みなさんこんにちは、ケアマネの小川風子です。
介護保険の利用者さんやそのご家族から、ケアマネと上手に付き合うことができないという悩みをよく聞きます。
なかにはケアマネが悪いケースもあるのですが、上手く付き合うポイントを知ると介護生活はもっと楽になると思いますよ。
今回は、みなさまの快適な介護生活のために知っておいてほしい、ケアマネとの上手な付き合い方について説明しますね。
良い関係を築いて役割を果たすケアマネ
介護保険を利用する場合、ほとんどの方がケアマネと契約を結び、関わりを持つと思います。
利用者さんが「訪問介護を使いたい」「デイサービスを利用したい」「今利用している事業所に不満があるからほかを探してほしい」などの要望があるときが、ケアマネの出番。
ケアマネが事業所を探してきて、「ここはどうですか」と提案し、料金や介護保険の決まりごとなどを説明します。
その後はケアマネがケアプランを作成することで、被保険者は介護保険サービスを利用できるようになるのです（言い換えれば、ケアプランが作成されないと介護保険サービスを受けられません）。
それ以外にも、ケアマネには「利用者さんとご家族の生活について相談にのる役割」があります。
生活で何か困っていないか、介護するご家族が疲れていないか、そのようなことも確認する必要があるので、とにかく利用者さんのことやご家族のことをよく知り、心を開いてもらって良い関係を築かなくてはいけません。
介護保険サービスの手続きだけが、ケアマネの役割ではないのです。
ケアマネとうまくいかない場合の解決法
ところが、実際にはケアマネとうまくいかずに、言いたいことも言えないと悩む利用者さんやご家族が少なくありません。
私自身は居宅のケアマネをしていますが、「今のケアマネとうまくいかないから」という理由で担当を依頼されたケースが何件かあります。
ほかにも、介護相談に来て「ケアマネと合わない」と話す方もいるのです。
ケアマネと介護者といえど、人と人との関係のため、相性の良し悪しがあるのは仕方がないことではあります。
しかし、話を聞いてみると「それはケアマネが悪いなあ」と思うケースも当然あるのですが、もう少しご家族がケアマネに歩み寄れたら上手くいったのかな、と思う場合も多くあります。
言いたいことがあるときは伝えよう
まず、よくあるのが「ケアマネが話を聞いてくれない」というケース。
これに関しては、「どうしてケアマネに言いたいことをきちんと言わないのですか？」と聞きます。
すると介護者の多くの方が「忙しそうだし」「めんどくさそう」「なかなかつかまらずに相談できない」…など言われることが多いのです。
このような場合に関してのアドバイスはもう「それでも言いたいことは言わないとダメですよ」、これに尽きます。
ケアマネが忙しいのは残念ながら事実ですし、実際に時間がないかもしれませんが、ご家族から「大事な話があるから時間をつくってほしい」ときちんと言えていますか？
普段から訪問する時間が短かったり、あまり質問をしない家だとケアマネも「今日も何も問題ないのかな」と掘り下げた質問をしないことがあります（あまり利用者さんに多く聞くと怒る人もいるので…）。
そのため、話したいことや聞きたいことがあるなら訪問してもらう連絡をするときに前もって、電話できちんと伝えましょう。
うまくケアマネさん本人に上手く言えないようでしたら、利用している事業所などの第三者に「ケアマネとゆっくり話がしたい」と伝えてもらっても大丈夫です。
私自身も、「利用者さんのご家族が困ってるみたいなので、電話してあげてください」と事業所さんからよく連絡を受けます。
自分もある程度の知識をつけよう
そのほかにケアマネとご家族が上手くいかないケースとしては、「希望することをしてくれなかった」というのがあります。
介護保険サービスを利用するときには、ケアマネのつくったケアプランが必要です。
そのケアプランに入れてほしいサービスを利用するためにケアマネが動いてくれなかったり、「それはダメです」とはねつけられたりした場合は、利用者さんにはどうすることもできません。
ですから、希望をしたことをケアマネが聞き入れてくれなかったときに腹が立っても仕方がないと思います。
しかし、そのケアマネが首を縦に振らなかった理由が、もしかしたら介護保険の制度上、難しいものだったのかもしれません。
例えば、医療のリハビリと介護のリハビリを両立できませんし、介護保険を利用してヘルパーに散髪に連れて行ってもらうことは難しいですし、デイサービスの食事代は生活保護でも実費で請求されることなど、ケアマネでも解決できない決めごとが介護保険にはたくさんあります。
つまり、ただケアマネが仕事を怠って対応してくれなかったのではなく、できないものをできないと言っただけかもしれないですし、ケアマネがしっかり検討して必要ないと判断しただけかもしれません。
介護保険について難しいことまで勉強する必要はないですが、このようなトラブルを避けるためにも最低限の知識を利用者さんにも持っていてほしいと思います。
調べるのが大変なら、「ケアマネがこう言うのだけど…」と、地域包括支援センターなどに聞いてみても良いですよ。
ケアマネは変更できる
これまでお話ししたことで対処してみても上手く付き合うのが難しければ、ケアマネを変更するのもひとつの手段です。
多くの人が、ヘルパーやデイサービスが気にいらなければすぐに変更するのに、ケアマネへの不満はなぜか我慢してしまっています。
しかし、ケアマネもただの事業者なので、合わなければ変更すれば良いだけのことです。
同一事業所間でのケアマネ変更でも良いですし、事業所ごと変更するのも構いません。
お近くの居宅介護支援事業所に介護相談に行って、話を聞いてもらったケアマネの感じが良かったら「次はあなたにお願いします」で大丈夫です。
利用している事業所さんに、「ほかのケアマネを紹介してほしい」とお願いしても良いですよ。
自分の口から伝えづらければ、そのあと担当するケアマネに間に立ってもらっても良いでしょう。
まとめ
ケアマネと上手くいかなければ、介護生活もうまくいきませんし、ストレスが増える一方です。
いくつかの方法を試してみて、それでもだめだと思った場合は、ケアマネの変更を検討しましょう。
私たちケアマネも、話を聞きやすい雰囲気にする、困っていることはないですかと毎回聞く、介護保険の制度をわかりやすく説明するなど、日々努力していきますね。
