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第14回

パーキンソン病の動作改善に効くストレッチと運動療法!理学療法士が教える実践ポイント

最終更新日時 2018/01/12
#介護予防
パーキンソン病は進行性の疾患であるため、完治するということはありません。ですが、特徴を知り、ストレッチや運動を組み合わせることで動きやすさを改善し、症状を抑えることができるということを知ってほしいのです。

こんにちは。理学療法士ブログ「リハ塾」を通じて専門的な体の知識を発信している、運動指導の専門家・理学療法士の松井洸です。

第13回「パーキンソン病を知る!どんな病気もまずは知ることが大事!理学療法士が教えるパーキンソン病の症状と特徴」では、パーキンソン病とはそもそもどんな疾患なのか、どんな症状が出るのか、特徴的な姿勢などをお伝えしました。

今回は身体機能の維持・回復編として、具体的にどんなことをしていけば良いのかをお伝えさせていただきます。

Q.そもそもパーキンソン病は回復するの? A.完治は難しいが、症状の進行を遅くすることは十分に可能!

パーキンソン病は進行性の疾患であるため、徐々に症状が進行していきます。なので、完全に症状がなくなって完治するということは考えにくいです。

じゃあ何をしてもだめじゃないか?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。完治は難しいですが、薬やリハビリで、ある程度症状を抑えながら進行を緩やかにすることは可能です。

例えば、パーキンソン病の特徴的な4大症状の1つ、固縮(筋肉が硬くなる)と呼ばれる症状。 関節を動かす時にカクカクと断続的な抵抗感、動かす範囲すべてで持続的に抵抗感がある症状のことです。

このように、筋肉が硬い状態になるためパーキンソン病に特有な、小刻みな歩行や足がすくんだりという動作がよく見られます。

この筋肉の硬さは健常者が感じる筋肉の硬さとは異なり、パーキンソン病による神経的な要因から来る筋肉の硬さのため、ただなんとなくストレッチして一時的に効果が表れるかもしれませんが、すぐに元に戻ってしまいます。ですが、ストレッチが無意味かというとそうではなくで、それだけでは不十分だということです。

それを解消するためには、パーキンソン病の特徴的な姿勢や動作をふまえて、ストレッチに加えて全身を効率良く使うための運動療法を組み合わせることが重要なのです。

ストレッチで柔らかくした筋肉を、運動によってより使いやすく練習するということですね。

パーキンソン病の特徴的な姿勢

パーキンソン病患者の特徴的な姿勢
  • 頭が前に出ている
  • 背中が丸くなっている
  • 巻き肩
  • 腰が丸くなっている
  • 膝が曲がっている
  • 全体的に前かがみの姿勢

このような姿勢がベースにあるため、姿勢が変わらないと動作を変えることも難しくなります。姿勢を変えるためにはシンプルに考えて、縮んでいる筋肉は伸ばし、伸びすぎている筋肉は縮めてあげるだけ。シンプルですが、これを徹底するだけで高い効果を期待できます。

筋肉に置き換えると以下のようになります。

パーキンソン病の回復のために知っておくべき知識
~縮んでいる筋肉~

  • 頭の後ろの筋肉(後頭下筋群)
  • 首の前の筋肉(胸鎖乳突筋)
  • 胸の前の筋肉(大胸筋)
  • お腹の筋肉(腹直筋)
  • 股関節の前側の筋肉(腸腰筋)
  • 太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)
  • 足首の前の筋肉(前脛骨筋)

パーキンソン病の回復のために知っておくべき知識
~伸びている筋肉~

  • 首の前側の奥にある筋肉(頸長筋)
  • 背中の筋肉(僧帽筋、菱形筋群)
  • 背中~腰の筋肉(脊柱起立筋)
  • お尻の筋肉(大殿筋、中殿筋)
  • 膝が曲がっている
  • ふくらはぎの後ろ側の筋肉(下腿三頭筋)

このように縮んでいる筋肉と伸びている筋肉に分けることができます。まずは縮んでいる筋肉を伸ばし、伸びている筋肉は働かせて縮ませることが重要です。

筋肉が硬くなっていると、筋肉にある関節動きや位置、痛みなどを感じるセンサーが鈍くなります。鈍くなるということは、今筋肉が伸びているのか、縮んでいるのかが分かりにくくなるので、とりあえず力を入れて筋肉を硬くして関節をあまり動かさないようにしておこう、というふうに反応してしまうのです。

筋肉は本来、伸びすぎると縮ませようと働き、縮みすぎると緩んで少し伸びるようにできています。そうしないと、筋肉が傷ついてしまう恐れがあるからです。

そうならないために、センサーが鈍くなった筋肉をとりあえず硬くして、筋肉が傷つかないようにするわけです。しかし、これでは筋肉は傷つかないかもしれませんが、動きにくくかなり不便です。まずは筋肉のセンサーを整えてあげることが必要になるのです。

パーキンソン病の方にオススメのストレッチと運動療法3つ

仰向けで行う運動
  1. ①仰向けで両方の肘を曲げる
  2. ②肘で床を押すようにし、背中を持ち上げる
<伸びる筋肉>
・頭の後ろ側の筋肉
・胸の前側の筋肉
<縮む筋肉>
・首の前側の奥の筋肉
・背中の筋肉
・背中~腰の筋肉
<POINT>
  1. 顎は軽く引いておく
  2. 背中を反らし、胸の真ん中を持ち上げるように
  3. 肩がすくまないように脇をしめておく
うつ伏せで行う運動
  1. ①うつ伏せで両肘を立てる
  2. ②お腹はできるだけ床につけたまま背中を反らす
<伸びる筋肉>
・首の前側の筋肉
・お腹の筋肉
・股関節の前側の筋肉
<縮む筋肉>
・お尻の筋肉
・ふくらはぎの後ろ側の筋肉
<POINT>
  1. 肩がすくまないように脇をしめておく
  2. お腹はできるだけ床につけて浮かないようにする
  3. 腰ではなく、背中を反らすようにする
立って行う運動
  1. ①肩幅に足を開く
  2. ②足の付け根を触ったままお尻をできるだけ遠くに突き出し、体を前に倒す
<伸びる筋肉>
・太ももの後ろ側の筋肉
・お尻の筋肉
・股関節の前側の筋肉
<POINT>
  1. お尻を突き出す際、膝は軽く曲げ、曲がりすぎず伸びすぎずに行う
  2. 太ももの後ろでも特にお尻に近い部分が突っ張るようにする

本日のまとめ

まとめポイント

  • パーキンソン病は完治はしないが、運動によって症状を抑え、運動機能を高めることは可能
  • パーキンソン病の特徴的な姿勢を知り、姿勢を変えることで動作も変えることができる
  • 筋肉が硬くなっているとセンサーの反応が鈍くなり、ますます筋肉は硬くなり動きが悪くなる

いかがでしたでしょうか?パーキンソン病は進行性の疾患であるため、完治するということはありません。ですが、特徴を知り、ストレッチや運動を組み合わせることで動きやすさを改善し、症状を抑えることができるということを知ってほしいのです。

もちろん個人差はありますが、まずは本記事でご紹介した運動を少しでもいいので継続して取り組んでみてください。症状が進行してしまうと、リハビリを行うこともやはり難しくなってきます。症状が軽い段階で取り組むことが何よりも重要になります。

この記事によって、一人でも多くのパーキンソン病にお悩みの方が救われることを祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。

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松井 洸
恵寿総合病院
2018/01/04

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