若年性認知症サポートセンター スワロー代表の小林です。
介護施設では、毎日いろいろなレクリエーションを企画して高齢者の方とスタッフが一緒に楽しんでいます。
レクリエーションを担当する方は、毎日の内容を考えることに大変な思いをされていると思います。
今回は、私が施設のケアマネージャーや機能訓練指導員の経験をもとに、レクリエーションを解説いたします。
施設での集団レクと個別レクの違いについて
誰でも高齢になると「体を動かす」「頭を使う」「コミュニケーション」の機会が減り、身体機能や認知機能が低下しやすくなるため、楽しく頭や体を動かすのに有効だからです。
例えば、体操は転倒予防に、脳トレは認知機能の維持などの効果が期待できます。
介護施設などで行われるレクリエーションには、大きく分けて「集団レク」と「個別レク」があります。その違いを以下にまとめました。
- 集団レク
- 風船バレーやボーリングなど、テーマを分けてグループで参加することにより、コミュニケーションをとるきっかけになります。さらに身体機能の維持・向上や仲間づくりも目的となります。
- 個別レク
- 集団レクの参加を促しても、体を動かすことや、集中できない高齢者もいます。その場合は、ご本人やご家族から趣味を聞いて、少人数でパズルや料理レクなどを実施します。スタッフと一緒に行うことにより、コミュニケーションも盛んになります。目的としては、本人の居場所づくりやQOLの維持・向上が挙げられます。
健康音楽体操を用いた集団レクの取り組み
一般的な社会と同様に、介護施設の利用者も多様な趣味を持っています。例えば、カラオケ好き、まったり好き、手作業好き、体操好きなどのいろいろな方がいます。
そのため、集団レクを導入しても、そのテーマを決めるのに多くの時間を労してしまいがちです。
この問題を解決するため、私は試行錯誤の結果、高齢者が知っている昭和歌謡を用いた健康音楽体操を実施しています。
健康音楽体操の実施状況
- 実施頻度:週3回 (月・水・金)
- 時間:1時間
- スタッフ:1名
- 使用機材:生活機能改善器、DKエルダーシステム(通信カラオケ機器「DAM」を活用した介護予防・健康増進コンテンツ配信システム)
- 参加者:15名
健康音楽体操は、高齢者の方からも高評価を得ており、継続して実践しています。

エコバックや料理レクを用いた社会参加型個別レクの取り組み
施設では何かをつくったりすることで、高齢者の方の居場所づくりを行っています。
例えば、英字新聞の古紙を利用したエコバックづくりや、電気式の圧力釜を使用して「おでん」「カレー」づくりをすることによって、本人の自信や達成感が増して、QOLの向上につながりました。
実施内容
- 各対象者の目標に合わせて楽しいプログラムを実施
- 利用者本人から、趣味や特技をお聞きして内容を選択してもらう
- 家族との連絡ノートなどを利用して随時情報交換を行う
実施方法:エコバックづくり
- 実施頻度:週6回(月~土)
- 時間:1時間
- スタッフ:1名
- 使用用品:英字新聞の古紙
- 参加者:1~2名
実施方法:電気圧力釜を使用したレク
- 実施頻度:週1~2回程度
- スタッフ:1~2名
- 使用機材:電気圧力釜
高齢者の方からは「自分が以前から興味を持っていたエコバックづくりや、実際に電気圧力釜を使用した調理ができて良かった」「スタッフからは、エコバックを地元のお店屋、図書館に置かせてもらうことで、地域社会とのつながりができて良い関係が築けたと思う」などの評価をいただきました。
一方的に提供するのではなく、利用者の立場で考える
これまで紹介したレクリエーションのほかに、「施設に業者さんから入ってもらい買い物を楽しむ」「季節に応じてドライブをする」といったものもあります。
レクリエーションの担当になるとテーマやメニューづくりが大変になるかと思いますが、高齢者の方も交えて同じ目の高さで話し合うと、面白いメニューがつくりやすいかと思います。
大事なことは、高齢者にレクリエーションを一方的に提供するのではなく、集団レク・個別レクも自分が高齢者の立場になって考えることです。

介護施設で集団レクや個別レクの違い、取り組み方について悩んでいたり、探していたりする方の参考になれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。