢者も多く見かけます。
その際に便利なのが移動スーパーや生協などです。ここに高齢者が集まってくることで、交流が生まれます。
最近では、インターネットの普及により、高齢者でもネットスーパーを利用する人が増えています。ネットだけでなく、電話で直接スーパーに注文すれば自宅に配達してもらえるサービスも増えてきているので、安否確認も可能です。
あとは、家族と一緒に大型ショッピングセンターに買い物に行くといったことも一つの手法です。
地域支援コーディネーターなどを活用する
また、社会福祉協議会などに配置されている「地域支援コーディネーター」を活用しても良いでしょう。
地域支援コーディネーターは、市民センターなどで行われている体操教室や昼食会といったさまざまなイベントを案内する役割を担っています。
こういった方のサポートを得て、市政だよりなどに載っているイベントに参加することで地域住民と交流する機会が増えます。
要介護・要支援認定を受けている方にとっては、デイサービスやデイケア・ヘルパー活用も、人との交流を生み出すポイントになり得ます。
最近のデイサービスでは、特色あるサービスを提供していることもあります。例えば「カジノデイサービス」や「カラオケルーム完備」などが挙げられます。
私の知るデイサービスでは、利用時に必ず買い物に連れていくなど、生活が便利になることを売りにしているところもあります。

「人生100年時代」という言葉がよく聞かれるようになった今。年金の支給開始年齢の引き上げもあり、70代になっても仕事をなさっている方も最近は増えてきています。また、定年退職後に起業する人も増えてきています。
生きがいを見つける方法というのは、人によって異なるかもしれませんが、人との交流から生まれてくるものは数多くあります。
具体的には「地域」や「近所付き合い」が挙げられます。また、要介護状態になったとしても介護保険サービスを利用して、人との交流を図ることで生きがいを見つけることもできるでしょう。
厚生労働省は「地域包括ケアシステム」を提唱し、要介護状態になったとしても、住み慣れた地域でいつまでも生活できるような見守り体制を構築することを目指しています。
人との交流を大切にし、地域の中で孤立せずに生活できるようにしていきたいものですね。