こんにちは。「カラダブログ」を運営し、セミナーなどを通じて「多くの人が病院に行かないような文化を作りたい!」をテーマに活動している理学療法士の吉田直紀です。
まずは介護者であるみなさんが元気でなければいけません。人のカラダは思ったよりもかなり重く、腰や肩に負担がきてしまいますよね。
そこで第7回目となる今回は、普段の生活や介護をしていて、「肩こりがしんどい」と感じているみなさんに、「肩こりを根本から解消していくトレーニング」をお伝えしていきます。動画も3本ご用意したのでご自宅・オフィスで実践してみてください。
なぜ肩こりになるのか?肩こりの原因と簡単チェック方法!
多くのみなさんがお悩みの肩こりの原因としては、「不良姿勢・目の疲れ・肩周りの筋力低下・肩甲骨の可動域低下・ストレス・血行不良」など、多くの原因が絡んでいます。ただあえて原因を絞ると「運動不足」が大きな問題になります。
みなさんは1日の中でどれくらい「肩」を使うことがあるでしょうか?日常生活で腕を耳の横まで上げる動作がどれほどあるでしょうか?
デスクワークをしている人は肩を耳の横まで上げることがほとんどありません。パソコンやスマホを触ることで体が丸まり、首が前に出て、背中や肩甲骨周りの筋力低下や可動域低下が起こります。現代の生活は「肩」を使う機会がほとんどないのが現状ではないでしょうか。
肩の柔軟性チェック!
人生を振り返って、肩こりがなかった時代を考えてみましょう。小さい頃や部活動をしていた時期に「肩こり」がある人は少ないはずです。その理由は「肩」を頻繁に使用していたから。
小さい頃は自分よりも物が高い位置にあり背伸びをすることもあったし、肩を高い位置まで上げる必要があったのです。さらに部活動や運動では肩を使った運動をたくさんしていました。
細かい部分はさておき、大まかに言えば「運動不足」が肩こりを引き起こしていると言えるのです。では、簡単に肩周りの柔軟性をチェックする5つのテストをしてみましょう。上のイラストをご覧ください。
いかがでしょうか?肩甲骨周り〜肩周りの柔軟性が低下している人はこれらの運動ができません。もし引っかかってしまった人は肩こり予備軍かもう既に肩こりでお悩みの方ではないでしょうか。
肩こりが肩もみでなくならない理由
肩こりを引き起こした人がどこに行くのか? 多くの人は肩の固い部分をほぐす「マッサージ」を思い浮かべます。 しかし実際はどうでしょうか? 肩もみマッサージでどれくらいの肩こりが解消しているのでしょうか? マッサージをしたその日は良くても次の日には肩が重くなっていたりすぐに症状が戻っているのではないでしょうか?そうです。多くの方が肩こりの解消方法を間違えているのです。
肩こりの正体は「筋肉が緊張して動かない+廃物が排出されない状態」のことです。緊張した筋肉に強いマッサージを行うと筋肉の膜が破けて損傷します。損傷した組織が回復するときに筋肉はさらに固くなり、緊張状態を生み出します。
つまり下手なマッサージを行うと肩こりは悪化してしまうのです。マッサージと同様に押したり、揉んだり、強く叩くこともオススメしません。さて私たちは肩こりにどう向き合えば良いのでしょうか?
肩こりを解消するための3つのポイント
肩こりに向き合うためには気持ち良さだけを求めるマッサージだけでは解決しません。肩こりの根本の原因は運動不足なのです。
運動不足は3つの影響を及ぼします。
- 不良姿勢(猫背)
- 筋力不足
- 柔軟性低下
この3つが問題になり結果的に肩こりを引き起こします。では1つずつ詳しくみていきましょう。
- 不良姿勢(猫背)
- 不良姿勢の代表が猫背。猫背になると頭は前に出て背骨が丸くなります。スイカほどの重さがある頭が首~肩の筋肉に大きな負担をかけます。
- 通常では頭の重さである4〜6kgの負担がかかりますが、頭が前に出た姿勢になると最大で27kg前後の重さがかかります。いくらマッサージしても姿勢が悪ければ1日中負担がかかっていることになるのです。
- 筋力低下
- 筋力低下は首~肩甲骨~背骨周りの筋肉に起こります。猫背姿勢の状態では筋肉が伸びきった状態になり、縮めることができなくなります。筋肉が伸びたまま固まり結果的に筋力が発揮しにくくなります。スマホやパソコンを利用する人が増えて体の前側と後ろ側のアンバランスはさらに助長されているのです。
- 柔軟性低下
- 伸びたままの筋肉は縮みにくくなり、固くなります。良い筋肉の条件は伸び縮みがしっかりできること。肩こりの人は特に肩甲骨周りの筋肉の動きが悪くなります。肩甲骨を使い背骨周りの柔軟性を獲得することが大切になります。
肩こりを解消するためには猫背を直して、肩関節~首回りの筋力をつけて柔軟性を回復させることが大切になります。
肩こり撃退トレーニング
- 仕事中にできる肩こりエクササイズ
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3つのストレッチを紹介しています。デスクワーク中にもできます。もちろん立っている時にもできます。大切なことはコリを感じたら動かす癖をつけること。 - どこでも簡単にできる肩こりストレッチを習慣化しましょう。ちなみに私もデスクワーク1時間に対して2〜3回は実践するようにしています。
- 肩こり予防ストレッチ
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「筋トレ=めんどくさい、辛い」という図式があります。だから運動を継続させるのが難しい。 - 今回紹介するのは2つの筋トレだけです。1つはハイハイ。もう1つはハイハイから手をあげるだけ。ハイハイなんて馬鹿らしいと思っていませんか?ハイハイをすることで背中や肩甲骨周りの筋肉が自然と使われるためとても効率的な運動なのです。
- スポーツジムにあるようなマシーンがなくても簡単にできます。ぜひ自宅でのハイハイ習慣を作ってみてください。1日5分でも十分効果的です。
- 姿勢改善ストレッチ
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猫背の人は体の前側の筋肉が硬くなり、後ろ側の筋肉が弱くなっています。猫背改善のためにはこの筋肉のアンバランスを整える必要があります。上記2つのトレーニングでその土台ができているので、最後に姿勢を意識させる運動を行います。この運動も壁があればどこでもできます。 - 「アゴを引いて胸を張り一直線を意識して立つ」すごくシンプルです。最初は辛いかもしれませんが慣れてくると体が自然と良い姿勢をとりたくなるようになります。
この順番で行うようにしましょう。これらの運動を毎日10~15分程度行いましょう。1~2週間もすれば効果が現れてきます。もちろん日常生活で肩が凝ったときに運動をすることも大切です。
本日のまとめ
肩こりはあくまでも日常生活の運動不足の結果です。見直すべきは日頃の生活。1日8時間デスクワークした後にスマホを触って通勤を繰り返し、自宅でもスマホでネットサーフィン…なんて生活してる人はいませんか?
そんな生活をしていればどれだけマッサージに行っても整体に行っても変わりません。大切なことは1日の生活を見直すこと。体を動かす時間、姿勢を正すこと、スマホやパソコンをいじる時間を減らすこと。今日から始められる肩こり対策はたくさんあります。
今日お伝えしたストレッチやトレーニングを行い、1日の生活スタイルを見直して肩こりとサヨナラしましょう!ちなみに筆者自身もデスクワーク1時間の合間に体を動かし肩甲骨や背骨を動かすようにしています。結果的に8年間ほど腰痛や肩こりはありません。特に治療も行っていません。
1日の生活を見直し、ほんのちょっとの工夫で慢性的な肩こりは解消できるのです。もう肩こりに悩むのは終わりにしましょう!みなさんの健康が、要介護者にとって一番の救いなのではないでしょうか。