Q.111 内閣改造が行われましたね。厚生労働大臣が替わったとて、介護報酬・医療報酬の大きな枠組みは変わらないのでは?と思うのですが…。(コロリ・介護職員)
こうもコロコロと大臣が替わると“官僚主導”などと言われても仕方ないかと思っていますが、ということは、今回も大臣が替わったとて基本的な路線は変わらないのでしょうか?具体的に私が心配しているのは、厚生労働大臣が替わったとて、介護報酬・医療報酬の大きな枠組みは変わらないのでは?介護職員はやはりこのまま不遇を強いられるのでは?ということなのですが…宇佐美さんはどうお考えですか?
加藤厚生大臣の下では、介護業界にとって前向きな改革が行われる可能性が十分にあると思いますよ
今回の内閣改造で厚生労働大臣に就任したのは加藤勝信議員でした。
加藤勝信議員は、東大経済学部から大蔵省(現財務省)に入省し、主計局主査を務め労働予算などを担当し、その後加藤六月議員の秘書を経て政治家に転身したという、ある種「ピカピカ」のキャリアを誇る議員で、なおかつ安倍首相の信任も厚いとされています。
このような能力面でも政治的ポジションにおいても重要な立ち位置にいる政治家が厚生労働大臣になったということは、加藤議員は政権中枢から指示された特殊な任務を背負っていると考えるべきで、おそらくは特命担当大臣も務める「働き方革命」に関係する文脈で、雇用制度の改革に取り組むものと予測されます。
他方で、労働分野以外の部門については古巣である財務省と調整を図りながら硬い運用をすると考えるのが定石ですが、ただ、過去の経歴や財務省との調整能力を考えれば介護分野でも何かしら改革を仕掛けてくる可能性も十分あります。その場合、一億総活躍担当大臣を務めていた時期に「介護離職ゼロ」を標榜し現場職員との意見交換などもしていることから、介護業界にとって前向きな方向になるのではないかと推測されます。
いずれにしろ、このように政権の信任が厚く、予算業務の経験もある優秀な大臣が厚生労働大臣となったことは、介護に関わる皆様にとって望ましいことだと思います。一般に官僚側もこのような優秀な大臣が上につくときは、その大臣の意向を最大限政策に反映するので、今回も何らかの変化が期待できるのではないかと思います。
言い方が悪いですが、前任の塩崎大臣は仕事の進め方が独りよがりで霞ヶ関で評判が悪かったこともあり、今回の内閣改造によって皆様にとって悪い方向に変化が起きる可能性は低いと思います。なにかしら制度改善が図られるか、もしくは何も大きな変化がないか、いずれかでしょう。