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第121回

帯状疱疹の時にやってはいけないことは?3つの注意点と正しい対処法・予防法を詳しく解説

最終更新日時 2024/10/29
目 次

帯状疱疹の基本知識と介護時の注意点

帯状疱疹は、多くの人が経験する可能性のある皮膚疾患です。特に高齢者や介護が必要な方は、発症リスクが高くなる傾向にあります。介護に携わる方々にとって、帯状疱疹の基本的な知識と適切な対応方法を理解することは非常に重要です。

帯状疱疹の原因と症状

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされます。このウイルスは、多くの人が子供の頃に水痘(水ぼうそう)として経験したものと同じです。

実は、日本人の約9割が体内にこのウイルスを保有しているといわれています(国立感染症研究所感染症疫学センター, IASR. 2018; 39(8): 129-130)。

帯状疱疹の主な症状は、痛みやしびれから始まり、その後に発疹が現れます。この発疹は通常、体の片側に帯状に広がります。発疹は水疱(水ぶくれ)に発展し、その後かさぶたになります。また、強い痒みを伴うことも特徴です。

これらの症状に気づいたら、すぐに医療機関への受診を検討することが大切です。早期発見・早期治療が、症状の軽減と合併症の予防につながりますので、すぐに行動しましょう。

高齢者が帯状疱疹にかかりやすい理由と予防法

高齢者が帯状疱疹にかかりやすい理由は、主に加齢に伴う免疫力の低下にあります。

そのため、高齢者の発症が多い状況です。

実際、日本皮膚科学会の報告によると、50歳以上の発症率が高く、年齢が上がるごとに有病率は上昇し、80歳までに約3人に1人が発症するとされています(Shiraki K. et al. Open Forum Infect Dis. 2017; 4(1): ofx007)。

また、帯状疱疹の感染者数は続々と増加しています。宮崎県の調査によれば1997年から2017年までの21年間において、実に1.5倍に増加しているとの情報もあります。

そのため、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。発症してしまえに、なるべく予防を心がけましょう。

帯状疱疹でしてはいけないこと3選

とはいえ、どんなに気を付けていたとしても発症してしまうことはあります。その場合は、どのような行動を取ればよいのでしょうか。

帯状疱疹の症状を和らげ、早期回復を促すためには、適切な対応が不可欠です。ここでは、帯状疱疹患者の介護中に特に注意すべき7つのポイントについて詳しく解説します。

帯状疱疹でしてはいけないこと①:患部を冷やす・擦る

帯状疱疹の患部を冷やしたり、擦ったりすることは避けましょう。冷やすことで血行が悪くなり、痛みが増す可能性があります。また、擦ることで水疱が破れ、二次感染のリスクが高まります。

代わりに、患部を清潔に保つことが大切です。ぬるま湯で優しく洗い、清潔なタオルで軽く押さえるように拭きます。患部は清潔なガーゼで覆い、直接触れないようにします。医師の指示があれば、温かいタオルなどで軽く温めることで、血行を促進し痛みを和らげる効果が期待できます。

これらの対応により、患部への刺激を最小限に抑えつつ、清潔さを保つことができます。

帯状疱疹でしてはいけないこと②:水疱をつぶす・かさぶたをはがす

帯状疱疹の特徴的な症状である水疱は、決してつぶさないようにしましょう。同様に、かさぶたになった後もむやみにはがさないことが重要です。

水疱をつぶしたり、かさぶたをはがしたりすると、感染リスクが増大し、痛みが増加する可能性があります。また、自然な治癒過程が妨げられ、回復に時間がかかる可能性もあります。

代わりに、水疱を保護することが大切です。清潔なガーゼで覆い、衣服などとの摩擦を防ぎます。かさぶたは新しい皮膚を保護する役割があるため、自然に剥がれるまで待ちます。痒みへの対処には、医師の処方した軟膏や内服薬を適切に使用し、痒みをコントロールします。

これらの対応により、皮膚の自然な治癒過程を妨げることなく、二次感染のリスクを最小限に抑えることができます。

帯状疱疹でしてはいけないこと③:安静を怠る・激しい運動をする

帯状疱疹の回復期間中は、過度の運動や激しい動きを避け、適度な安静を保つことが重要です。一般的に、帯状疱疹の症状が落ち着くまでには約2〜3週間かかるとされています。

安静を怠ったり、激しい運動をしたりすると、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。また、過度の疲労は帯状疱疹後神経痛(PHN)などの合併症のリスクを高める可能性があります。

適切な安静と活動のバランスを保つために、十分な休息を取ることが大切です。症状が強い時期は、できるだけ休息を取りましょう。症状が落ち着いてきたら、ゆっくりとした散歩など、軽い運動から始めます。日常生活も無理のない範囲で送り、体力の消耗を避けます。

これらの対応により、体力を温存しつつ、徐々に日常生活に戻ることができます。回復状況に応じて、活動レベルを調整することが大切です。

帯状疱疹患者の介護で注意すべきこと

帯状疱疹患者の介護には、日常生活のさまざまな場面で特別な配慮が必要です。ここでは、入浴や清潔保持、食事と栄養管理、睡眠と休養について、具体的な注意点とケア方法を解説します。

帯状疱疹患者の入浴のポイント

帯状疱疹患者の入浴と清潔保持は、感染予防と症状緩和の両面で重要です。ただし、適切な方法で行わないと、かえって症状を悪化させる可能性があります。

熱いお湯での入浴や、ゴシゴシと強くこすること、長時間の入浴は避けるべきです。これらは皮膚への刺激が強く、痛みを増したり、水疱を破裂させたりする恐れがあります。また、長時間の入浴は皮膚が浸軟し、感染リスクが高まる可能性があります。

代わりに、38〜40度程度のぬるめのお湯を使用し、刺激を最小限に抑えましょう。可能であれば、浴槽につかるよりもシャワーを使用することをおすすめします。柔らかいタオルや手のひらで、優しく患部を洗います。洗い終わったら、清潔なタオルで軽く押さえるように拭きます。こすらずに、水分を吸い取るように拭くことが大切です。入浴後は必ず清潔な衣類に着替えましょう。

これらの方法を実践することで、患部を清潔に保ちつつ、症状の悪化を防ぐことができます。

帯状疱疹患者の食事:回復を早める食べ物と避けるべき食品

適切な栄養摂取は、帯状疱疹からの回復を促進し、免疫系を強化するのに役立ちます。一方で、特定の食品は症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

回復を早める食べ物としては、ビタミンC豊富な食品(柑橘類、キウイ、パプリカなど)、ビタミンE含有食品(ナッツ類、種子、アボカドなど)、ビタミンB群を含む食品(全粒穀物、豆類、緑黄色野菜)、タンパク質(魚、鶏肉、豆腐など)、亜鉛を含む食品(牡蠣、牛肉、かぼちゃの種など)が挙げられます。

特に、バナナは帯状疱疹の回復に効果的とされています。バナナに含まれるビタミンB6やビオチンは、白血球の生成と活性化を促進し、免疫機能を高める可能性があります。

一方、避けるべき食品としては、アルギニンを多く含む食品(ナッツ類、チョコレート、ゼラチンなど)があります。

これらはウイルスの増殖を促進する可能性があるため、控えめにしましょう。また、唐辛子やわさびなどの刺激の強い食品は痛みを増す可能性があるため注意が必要です。加工食品や過度の塩分、添加物は体への負担を増やす可能性があります。アルコールも免疫機能を低下させ、回復を遅らせる可能性があるため控えるべきです。

バランスの取れた食事を心がけ、水分も十分に摂取することで、帯状疱疹からの回復をサポートできます。

帯状疱疹患者の睡眠と休養

帯状疱疹患者にとって、適切な睡眠と休養は回復を促進する重要な要素です。しかし、痛みや不快感のために十分な休息が取れないことも多いため、快適な環境づくりが重要になります。

まず、してはいけないこととして、睡眠時間を削って無理に活動することが挙げられます。十分な睡眠は免疫機能を高め、回復を早める効果があるため、できるだけ規則正しい睡眠習慣を維持することが大切です。また、就寝直前のスマートフォンやテレビの使用も避けるべきです。ブルーライトは睡眠を妨げる可能性があります。

快適な睡眠環境を整えるために、まず室温と湿度の管理が重要です。帯状疱疹患者は体温調節が難しいことがあるため、季節に応じて適切な室温(夏は26〜28度、冬は18〜20度程度)を維持しましょう。湿度は50〜60%程度が理想的です。

寝具も重要な要素です。患部に圧力がかからないよう、柔らかすぎず硬すぎない適度な硬さのマットレスを選びましょう。枕の高さも調整し、体の自然な曲線を保てるようにします。

また、シーツや寝巻きは綿など通気性の良い素材を選び、肌への刺激を最小限に抑えます。患部がこすれたり圧迫されたりしないよう、就寝時の体位にも注意が必要です。

痛みによって睡眠が妨げられる場合は、就寝前に医師に相談の上で処方された鎮痛剤を服用することも検討しましょう。ただし、自己判断での薬の増量は避け、必ず医師の指示に従ってください。

介護者が帯状疱疹に感染しないようにするには?

帯状疱疹は、原則的には他人に感染しません。しかし、水疱内のウイルスが、水痘に対する免疫を持っていない人(特に乳幼児や免疫力の低下した人)に接触すると、水痘を発症させる可能性があります。

介護中の注意点として、手洗い・消毒の徹底が最も重要です。患部に触れた後は必ず手を洗い、消毒しましょう。

また、水疱がある間は、ガーゼなどで患部を覆い、直接触れないようにします。水痘の予防接種を受けていない乳幼児との接触は控えるべきです。患者が使用したタオルやシーツは、他の人と共用せず、別に洗濯します。

これらの対策を講じることで、介護中の感染リスクを最小限に抑えることができます。

帯状疱疹の合併症

帯状疱疹の治療において、急性期の症状管理だけでなく、合併症の予防も重要な課題です。特に高齢者や免疫機能が低下している患者では、合併症のリスクが高くなります。ここでは、主な合併症とその予防法、長期的な視点での介護について解説します。

帯状疱疹後神経痛(PHN)

帯状疱疹後神経痛(PHN)は、帯状疱疹の最も一般的で深刻な合併症の一つです。PHNは、帯状疱疹の皮疹が治癒した後も持続する痛みと定義され、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があります。

PHNの発症リスクは年齢とともに上昇し、50歳以上の患者の約15〜20%がPHNを発症するとされています(Kawai K, et al. BMJ Open. 2014; 4(6): e004833)。特に60歳以上の高齢者では、リスクがさらに高くなります。

PHNが発症した場合、その管理は長期にわたる可能性があります。痛みの程度や性質に応じて、薬物療法(鎮痛剤、抗うつ薬、抗けいれん薬など)、物理療法、心理療法など、複合的なアプローチが必要となることがあります。

眼合併症

帯状疱疹が顔面、特に目の周囲に発症した場合、眼合併症のリスクが高くなります。眼帯状疱疹と呼ばれるこの状態は、重篤な視力障害を引き起こす可能性があるため、特別な注意が必要です。

眼帯状疱疹の主な症状には、目の痛み、充血、涙目、光過敏、視力低下などがあります。これらの症状が現れた場合、速やかに眼科医の診察を受けることが重要です。

聴覚障害

耳の周辺に帯状疱疹が発症した場合(ハント症候群)、聴覚障害や耳鳴りなどの症状が現れる可能性があります。このような症状が現れた場合は、速やかに耳鼻科医の診察を受けましょう。早期の治療開始が、聴覚障害の予防や軽減に繋がります。

運動麻痺

まれですが、帯状疱疹が運動神経に影響を与え、筋力低下や麻痺を引き起こすことがあります。特に顔面神経が影響を受けた場合、顔面麻痺(ベル麻痺に似た症状)が起こる可能性があります。このような症状が現れた場合は、すぐに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

帯状疱疹は、高齢化社会の進展とともに患者数が増加しています。

しかし、本記事で解説したように、適切な予防と治療、そして日常生活での細やかなケアによって、その影響を最小限に抑えることができます。

特に、症状に気づいた際の早期受診、そして50歳以上の方々へのワクチン接種は、重要な予防策となります。

帯状疱疹と向き合う際は、患者さんとご家族が正しい知識を持ち、医療機関と連携しながら、焦らず適切に対応していくことが、より良い治療結果につながるのです。

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長谷川 昌之
よつばケアプラン 管理者
2024/12/24

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