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第100回

緊急時にも安心!24時間対応の定期巡回サービスの適切な活用を

最終更新日時 2022/08/18
#親の介護
目 次

定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス(定巡)は利用者が可能な限り、自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、定期的な巡回や随時通報への対応など、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供を行います。

サービスの提供にあたっては、訪問介護員だけでなく看護師などとも連携しているため、介護と看護の一体的な支援が可能。利用者の望む療養生活を支え、心身の機能の維持・回復を目指すサービスとなっています。

今回は、定巡サービスがなかなか広まらない現状を解説します。

定巡サービスの定義とメリット

定巡は、2012年4月の改正によって新たに創設されました。

このサービスが創設されたのは、介護保険では訪問介護や通所介護などの在宅サービスが増加しているものの、重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みが不足していたからです。

また、医療ニーズが高い高齢者に対して医療と介護との連携が不足しているとの問題もありました。

そこで、厚生労働省は次のような目的を設けました。

  • 日中・夜間を通じて行う
  • 訪問介護と訪問看護の両方を提供
  • 定期巡回と随時対応を行う

定巡は、要介護1以上の認定を受けた方を対象としているため、要支援1・2の方は、利用できません。またサービス事業所と利用者は同じ市区町村に住所があることが義務付けられています。

具体的にサービスの内容をみていきましょう。このサービスでは、「定期巡回」「随時対応」「随時訪問」「訪問看護」の4つを組み合わせて計画します。

定期巡回サービス
訪問介護員などが定期的に利用者の居宅を巡回して、入浴、排泄、食事といった日常生活上の支援を行う
随時対応サービス
オペレーターが通報を受け、利用者の状況に応じてサービスの手配を行う
随時訪問サービス
オペレーターからの要請を受け、随時、訪問介護員などが利用者の居宅を訪問して、入浴、排泄、食事といった日常生活上の支援を行う
訪問看護サービス
看護師などが利用者の居宅を訪問して、療養上の支援または診療の補助を行う

定巡の訪問看護サービスについては2つの形態で行われています。

  1. 1つの事業所で訪問介護と訪問看護のサービスを一体的に提供する「一体型事業所」
  2. 定期巡回・随時対応型「訪問介護」の事業所が地域の訪問看護事業所と連携をしてサービスを提供する「連携型事業所」

費用について

定巡の利用者負担額は要介護度によって異なります。負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得のある者の場合は、2割・3割と負担額が上昇します。

また、利用者の要介護度に応じた基本サービス費、利用者の状態に応じたサービス提供や施設の種類・体制によるサービス提供体制強化加算、介護職員の処遇改善加算(現行加算・特定加算)が加わり、自己負担額が異なる場合があります。

訪問看護サービスに対する月額自己負担額
要介護度 訪問看護サービス
あり なし
要介護1 8,312円 5,697円
要介護2 12,985円 10,168円
要介護3 19,821円 16,883円
要介護4 24,434円 21,357円
要介護5 29,601円 25,829円

※自己負担額1割の場合

このサービスが普及することで、さまざまなメリットが考えられます。

定期的な巡回に加えて緊急でのコールも受付・相談や訪問を24時間対応してくれるので、在宅介護でも緊急時の不安が解消され、住み慣れた環境で生活を続けられます。

金銭的な負担については、1ヵ月あたりの定額のため、介護度が重くなっても利用頻度が上がっても安心できます。

在宅介護でも緊急時に駆けつけてくれる

定巡サービスが普及しない理由

しかし、この定巡サービスはあまりうまくいっていません。厚生労働省の『厚生労働省介護サービス施設・事業所調査の概況』によると、事業者数は2020年時点で1,099事業所しか設置されていません。

ほかの訪問・通所系事業所は、訪問介護3万5,075事業所、通所介護2万4,087事業所、訪問看護1万2,393事業所なので、定巡の少なさは際立っています。

普及しない理由としては、次のような点が考えられます。

訪問型サービスの併用ができない
訪問介護、訪問看護など、似たような訪問型の介護サービスは原則併用できません。
サービスに切り替えによって環境が変わる

すでに訪問介護や訪問看護を利用している方が、定巡に変更となった場合、それに伴って事業所が変更となり、訪問するスタッフも変わります。

今まで慣れ親しんだサービス事業所やスタッフが継続できない環境変化が、利用者や家族の懸念になっている可能性があります。

利用回数が少ないと割高になる

利用料金が定額であることはメリットですが、利用回数が少ないと結果的に高くなることがあります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護で得られる24時間対応や緊急対応による安心感を踏まえてもご利用者やご家族にとっては金銭的負担が高いと感じるかもしれません。

訪問介護や訪問看護を組み合わせて使うことで費用を抑えられる場合もありますので、検討してみてください。

【例.要介護2の場合】

  • 定巡の月額:約1万円(一体型で訪問看護なし)
  • 訪問介護1回の単価:自己負担額250~300円程度(20分以上30分未満)

この場合、訪問介護を毎日1回以上使うようであれば、定巡を使った方が安く済みます。

ケアマネージャーの理解が及ばない難解な制度

また、ケアマネージャーがこのサービスについて理解してなかったり、メリットを説明できないことが多く、利用者にうまくサービス内容が届いていない可能性もあります。

そして導入時にも課題があると考えられます。定巡を導入する際に多いケースとして、介護保険の区分支給限度基準額を越えたオーバープランでの依頼です。

通常の訪問介護や訪問看護などの利用により、区分支給限度基準額を超えて実費が発生してしまい、定額報酬制の定巡なら大丈夫ではないかと検討するケースです。

この場合は、既存サービスで行っていた訪問介護・看護の回数や同一のサービス内容を、そのまま定巡に当て込むとケアマネージャーと利用者・家族、定巡の事業所との間に乖離が起きます。

定巡の訪問介護は、1回当たり20分程度のサービス提供を検討する一方、通常の訪問介護は、利用者のサービス内容に合わせてサービス提供時間を検討するためです。

この部分に大きな乖離が生じるのです。例えば、60分の入浴介助を受けている場合は、定巡の訪問介護による20分程度のサービスでは対応が困難になります。

このように訪問介護という同じ名前でも対応できる内容に差があるため、ケアマネージャーにとっては非常に難解なシステムになっているのです。

また、事業所側としてもこのサービスを行うに当たって自前の訪問看護事業所を持ったり、事前に連携しておく必要があります。しかし、この部分もサービスを推進するにあたって障壁となります。

特に、連携型になるとその障壁は顕著です。連携先の訪問看護側としては自前の訪問看護としてサービス提供を行う方が、報酬上も利用者の健康管理の側面からも都合が良いのです。

報酬や制度の仕組みの見直しが必要

このように、サービスの考え方としては非常に素晴らしく、利用者の望む生活を支える定巡ですが、まだまだ周知が進んでいない状況です。

そのためにもケアマネージャーにさらなる周知を図り、利用者にこのサービスのメリットを伝えることが周知につながるのではないでしょうか。

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