こんにちは。「カラダブログ」を運営し、セミナーなどを通じて「多くの人が病院に行かないような文化を作りたい!」をテーマに活動している理学療法士の吉田直紀です。
介護者の方が体を壊したり、健康を損なっては元も子もないですよね。介護の教科書「介護✕リハビリ」では、理学療法士の観点から、介護で奮闘するみなさんの健康をサポートし、さらに、要介護者の方でもできるリハビリやトレーニングをお伝えしていきます。
今回は、四十肩で腕が上がらない人へ「四十肩解消トレーニング」をお伝えします。
四十肩で悩むみなさんに、動画も添えてアドバイスしていくので、ぜひご自宅(介護職員の方は施設で)実践してみてください。
ちなみに、四十肩と五十肩の違いは特にありません。40代の方には四十肩と伝えて、50代の方には五十肩と伝えるくらいの違いです。40代の女性の方には五十肩と言わないように気をつけた方が良いかもしれないですね。怒られます(笑)。
そもそも四十肩ってどんな疾患?
- 肩が上がりにくい
- 肩を動かすと痛みがある
- 寝ているときも肩が辛い
そんな肩の悩みはないでしょうか?小林製薬の調査によると、40~69歳の人のうち243万人が四十肩でつらい思いをしているようです。では、そもそも四十肩とはどんな疾患なのでしょうか。
四十肩の症状と原因は?
- 四十肩の症状
-
- 肩関節を動かしたときの痛み
- 夜中に肩が痛む
- 肩が上がりにくくなる
- 以上が主な症状。生活の中では手が後ろに回せない、服を着るのが大変になる、髪を洗うのが辛くなるといった訴えが多いです。
- 四十肩になる原因
-
- 肩関節周りの筋力、柔軟性低下
- 肩甲骨の筋力、柔軟性低下
- 筋力がアンバランス
- 以上が主な原因。経過としては「関節内の炎症→急激な痛み→徐々に痛みが改善して可動域が低下→徐々に可動域も改善していく」という流れになります。
つまり、症状が痛みから始まり肩の可動域制限へと進行してしまうのも特徴のひとつです。人によって症状改善の時期は異なりますが、文献的には12~42ヵ月間は要するとされています。
四十肩になってしまうと、治るまでに長い期間を要するということを覚えておきましょう。一度でも四十肩になると大変です。早め早めに肩甲骨・肩周りを柔らかくして四十肩を予防しましょう!
どんな人が四十肩になりやすいのか?
- 糖尿病を抱えている人
- 甲状腺疾患の人
- 血中脂質が高値な人
- デスクワーク時間が長い人
- 運動不足の人
- 肩関節の手術後の人
などが四十肩になりやすい人のタイプです。
その中でも一番多いと思われる運動不足の人は、手をあげる機会が減ることで肩関節や肩甲骨周りの筋力の低下、さらには肩の可動域が狭くなってしまうので注意が必要。一日中悪い姿勢のままデスクワーク8時間で運動もしない…となると、四十肩予備群の可能性大です。
肩を動かしにくいときに、 「よし、肩をぐるぐる回そう!」はNG
実は、四十肩には動かして良い時期といけない時期があります。
- 急性期:2~9ヵ月
- 亜急性期:4~12ヵ月
- 拘縮期:6~9ヵ月
この時期に関しては個人差もあり諸説(専門書)によっても異なります。大切なのは痛みの強い急性期が終わって亜急性期に移る時期。この時期に適切なリハビリを受ける必要があります。
ひとつの指標としては、安静時痛と夜間痛が改善する時期がリハビリを積極的に受ける時期です。つまり、強い痛みが楽になってくる時期から運動を取り入れていくことがポイントになります。
逆に、動かしてはいけない時期に肩を動かすと炎症が増してさらに痛みが強くなり、結果的に治りが遅くなってしまうので注意しましょう。
四十肩の治療方法
- 運動療法
- 物理療法
- 注射療法
- 手術療法
多くの場合は運動療法を中心としたリハビリがメインになります。まずは病院に行って、肩関節の状態をチェックしてもらうのが第一歩ですね。専門家の意見を聞き、自分が一体どの時期の四十肩なのかを理解した上で自分に合った治療方法を選びましょう。
それでは自分でできるセルフケアを学んでいきましょう!
理学療法士が教える四十肩のセルフケア(動画あり)
夜中の痛みに対するケア
四十肩の夜間痛はとても厄介です。強い痛みのために夜中に起きてしまうことがあります。夜間痛に関しては肩のポジションを適切にとることがポイントです。抱き枕やクッションを利用して痛みのある肩関節を上にして寝るようにしてみましょう。
肩関節に対する3つのセルフケア
肩関節のインナーマッスルトレーニングと肩の可動域を保つための運動を3つご紹介。いずれも運動したときに痛みがないことを条件に行いましょう。
四十肩に効く肩甲骨トレーニング
肩の土台は肩甲骨です。肩甲骨と背骨の柔軟性をしっかりと保つことで肩関節が自由に動くようになります。特に、痛みがある時期でも肩甲骨と背骨周りは比較的早期に動かすことは問題ありません。
四十肩解消トレーニング
- 自分の肩関節の状態を知る(急性期~回復期)
- 動かして良い時期といけない時期を知る
- 時期に合わせて運動を行う
- 専門家の意見を聞きながら行う
- 四十肩にならないように日頃から肩甲骨周りをしっかり動かしておく
一度四十肩になると治るまでに長い期間を要します。何事も予防が大事!運動不足にならないように肩甲骨、肩関節を大きく動かして柔軟性も筋力も維持しましょう!