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第31回

8050問題の本質とは?引きこもりの子どもがいる家庭が抱える介護の悩み

最終更新日時 2020/03/11
#親の介護
こんにちは。ケアマネの小川風子です。「8050問題」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?一般的に、「8050問題」は、引きこもりの子どもが親に経済的に依存していることに焦点をあてて論じていますが、ケアマネの立場から見れば、別の視点からも捉えることができます。今回は、ケアマネから見る「8050問題で生じる問題点」について、お話していきましょう。

こんにちは。ケアマネの小川風子です。

「8050問題」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?簡単に説明すると、「80歳の高齢の親が50歳の引きこもりの子どもと一緒に暮らし、経済面を含め支援している」状態を表しています。

もちろん、必ずしも親が80歳、子どもが50歳と決まっているわけではなく、引きこもりの子どもの高齢化、それを支えてきた親も高齢化してきていることを問題視し、社会で考えていこうという流れの中でできた言葉です。

一般的に、「8050問題」は、引きこもりの子どもが親に経済的に依存していることに焦点をあてて論じていますが、この問題を別の角度から見ることもできます。

今回は、ケアマネの視点から考えた「8050問題で生じる問題点」について、お話していきましょう。

子どもは家事ができない

実際に居宅ケアマネ歴約10年の内、「8050問題」にあたるケースを担当したことが3回あります。

そして、今働いている事業所のケアマネで受けているケースの中で、常に1件はこういったケースを担当している状態です。

ほぼすべての事例を通して共通していたのは、「子どもは家事ができない」ということです。

引きこもりである以上、子どもは就労せずに自宅で過ごしています。

私や私の同僚が経験したケースでは、子どもは全員五体満足ですが、家事は親御さんがしているケースがほとんど

子どもが買い物に行ったとしても、ほかの家事は親がしています。

つまり、親が要介護状態もしくは身の回りのことができなくなれば、途端に家が荒れていきます

通常はアセスメントを通して、洗濯ができているのか、掃除ができているのか、きちんとしたご飯が食べられているのか確認し、親御さんに必要なサービスを紹介しますが、原則として介護保険サービスは本人に対してしか行えません

また、若く健康なご家族が家にいる場合、その方に家事をしてもらうべき、というのが現在の訪問介護における「生活援助」の考え方です。

解釈によってはサービス導入が完全に不可能というわけではないのですが、次にお話する理由でなかなかうまくいかないことも多いのが現実です。

家の中が荒れている様子とバツサインを出している若い男性

子どもは「判断能力」がない

それまでの生活で物事の判断を親御さんに委ねてきたのか、もともと判断するのが苦手な特性があるのか、理由はさまざまかと思うのですが、介護サービスの必要性をわかってくれない子どもが多いです。

親の加護のもとで何十年も暮らしていたせいか、親の老化を受け入れることに否定的で、まさか親が年を取って要介護状態になるなど想像していない人が非常に多い。

これは「8050問題」の家庭の大きな特徴だと思います。

そうなると、サービスが必要な現状を理解してもらうことも容易ではなく、ましてやその頻度や事業所を決めるなどできない(したくない)といわれるのです。

同居の若い子どもがキーパーソンになって介護方針が決まることが多いのですが、サービスを拒否されたり断られたりすることもあり、親御さんの生活に支障が出ることもあります。

そっぽ向いている男性と食事支援している様子にバツサイン

子どもが親に暴力を振るうケースもある

誤解がないように言いますが、「8050問題」の家庭の子どもが全員暴力を振るっているわけではありません。

引きこもっていて家事ができず、判断能力に不安があっても、親御さんを大切に思っている家庭はたくさんあります。

しかし、「8050問題」のある家庭で虐待事例がみられるのもまた事実。

昔から暴力を振るっていたケースもありますし、前述したように親の高齢に伴う変化が認められず、イライラして口や手が出るケースもあります。

ただ、どちらにしても暴力や虐待を見逃すわけにはいかないので、地域包括支援センターや市役所などと連携を図りながら見守っている家庭もあります

他人が家に来るのを拒否する

一番困る問題は、他人の訪問を拒否することです。

「8050問題」の家庭にサービスを導入するのが難しい理由は、ここにあります。

子どもが「サービスは必要ない、家に他人が来るのはいやだ」という言うケースがあります。

ケアマネとしては、親御さんに必要だと思うサービスの導入をお勧めするのですが、子どもが嫌がる、または「お金がもったいない」「必要ない」と言われてしまうと、もちろん強制もできず、何ともいえない気持ちになります。

「お金がもったいない」といっても、親御さんのお金なので子どもが使い道を決めるのもおかしいとは思いますが、実際に「8050問題」の家庭は、子どもも親の年金で生活しているので、そんな正論も通りません。

反対に、親が拒否するケースも少なくありません。

ほとんどの親御さんが、心のどこかで「家に引きこもりの子どもがいることは恥ずかしい」と思われています。

そのため、引きこもりの子どもを見られたくないがために、誰かが家に来るのを拒否してしまうのです

そうしてサービスを拒否した結果、親御さんの状態が悪くなったりすると我々も無力感にさいなまれてしまいますが、どうしようもないのが現実です。

親の介護と引きこもり支援は別々に対処しよう

「8050問題」の対処法は1つ、専門機関に相談するほかありません。

私たちケアマネはあくまで親御さんを担当しており、同時に「介護保険」のプロなので、引きこもりの支援に関しては門外漢です。

ですから、地域包括支援センターや保健所、精神病院などに相談し、専門家の支援を受けましょう

そして、親御さんはケアマネを中心として介護保険の事業所で支援を受け、子どもはしかるべき機関が支援します。

そして、双方で連携を図りながら「8050問題」の家庭を支えていくというのが一番理想的であり、唯一の解決方法であるといえます。

簡単に解決できる問題ではないですが、親御さんもお子さんも幸せに安全に生活できるよう、支援していければなと思います。

相談をしている高齢の男女と説明する女性の話を聞いている男性

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