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第134回

介護保険で利用できるリハビリサービス。認知症から脳血管障がいまで疾患別のポイントを解説!

最終更新日時 2023/02/17
目 次

症状や疾患に合わせて、介護保険で受けられるリハビリは異なります。

リハビリサービスを考えるうえで重要なのは対象者のQOL(生活の質)です。

適切なサービスを選択するには、専門的な知識が必要になることもあります。主治医やケアマネジャーと相談しながら決めることが一般的ではありますが、サービスを考える材料として本記事を参考にしてください。

第131回では、在宅リハビリが必要になりやすい疾患について解説しているので、合わせてチェックしてみてください。

認知症

認知症の症状に注目してリハビリのサービスを選択する場合、認知症の進行予防という点が重要視されると考えられます。

認知機能低下や認知症のリスクを軽減する方法については、WHO(世界保健機関)が次のような項目を挙げてガイドラインをつくっています。

  1. 身体活動による介入(運動)
  2. 禁煙による介入
  3. 栄養的介入(食事)
  4. アルコール使用障がいへの介入
  5. 認知的介入(認知トレーニング)
  6. 社会活動

さらに、65歳以上の高齢者には次のような行動が認知機能に良い影響を与えるとされています。

  1. 週あたり150分の中強度有酸素運動や75分の高強度の有酸素運動、または同等の運動を組み合わせた身体活動
  2. 有酸素運動は1回につき少なくとも10分以上続ける
  3. さらなる健康効果のため、中強度有酸素運動を週300分に増やす。または週150分の身体活動を高強度の有酸素運動にする
  4. バランス能力を向上させ転倒を防ぐための身体活動を週3日以上行う
  5. 週2回以上の筋力トレーニング
  6. これらの身体活動ができない場合は、身体能力や健康状態に合わせて可能な限り活動する

上記の内容を踏まえたうえで、認知機能低下を予防するリハビリサービスは「身体活動による介入」や「栄養的介入」が中心になります。さらに「週あたりの運動時間」の目標を達成することが望ましいと考えられます。

リハビリに望ましい介護保険サービス

  • デイサービス
  • デイケア

さらに細かい適性を考えるのであれば、1日型のサービスが適していると言えます。バランスの取れた食事の摂取や、運動時間の確保によって「栄養的介入」と「運動時間」のどちらにもアプローチできるためです。

認知症の進行状況や種類、個人の性格などによって変わるので「認知症対応型」をうたう施設を選ぶとより安心でしょう。

nintisyou

脳血管障がい

脳血管障がいが発生してから2週間以降にあたる回復期や生活期・慢性期と呼ばれる期間のリハビリについて解説します。

回復期以降の治療では、薬物療法とリハビリが継続的に行われます。薬物治療で再発リスクを下げるための管理、リハビリによって身体機能の維持や向上、社会参加への促進などを行います。

ある程度の期間が経過して脳血管障がいの後遺症のある場合は、リハビリが主な治療法になります。

脳卒血管障がいの症状は多岐にわたり、発症後の期間によっても推奨される内容が変わるため、現れている症状や発症後の期間に対して治療やリハビリサービスを選ぶ必要があるでしょう。

例えば、脳血管障がいを発症してから2週間程度の方が入院治療を終えて、自宅に帰ってきたとし、以下のような症状がみられていると仮定します。

  • 歩行障がい
  • 運動障がい
  • 日常生活動作障がい
  • 高次脳機能障がい

この場合、適切な運動量がポイントになります。そして、姿勢保持能力や下肢運動機能の改善なども重要です。

さらに、考慮するべきことは、在宅リハビリや記憶訓練などの高次脳機能障がいへのアプローチです。

これらを踏まえると、以下のサービスが考えられます。

リハビリに望ましい介護保険サービス

  • デイサービス
  • デイケア
  • 訪問介護
  • 訪問リハビリ

運動量の確保しやすいデイサービスやデイケア、在宅ならではのリハビリが行える訪問介護や訪問リハビリなどが選択肢となるでしょう。

さらに、リハビリの視点のみでなく、再発予防を考慮して服薬や体調の管理をするために、居宅療養管理指導や訪問看護も考えられます。場合によっては、施設サービスや回復期病院への入院を検討した方が良いでしょう。

上記の在宅サービスを組み合わせることで、より良い支援が期待できます。脳血管障がいに対する在宅リハビリは、症状や発症後の時期などによってサービスを選ぶことが大切です。

フレイル

フレイル(虚弱)は、心身機能や社会的な孤立などにある状態を指し、健康と要介護状態の中間にあたります。これに対して効果のある予防や対策は「一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会」が示しています。

  • バランスの取れた良質な食事
  • 運動療法と栄養補助製品との併用
  • 歩行訓練や機能回復訓練などの運動
  • 中等度から高強度の運動を行う

栄養バランスの良い食事を摂り、適切な運動を行うことでフレイルの発症や進行予防ができるとされています。

リハビリに望ましい介護保険サービス

  • デイサービス
  • デイケア

通所系の施設は社会的支援にもつながります。同年代の同じような悩みを抱えた方と話す機会が増えて、社会的な孤立を防ぐことができるのです。友人関係が広がることによってボランティア活動や交流会などに参加する機会が生まれることもあるでしょう。

また、自宅で訪問系のサービスを活用するのであれば訪問介護や訪問リハビリも考えられます。

フレイルは、さまざまな疾患と関連があるとされ、疾患の状況によっては利用するべきサービスが異なってくるかもしれません。

骨折・転倒

骨折の治療方法や回復までにかかる期間については、折れた場所や折れ方などによって大きく異なるため、端的に示すことはできません。

ただし、転倒予防によって骨折を抑制することについては、主に以下のような内容が示されています。

  1. 転倒の経験がある高齢者は、その後の骨折リスクを増加させる
  2. 高齢者における転倒を防ぐためには、全身的な運動、特にバランス運動を含んだ運動を少なくとも週3回以上実施する
  3. 転倒のリスクが高い高齢者は、リスクの要因を検討して指導・助言を行う
  4. 高齢者(特に転倒経験者)において転倒する危険のある居住環境を改善する

一部引用:『転倒対策による骨折予防のエビデンス』金成由美子

前提として、すでに骨折している状況であれば病院での治療が優先されます。骨折治療は、骨の位置を正しく戻し、固定することが基本です。骨折部位がズレてしまうような力のかかる運動はかえって治療を遅らせてしまうため、避ける必要があります。

しかし、過度の安静は筋肉が衰えたり、関節の動きが悪くなったりするなどの悪影響を及ぼす可能性があります。固定が必要な骨折部位以外については、できる範囲で動かすほうが良いでしょう。

リハビリに望ましい介護保険サービス

  • デイケア
  • 訪問リハビリ

上記前提を考慮したうえで、介護保険サービスを利用するのであれば、デイケアや訪問リハビリの利用が推奨されます。リハビリ専門職は、運動の機会確保や生活に対する指導や助言などを行い、訪問系であれば居住環境へのアドバイスも同時にしてくれます。

転倒や骨折の対策は専門家を頼ることが何よりも大切になるので、自己判断をすることは避けた方が良いでしょう。

関節疾患

高齢者がなりやすい関節疾患や骨関節疾患は数多くあります。そのなかでも特に多いのが以下の3つです。

  • 関節リウマチ
  • 変形性関節症
  • 腱板断裂

上記のような骨関節疾患の症状は共通するものが多いですが、原因がそれぞれ異なるため、治療法も異なります。

関節リウマチの原因は免疫の異常だと考えられており、腱板断裂は老化や外傷などが原因と考えられています。痛みという症状が共通していたとしても治療は共通ではありません。

そのため、症状に対してどのようなリハビリサービスを選ぶのが良いのかという点についてもそれぞれ注目するべき部分が異なります。

例えば、変形性膝関節症の治療は日本整形外科学会から以下を推奨しています。

  • 理学療法士による運動指導
  • 有酸素運動
  • 減量と体重の維持

一方、関節リウマチの治療は炎症期と呼ばれる時期のリハビリにおいて、関節の保護を行うことがあります。関節を動かすことで痛みが強くなるような関節は、装具を使用して固定することもあるのです。炎症が起きている状態での運動は無理をして行っても良い効果は得られません。むしろ、治療の妨げになることもあるので注意が必要です。

最近では、薬物療法が進歩しており、関節リウマチのコントロールができるようになってきています。

さらに、変形性膝関節症では体重の減量が推奨されますが、関節リウマチでは推奨されません。

このように同じ関節疾患だからといって同じ治療が適しているというわけではありません。以上のことから、リハビリの専門家がいる介護サービスが推奨されます。

関節のリハビリは専門家が必須

症状の重さや介護者の状況に合わせてサービスを選択しよう

リハビリを目的として介護サービスを利用する場合は、疾患の状況や症状の重さ、介護者の状況を考えることが大切です。

例えば、脳血管障がいの後遺症が重い方がいたとしましょう。運動麻痺の症状が重く、自力ではベッドから起き上がることも難しいような状態だと仮定します。

さらに、介護者となる家族が一人で、仕事を抱えていて、土日以外の日中は朝早くから夜遅くまで自宅にいないという環境であれば通所系サービスの利用は難しいと言わざるを得ません。

一般的に通所系サービスは、およそ午前9時~午後5時までの日中に行われることが多いからです。

この場合はショートステイのようなサービスを使うと良いかもしれません。

「生き方」を考えることも大切

ここまで、リハビリサービスの選び方について紹介してきましたが、サービスはあくまで手段であって目的ではありません。

介護保険を活用してサービスを選択する場合、特に「どんなサービスを利用するか」という視点で考えてしまいがちです。

しかし、介護サービスを受けることを重視すると、各々の「生き方」を考えることが後回しになってしまいがちです。

最近では、ガンに対して治療しないという選択を取る人もいます。手術のリスクや入院中の面会制限などがあるため、入院治療中に家族と会えないまま最期を迎える可能性はゼロではありません。そのため、入院治療をせずに自宅で家族と過ごして最期を迎えるという選択をする方もいるのです。

もちろん、その選択が正しいかは、選択した本人たちにしかわかりません。より良い生き方を考えたときに治療という手段を取らない生き方もあるという実例です。

同様に、リハビリなどのサービスを選択するときも、人生にとって重要なことは何かを考える必要があるのではないでしょうか。

人との交流が好きな方であれば、送迎サービスで外出できるようになり、他者と交流しながら運動する時間が幸せかもしれません。しかし、人との交流を苦手としている人にとっては苦痛に感じる可能性もあるでしょう。

人生は、過ごす時間によってつくられます。

どのような時間を過ごしたいのか?どのような時間を過ごせるようになりたいのか?など、人生について考えながらサービスという手段を選択することも考えてみてください。

実際にサービスを選択する時は専門職と一緒に決めていくことも多いでしょう。そのような時でも、どのような思いや考えを持っているかをしっかりと伝えることが大切です。介護サービスを上手に活用して、より良い「生き方」を考えてみましょう。

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